こいのち通信(世田谷こどもいのちのネットワーク通信) 2024年1月
- 2024年 1月 20日
- 交流の広場
- 星野弥生
- ★第37回「神戸をわすれない」 1月27日(土)18時~20時 @宮坂区民センター大会議室
ついに年を越してしまいました。12月のうちに出そうと決めていたものの果たせず、申し訳ありませんでした。言い訳はいくらでも・・・。24日から27日まで、福島の家族たちが世田谷で過ごす「ふくしまっこリフレッシュin世田谷」を実施。コロナ禍による中止期間はありましたが、今回で24回目でした。その直前に私は珍しく体調不良(もう大丈夫ですが)、その後は年末年始のバタバタ。かろうじて遅れつつも毎月出してきた「通信」ですので、一回のスルーを大目に見てくださいますように。
おめでとうととても言えない年も明けました。明けた途端にまさかの能登半島地震。畳みかけるように、救援に行くはずだった海上保安庁の飛行機の接触事故・・・。全くその名に値しないような人たちが最高責任者とは・・・。災害にかこつけて、自分たちに降りかかっている大問題を忘れさせようとしても、そうはいきません。そして年が新たになろうとも、パレスチナ、ウクライナで子どもたちのいのちが奪われていく惨事は止むことがありません。なんという時代に生きてしまっているのだろう?どうすればいいの?と問いつつも、日々のあれこれに追われてしまう日々です。
さて、「こいのち」の今年です。予告をしていたような気もしますが、昨年9月23日、保坂区長に世田谷の教育をどうするか、について語ってもらい、さまざまな現場からの声をクロスオーバーさせる会をした時に交わされた「約束」。こういう会を「教育車座集会」と位置付けて、数カ月に一度のペースで継続させていこうということになり、保坂さんも同意してくれました。さっそく、鉄は熱いうちに打とうと、保坂さんと、前川喜平さんにトークをしていただく中から、世田谷の教育、学校やその他の子どもたちにかかわる様々な現場をどうしていくのか、どうしていきたいのか、語りあう場を持ちたいと思います。2月28日(水)梅丘パークホールで、18時からを予定しています。前回同様、いろいろな場からの多くの参加をお待ちしています。前川さんを教育長に、という夢を実現!というのは今年の初夢でしょうか・・・。
1月と言えば、阪神淡路大震災の月。1月17日は、その後の3.11と共に決して忘れられない日です。「神戸をわすれない」という会を1996年から催していますが、次々と地震は起こるし、このところは毎年その日のあたりで行ってきている会を、どこで止めたらいいのかがわからないままに続けています。長田区の野田北部・鷹取地区でのまちの復興と再生の記録(記憶)の映像は、今なお、地域とそこに暮らす人たちが震災後にどのようなコミュニティを作っていくのか、という問いに対するヒントとして、まだまだとても有効なものだと思います。とくに、1月1日の能登半島震災が現下の大きな課題。29年前の神戸での出来事がダブります。「神戸をわすれない・せたがや」で、今年は何をしようか、と考えあぐねていた時に、いつも協力者になってくれている、映画編集の村本さんが、去年の会の後に「震災直後の始まりの映像を見ることがいいんじゃないか」と言ってくれたことが、まさに今の事態にぴったり、という感じで、1995年1月以降に作られた「鷹取からのビデオレター」を二巻上映したいと思います。とても貴重な映像です。共に観ながら語り合いましょう。1月27日の18時から宮坂区民センターで。非被災地に住む私たちにできることは、まず「想像力と共感」を持つこと。それが阪神から学び、「神戸をわすれない」をこれまで続けてきているモチベーションでもあります。今その思いを新たにしています。
12月の「こいのち」は、主催イベントはありませんでしたが、いくつかの集まりに関わってきました。ボロ市の後、17日には前号でお知らせした「ぼくたちは見た―ガザ・サムニ家の子どもたち―」の上映会。予想をはるかに超えた70人が集まりました。パレスチナの子どもたちが殺されていくことに対して、いったいどうしたらいいのか、辛い思いを抱えている人たち、とくに若い親たちがとても多いということがよくわかります。ふだんの集会では見かけないような、初めて来られた方々も多く、ともかく「何が起こっているのか知りたい」という声の表れだったと思います。まず現実を知ること。そこからしか次の行動は生まれてこないでしょう。多くの方にぜひとも観てほしい映画です。
もう一つは「『ベンポスタ子ども共和国』を観て、星野弥生が語る」という会でした。久しぶりに映画を観てみると、30年以上前の映画だけれど、決して古くはなく、むしろ今だからこその大切なことが語られているように思えます。「多様な学びの場」の一つとして、また「子どもの権利」の具現化の一つとして「こいのち」メインのイベントにするのもよいかな、と思っています。
こいのち、本年もよろしくお付き合いくださいますように。 (星野弥生)
こいのち学習会「公園ってだれのもの?~いきいきとした社会は
“近所の公園”から始まる!?“に寄せて
【昨年の11月のこいのち学習会「公園ってだれのもの?」はとてもいい企画でした。そして、今後継続していくべき課題もたくさん。「いきいきとした社会は”近所の公園“から始まる!?」というアプローチいいですね。それぞれの地域で「近所の公園」を歩いてみましょう!
「こいのち公園部」というラLINEのグループもできて、意見交換もやっています。今回参加されたハナダ イチローさんが感想を寄せられましたので、ご紹介します。
■こいのち学習会「『公園』ってだれのもの?」に寄せて
せっかくトールさんにお誘いいただいたこともあり、学習会を振り返っていま考えていることを少しだけ書こうと思います。イベント自体は先月のこいのち通信に詳しいのでそちらをどうぞ。さて、自分たちで主催した本企画を振り返る中で、僕らはいくつかこの先のことについて話し合い始めています。ひとつは「公園」のこれから。そしてもうひとつはボランティアのこれから。少し長いかもしれませんがお付き合いくださいね。
はじめに「公園」のこと。今回の学習会では登壇者・参加者の皆さん方としっかり話し合うことができました。ぜひこれを活かしていきたいと考えています。まずテーマそのものが1回で完結できるようなものではなく、今回をスタートと言えるよう、継続的に「公園」の在り方・処し方を議論していきたいです。そもそも「公園」は開かれた場所であって、であれば「公園」にまつわる様々な対話も開かれてあって欲しい、ということを大事にします。今回は「誰のもの?」を切り口としましたが、実際に公園を会場にしてみたい、公園で採って食べられるものを囲んで話し合ってみたい、夜は子育てしながらだと行きにくいので日中にやって欲しい、公園で遊ぶ子どもら当人たちと一緒に考えたい、などなど本当に幅広い意見が交わされました。
加えて、せっかく区側の話を直接お伺いしたり、海外(ウェールズ)の取り組みを知ることができたので、ちょっと本気で(行政や政治を巻き込んで)ガッツリ系の勉強会も進められたらとも思案中です。これは、〝生きた制度〟を地域へ恒常的にアジャストさせ続けるような試みを思い描いています。つまり(条例などを活用して)「遊ぶことが保証される仕組み」を公園という場にどう落とし込むか、議論を積み重ねていこうというチャレンジです。手始めに行政職員さんや議員さんたちと車座になる機会をつくってイメージを共有していけたら、なんて考えています。
次にボランティアのこと。今回の学習会は、長い「こいのち」の活動の中で、自主的に「こいのち公園部」として集まった有志によって企画されました。世の中はどこも本当に少子高齢化が進んでしまって、多くの団体が「やりたいこと>やれること」さらには「やるべきこと>やりたいこと」というジレンマに陥っています。そんな中このような分科会的な活動が生まれることで、企画のたび事務局の負担だけが増すような矛盾が、周縁の関わり手たちへなめらかに分散化していけるように感じています。
ちょっと古い本ですが『ボランティア』(金子郁容著)という本があります。これにはボランタリーな気持ちは傷つきやすく、そう考えれば人と情報は似ているというようなことが書かれています。情報も人も傷つきやすい(変化しやすい≒心変わりしやすい)ですが、言い換えれば適切に見直すことを厭わなければいきいきとあり続けられるのだと信じています。日々の息苦しさの中でふと、いつでも心変わりしていいんだと思えることは、これからのボランタリーな関わり方にひとつの安心を与えてくれる気がします。
最後に自己紹介を少しだけ。僕はいま羽根木公園にあるプレーパークで子どもを遊ばせているたくさんの親のうちのひとりです。雑居まつりに関わる中で、この学習会の仲間に加えてもらうことができました。プレーパークもこいのちの活動も、雑居まつりが続いてきたことも、関わり手ひとりひとりが関心を持ち寄ってつくりあげられてきたと実感しています。それはまさに、傷つきやすいかもしれないけれどいきいきとした気持ちの詰め合わせにも見えます。こいのち公園部はまだ始まったばかりです。ぜひ皆さんの気まぐれなご関心を、心よりお待ち申し上げます。本当にお待ちしています。 〈ハナダ イチロー〉
「ベンポスタ子ども共和国」が今に生きる意味
ずっと以前から、1989年に製作されたドキュメンタリー映画「ベンポスタ子ども共和国」を世田谷で上映したいと思っていましたが、ようやく昨年12月に願いが叶いました。映画のスタッフとしては、「翻訳」が私の仕事でしたが、その後、上映に際してはたくさんの数のチケットを販売する「営業」として、上映から三年後にベンポスタのサーカス団を日本に招聘する実行委員会の中心メンバーとして、93年の夏に全国9か所を回ったサーカス公演では、ほとんどすべての会場で、主宰者のシルバ神父の秘書、苦情処理係を兼ねた通訳として、めいっぱいこの世界にはまり込んでいました。あげくの果てに、「ベンポスタ駐日大使」に任命され、小使から大使までの任務を一人でこなす、という割に合わない役に携わっています。何を隠そう、私の肩書は「ベンポスタ大使」なのです。ですから、12月に喜多明人さんが主宰する「子どもの権利条約総合研究所」内の「子ども参加プロジェクト」が、こどもの社会参加という観点からこのテーマを取り上げてくれたことが、わが意を得たり、という感じでした。30年以上前の映画であるにもかかわらず、改めて観た人、初めての人(が多かったのです)からは、「全然古くない」。また、子どもの参加が共同体の経済活動にまで及んでいる、という点も注目されました。この視点はなかなかないのだそうです。「今も子どもの問題を考える上で、とても有効な考え方を学べる」という声が聞こえてきました。リアルで40人ほど、オンラインでも10人くらいの方が参加し、びっくりしたのは、見回したところ、寝ている人がいなかった!ということ。確かに、サーカスの場面は誰もが食い入るように観てくれるのです、どこでも。喜多さんも「いい会でした」とひとこと感想をメールしてくれました。 1月3日には、ほぼ毎年「ベンポスタっ子」たちが我が家に集合します。もちろん、もと子どもで、いい大人です。子どもを連れてきたりもします。私は孫がいっぱいいるみたいです。そのもと子どもたちは、めちゃくちゃよく飲むので、後は空き瓶の山でした。同じ時期にベンポスタで一緒に過ごしたわけではなくても、そこの「空気」を知っている人たちは、まるで「同志」。そこがなんとも面白いのです。この人たちに、ベンポスタでの体験を語ってもらう会をいつかやろうと思っています。もちろん映画を観ながら。喜多さんが、今年の11月9日、10日に開催予定の32回目の「子どもの権利条約フォーラム」に、ベンポスタの分科会を入れませんか、と提案してくれています。今回の会を少し発展させることができるいい機会と思って、うれしいです。
「ふくしまっ子リフレッシュin世田谷」で、青木美希さんのお話をききました
コロナで中断され、2022年の冬に再開してから三回目の「ふくしまっ子リフレッシュin世田谷」が去る12月に4泊5日の日程で大蔵第二運動場にて開催されました。お天気に恵まれ、羽根木のプレーパーク、初めての大蔵運動公園・アスレチック広場、おなじみの世田谷線ツアーなど、世田谷で存分に楽しむことができました。今回、新しい試みとして、福島の人たち、世田谷の私たちが一緒に話を聴く会を行いました。話をしてくれたのは、ジャーナリストの青木美希さん。都内版の記者だった時から、私たちの活動にはずっと寄り添い、記事を書き、講演の度に「福島のこどもたちにとって、いかに保養が必要か」ということを訴えてくれています。ちょうど三冊目の本「なぜ日本は原発を止められないのか?」(文春新書)が出たばかりで、いいタイミングでした。記者として新聞媒体に書くポジションから外されている美希さんは、自費、自力で福島の取材を続け、原発事故のために、家も土地も仕事も家族もなにもかも奪われてしまっている方々の生活、人生の実態に迫った取材を続けています。「福島の子どもたちと共に・世田谷の会」や「こいのち」でもこれまでに二回かなりの規模の講演会を行ってきていますが、今回は膝を突き合わせるような会でした。福島の方々も、全然知らなかった話が聞けてよかった、と。青木さんは、福島の方々の直接の声を聞くいい機会だから、とその後や夕食、お茶け会と称するお別れ会にも参加してくれました。美希さんの新著の帯には「『安全神話』に加担した政・官・業・学、そしてマスコミの大罪!」とあります。本当にそう。鋭い指摘です。だからこそ、取材を続ける青木さんを含めてメディアの方々を私たちは応援したいと思います。この本は、原発に関する本で、アマゾンでは今トップだそうです。本が出版されて、10日ちょっとで、またもや大地震。北陸には、志賀原発があり、珠洲でも原発を作ろうという話がかつてありました。となりの福井は原発銀座。「稼働していなくてよかった」などという話ではありません。爆弾を抱えています。これでまだ原発を続けよう、再稼働しよう、輸出も、などと考えている国の最高責任者がいるとしたら、そんな人に、この国を任せるわけには当然いきません。青木さんの伝える「不都合な真実」を受け止め、応援しつつ、世田谷の中で議論を進めていくことを、これからも続けたいと思います。
ぜひ本を買って、読んでくださいね。
★ふくしまっ子リフレッシュin世田谷「2021年度・2022年度 活動報告書」ができました!コロナ禍をはさんだ活動報告書が、ようやくできました。ご希望の方にお分けします。お申し出下さい。2020年に行った青木さんの講演会の報告も載っています。
三上智恵監督の新作映画「戦雲(いくさふむ)に寄せて
これまでの、三上智恵監督の、沖縄の今と昔にこだわり続ける輝かしい作品群(「標的の村」「沖縄スパイ戦史」)と、渾身の発信を続ける姿勢について、知ったつもりで特に関わる事なくいました。ところが昨年、この度ご案内します「戦雲(いくさふむ)」の、素材画像の時系列コラージュ(=スピンオフ)作品、「沖縄、再び戦場(いくさば)へ(仮題)」の無償提供という、誰もが当事者の感覚を、いち早く追体験出来る途を提示された事により、その上映活動に招き入れられたのです。瞬時に思い付いた「沖縄が気になる私たちの会」を名乗り、賛同人を募り、「訪問上映」を含めた10数回の「スピンオフ上映とクロストークの集い」で、ご参加の方々との新たな出会いと出会い直しがありました、三上さんの製作過程に関わっているような感覚を伴うせいか、全国で、上映回数1300回をえたとのことです。
そしてこの度、完成作品の上映にあたり、広報やチケット委託販売も担え、『島々から平和への切なる祈り』を届けるという、「非暴力の総力戦」の一員となり続けられる途が提示されました。そこでこいのち通信を通じて、単なる映画鑑賞に留まらない、新たな映画との関係作りに、皆さまを、お招きする次第です。3月にポレポレ東中野で上映されることになりましたので、ぜひ観ていただけたらと思います。(チラシを同封します) (事務局 芳賀法子)
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世田谷の教育を考える 車座集会
『世田谷の教育現場が変わるために、私たちは何をすればいいの?Part.1』
~前川喜平さん、保坂展人さんといっしょに考えよう~
日時:2月28日(水)18時~21時
場所:梅丘パークホール
今年の「こいのち」の大きな柱の一つが「世田谷の教育」です。保坂区長に語ってもらった9月の会では、さまざまな現場からたくさんの声が寄せられました。特例校を作るだけでなくて、「ふつうの学校」を変えていかなくてはならないんじゃないか、との声は切実です。
通信の2月号にチラシを同封する予定ですが、「こんな会にしたい」「こういう話がしたい」などの要望、意見、アイディアなど、また世田谷の教育大綱」に対するご意見など、こいのちに寄せていただけたら幸いです。 真に実りある会にするために。(メール、faxなどで(星野弥生)
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★「もっと語ろう不登校 Part.284 1月13日(土)@ぼくんちfsbttoru@yahoo.co.jp 14時~
Part 285 2月3日(土)@オープンスペース‘Be!’ yurinoki11513@gmail.com) 300円
「鷹取からのビデオレター」を観て、話し合おう! 参加費500円 (星野弥生)
★「人間の生と性を学ぶ会」1月22日 17時半~ 宮坂区民センターにて。「わが子の性とどうかかわるか~親の不安、親の決意について考える」。また、「50歳からの性教育~人生の中盤戦で性を学びなおす」(河出新書)も読みます。いつものようにセクシュアリティの第一人者、村瀬幸浩先生とともにフリーな話し合いをします。(連絡先 星野弥生 070-5554-8433)
★せたがやチャイルドライン 特別講演 「子どものこころの成長」 講師 田中哲さん(児童精神科医) 2月10日(土) 13時~16時 北澤タウンホール2階第一集会室 参加費900円
★「在宅避難と遠隔避難」 1月13日(土)13:20~15:30 烏山区民会館
世田谷ボランティア協会の「震災シンポジウム」 (℡ 03-5712-5101) 入場無料
★星野弥生の気功教室。原則として第二、第四金曜日の17時半~19時半 経堂地区別館(1月26日は宮坂地区センター。第二、第四日曜日 10時から代々木公園。どなたでも参加できます。自分で自分を治す自己管理の気功です。
「Be!」での気功クラス。毎月第三火曜日13時半~15時 1月16日。東京新教会 どなたでも加できます。連絡先 オープンスペースBe!佐藤由美子 090-9248-1355
こどもいのちのネットワークの会員になってください。つうしん・お知らせが届き、講演会・学習会などの参加費が無料になります。年会費3000円 郵便振替口座00100-9-396998
【事務局】Tel03-3427-8447 070-5554-8433 email:marzoh@gmail.com(星野弥生)
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