Global Head Lines :アイヴァンガー事件その後
- 2023年 12月 7日
- 評論・紹介・意見
- 新井敏生
テレヴィニュースARD Tagesschouは10月26日、12月5日アイヴァンガー事件の続報を伝えた。
10.26 アイヴァンガーの元教師に対し捜査
バイエルン州議会選挙の直前、アイヴァンガー経済相をめぐるビラ事件が新聞の大見出しを飾った。現在レーゲンスブルクの検察庁は自由選挙人の党首の元教師に対し捜査をしている。
バイエルン州副首相フベルト・アイヴァンガーをめぐるビラ事件で、レーゲンスブルク検察庁は自由選挙人の党首の元教師を捜査している。報道官によれば、公的機密並びに私的機密違反の疑いで捜査がはじめられた。
原則的に元教師は「「権能なくみだりに開示した可能性」ein moegliches unbefugtes Offenbarenにより起訴されるか検証されている。Tagesspigelが最初に報じたが、検察庁よればすでに手続きは9月の上旬から続いている。
Tagesspigelが報じたように、ビラ事件に関して報道された結果様々な告訴がなされた後捜査は始められた。引退した学生評議員は、この非難に対して発言したがらなかった。元教師に懲罰的手続きが取られるかどうかはまだわからない。
Sueddeutsche Zeitung(南ドイツ新聞)が、アイヴァンガーの学生時代の1980年代の反ユダヤ主義のパンフレットが彼のところで見つかったと報じて以来、アイヴァンガーは8月末の州会議選挙前の数週間この事件で圧力を受けていた。
自由選挙人の党首はパンフレットの作成者であることを否定したが、同時に彼の学校カバンに幾枚かのパンフレットあったことは認めた。その後まもなくアイヴァンガーの兄はパンフレットは自分が作成したと述べた。アイヴァンガーにパンフレットを渡したかどうかは不明のままである。
アイヴァンガーは「汚いキャンペーン」について語った
マルクス・ゼーダー首相(CSU)は、アイヴァンガーが質問票にこたえ謝罪したのち、彼の大臣を解任しないことを決定した。CSUと自由選挙人は連立政府を継続している。ビラ事件に関して、アイヴァンガーは「汚いキャンペーン」について語った。「私を政治的にも個人的にも終わらせるべきである。」という印象を彼は(一連の報道に)持った。
南ドイツ新聞を含む複数のメディアは、元教師がパンフレットをアイヴァンガーに渡したと報じた。自由選挙人のアイヴァンガーの協力者たちはこのパンフレットの存在を知っていた。2008年という早い時期に、何者かが元教師に面会を求め、アイヴァンガーに危険を及ぼすことができるかどうか尋ねたという。
バイエルン州のメディアグループは、元教師がパンフレットを繰り返し提供したという地元の自由選挙人の声明を報じた。ある人はメディアグループの新聞に、元教師はアイヴァンガーに危害を加えることができると自慢していたと語った。「フォークス・オンライン」はアイヴァンガーの元同級生が、元教師はから政治家を打倒したといわれたと伝えた。
南ドイツ新聞が書いているように、この元教師ははアイヴァンガーが6月にエルディングで登壇した際ポピュリスト的なトーンをうちだしたため、このパンフレットに言及したようだ。予定された暖房法に反対を表明する際、アイヴァンガーは「サイレント・マジョリティが民主主義を取り戻さなければならない。」と呼びかけた。
12.5 報道評議会は南ドイツ新聞に対する苦情を却下
自由選挙人の党首アイヴァンガーの学生時代の反ユダヤ主義ビラ事件が、8月に新聞の大見出しを飾った。今回報道評議会は、南ドイツ新聞の記事は正当であり、公共の利益があったと決定した。
ドイツ報道評議会は、バイエルン州副首相フベルト・アイヴァンガーのビラ事件を報じた南ドイツ新聞に対する一連の苦情を受けて、編集チームを支持した。報道評議会の自主規制機関は、報道おける不審な活動に関する苦情を根拠がないとして却下したと発表した。
南ドイツ新聞は、8月とバイエルン州選挙の前に、このビラ事件を進行させるきっかけを作った。自由選挙人の党首アイヴァンガーが学生時代に反ユダヤ主義的で非人道的なパンフレットを所持していたという。アイヴァンガーはこの事件で大きな圧力にさらされた。彼自身は自身にに対し標的を絞ったキャンペーンだと語った。マルクス・ゼーダー首相はアイヴァンガーの内閣解任に反対する決定を下した。南ドイツ新聞はアイヴァンガーのキャンペーン批判に何回も反論した。
報道評議会への苦情18件
報道評議会は個々の苦情を受け付け、調査を開始した。とりわけ18件の苦情は、編集スタッフがジャーナリズムの注意義務を遵守しているかどうかという問題に関するものだった。委員会はその決定を発表した。「アイヴァンガーが若いころに反ユダヤ主義パンフレットを作成したという公表された疑惑には、多くの公衆の関心があった。告発は、経済相とバイエルン州副首相としてのアイヴァンガーの職務とあからさまに矛盾している。」
確かに、上記の過程はすでに35年前のことであり、アイヴァンガーはまだ成年に達していなかった。しかしながら疑惑は非常に深刻だったために、彼の私権を侵害することなくそれらについて報道することが許される。
先入観はなかった
また評議会は、編集部が一連の記事で徐々に事実を開示することで注意義務に違反したのではないかという問題についても経過開示の必要はないと判断した。「このアプローチは報道倫理の観点からは異議を唱えるものではなかった。なぜなら編集チームは表明された疑惑について当初から十分な根拠が提示していたからだ。」と報道評議会は述べた。
また先入観もなかった。疑惑は事実としてではなく、疑惑として正しく説明された。また関係者には十分な態度表明の機会が与えられた。また罪がないという意見も取り上げられた。
den. 7 Dez.2023
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion13418:231207〕
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。