本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(446)
- 2024年 2月 2日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究本間裕金融
2024年のブラックスワン
投資において必要不可欠な態度は、「どのような好材料や悪材料が存在するのか?」を理解し、かつ、「現時点で、それらの材料が、どれほど株価に織り込まれているのか?」を判断することだと考えている。具体的には、「1980年代初頭から始まった世界的な金利低下」に関して、現時点では、「債券の価格」に織り込まれ始めるとともに、「債券価格について、割高か割安かで、意見が分かれ始めている状況」のことである。
つまり、2024年の問題点としては、「金融界のブラックスワン」、すなわち、「悪材料が存在しながらも、市場参加者が気づかず、マーケットにおいて予想ができないために、起きた時の衝撃が大きい事象」が指摘できるものと考えているが、具体的には、以前から指摘してきた「目に見えない金融ツインタワーの一角」である「約600兆ドルのOTCデリバティブのバブル」の崩壊が始まる可能性である。
より詳しく申し上げると、「1997年から1998年にかけての金融大混乱」については、その後の「デリバティブとデジタル通貨の大膨張」により、「問題の先送り」と「時間稼ぎ」が実施されてきた状況だったことも理解できるのである。別の言葉では、現在、「史上最大のポンジスキーム」と揶揄されるように、「世界的な金融システムそのものが、新たな借金をすることにより、国家の債務問題を大きくしただけの状況」のことである。
しかし、現在では、「世界的な国債や不動産の価格急落」により、「不都合な真実の隠蔽」が難しくなっており、間もなく、「世界中の人々が、過去20年余りの期間に、どのようなことが行われていたのか?」を、はっきりと認識せざるを得なくなるものと思われるのである。つまり、「デジタル革命の正体」ともいえる「デジタル通貨の大膨張」のことだが、この時の注目点は、「0と1の間に存在するもの」である「人間の感情」などが無視された事実とも考えられるのである。
別の言葉では、「デジタル通貨」が「悪魔のひき臼」となり、「人々の安心」や「世界的な政治の安定」などを奪った可能性のことでもあるが、今後の注目点としては、やはり、「デリバティブのバブル崩壊がもたらすデジタル通貨の消滅」を想定している。つまり、「世界的な信用消滅」により、世界各国の通貨が「神から紙への変化」をもたらす可能性」のことでもあるが、実際には、「神様のような存在」である「現在のデジタル通貨」そのものが、今後、「コンピューターネットワークの中を流れることができない紙幣」に取って代わられる展開のことである。(2024.1.8)
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言語と通貨の二面性
「言語」と「通貨」とには共通した性質が存在するといわれているが、それは、どちらの場合にも「二面性」が存在する状況、すなわち、「外見と内容の違い」が発生する状態のようにも感じている。つまり、「内容のない言葉や通貨が生み出される可能性」のことでもあるが、具体的には、「平気で噓を付く政治家や官僚」、そして、「単なる数字が通貨となり、世界全体を動かしている現状」などが指摘できるものと考えている。
そのために、現時点で必要なことは、「なぜ、このような状態に陥ったのか?」について、歴史をたどりながら検証することでもあるが、「通貨」の場合には、本来の通貨である「金(ゴールド)」が、その後、徐々に、「預金や金融商品などに形を変えながら、供給量が増えていった状況」が指摘できるものと考えている。つまり、「金貨」と「デジタル通貨」のどちらも、「商品に交換できる性質」には変化がないものの、「過去100年余りの期間に、大膨張したデジタル通貨が、きわめて大きな購買力を持った事態」のことである。
そして、このような変化が発生した理由としては、やはり、「シュペングラーが指摘する大都市の知性と貨幣」が挙げられるようだが、実際には、「それぞれの人が属する共同体の規模拡大により、目の届かない部分が急増した状況」のことである。つまり、「小さな規模の共同体」においては、「多くのことがチェック可能な状態」でありながら、現在のような「グローバル化した共同体」においては、さまざまな不正や犯罪が行われるとともに、「言語や通貨の形骸化」が進展したものと思われるのである。
別の言葉では、「誰も信用できない社会」への変化のことでもあるが、実際には、「選挙における票」や「国民からの税金」に頼る人々が、数多く生み出された状況であり、その結果として、「嘘を付いてでも、票や税金を獲得しようとする人々が増えた状況」が発生したものと考えられるのである。つまり、「根のない切り花」のとおりに、根にある「信用」が存在する限りは、「表面上の通貨制度や国家組織」が存続するものの、現在のような「信用が完全に失われつつある状況」においては、ほぼ一瞬にして、「グレートリセット」といわれる「世の中の大転換」が発生する事態も想定されるのである。
そして、このことが、「800年に一度の東西文明の交代」、あるいは、「1600年に一度のマネーの崩壊」が発生する原因の一つともいえるようだが、注目すべき点は、やはり、「ケインズ」などが指摘する通りに、「100万人に一人も気づかない状況下で、通貨の堕落を意味するハイパーインフレが発生する展開」のようにも感じている。(2024.1.9)
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人類史の呼吸
現在は、「1600年前の西ローマ帝国の崩壊時」と似たような局面に遭遇しているものと思われるが、この点に関する参考意見としては、「カール・ヤスパース(1883-1969)の枢軸時代」が挙げられるようである。つまり、「人類の歴史」をたどると、「2500年ほど前に『第一の枢軸時代』が存在し、現在は、『第二の枢軸時代』に相当する」という考え方のことである。
より詳しく申し上げると、「人類の精神的な覚醒」に関して、「第一の枢軸時代」、すなわち、「紀元前500年前後に、世界の東西に優れた思想家が輩出した状況」だったものが、現在、「第二の枢軸時代」として繰り返されている可能性のことである。別の言葉では、人類全体が呼吸している可能性、すなわち、世界の歴史が、「息を吸い込む期間」と「息を吐きだす期間」に分かれている状況のことである。
そして、この理論に、「村山節の文明法則史学」を加えて考えると、「西暦400年から1200年」までが「人類が息を吸い込む期間」であり、その後の「西暦1200年から2000年が息を吐きだす期間」だったようにも感じている。つまり、「東洋の精神文明」で積み上げられた「信用」が、「西洋の物質文明」で「マネー」となって結実する状況のことであり、この結果として、「現在が、1600年前の西暦424年前後と酷似した社会情勢となっている事実」が説明できるものと考えている。
ただし、今回の相違点は、「西暦400年から1200年の期間に西洋で発生した高度な天文学や技術などの廃棄」が再現されない可能性であり、この理由としては、「11次元にまで発展した自然科学」の貢献により、「世界全体で、人類の英知が保存されている状況」が挙げられるものと考えている。そして、これから想定される「人類が息を吸い込む期間」においては、「社会科学の次元的な上昇」が見込まれるわけだが、実際には、「戦争による土地や資本などの奪い合い」が無くなる展開のことである。
別の言葉では、「歴史の全体像」が見えることにより、「ライプニッツの予定調和説」、すなわち、「神の見えざる手などにより、時間とともに、理想的な社会が実現されていく可能性」の実現である。つまり、物理学が指摘する「四つの力」が深く解明されることにより、「ダークマター」や「人々の祈り」などが、「人類社会の形成に、どのような影響を与えているのか?」が理解されるとともに、「より高次元な社会形成」に、大きな貢献をする可能性のことである。(2024.1.10)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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