本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(451)
- 2024年 3月 8日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究本間裕金融
2024年の世界的金融大混乱
日本時間の「2月1日」に発生した「日本のあおぞら銀行」と「米国のニューヨーク・ コミュニティー・バンコープ」の株価急落は、「2024年の世界的金融大混乱」の予兆のようにも感じている。そして、その理由としては、「1997年から98年の世界的信用収縮」や「2007年から2008年のGFC(世界的金融大混乱)」と似たようなパターンを形成している点が指摘できるものと考えている。
具体的には、「1997年の8月から始まった世界的な信用収縮」に関しては、「約半年の中休み期間を経て、1998年に混乱が本格化した」という状況であり、また、「2007年からのGFC」についても、同様のパターンが繰り返されていたことが見て取れるのである。そして、今回の「2023年8月15日」から始まった「世界的な金融大混乱」についても、同様のパターンが繰り返されるものと感じているが、一方で、大きな相違点としては、「金融機関のバランスシート大膨張のメカニズム」が挙げられるものと考えている。
つまり、「1997年の信用大収縮」については、「民間金融機関のオンバランスにおけるバランスシートの大膨張」が終了した結果の金融大混乱であり、また、「2007年のGFC」については、「民間金融機関のオフバランスにおけるバランスシートの大膨張」が終了した結果の金融大混乱だったものと考えられるのである。別の言葉では、「民間金融機関のバランスシート膨張により、新たなマネーが創り出された状況」を意味していたものと考えられるが、その後の展開としては、「中央銀行のバランスシート大膨張」、すなわち、「リフレーション政策の実施」により「民間資金が政府債務に移行するインフレ政策」が実施されたことも理解できるのである。
そのために、今後の「2024年の世界的金融大混乱」については、「リフレーション政策の終焉」と「ハイパーインフレの始まり」を意味する展開になるものと思われるが、実際には、「中央銀行の資金枯渇」により、古典的な「財政ファイナンス」、すなわち、「債務の貨幣化」が実施される状況のことである。
つまり、「究極のBNPL(Buy Now, Pay Later, いま買って、後で支払う)」が実施された可能性、すなわち、「民間から中央銀行、そして、政府までもが、大量の借金を抱えながら、未曽有の規模での消費を実施した状況」のようにも思われるとともに、この問題を解決する方法としては、「CBDC(中央銀行デジタル通貨)」の失敗後に実施される「紙幣の大増刷」しか残されていない状況であるものと考えている。(2024.2.2)
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金と紙幣とデジタル通貨
過去100年余りの「通貨の歴史」については、「氷が解けて水になり、また、その後に水蒸気になったような状況」とも海外で言われ始めたが、このことは、実に的を射た表現のようにも感じている。つまり、「金(ゴールド)」が「紙幣」になり、また、その後に、「デジタル通貨」へと変化した状況のことでもあるが、この過程で発生したのが、「通貨膨張に伴う経済成長」という「経済面での温度上昇」だったことも理解できるのである。
より詳しく申し上げると、1913年に設立された「FRB」では、「金貨本位制」が採用されており、このことは、「ほとんどの通貨が金貨だった状況」を表しているものの、その後は、「1933年の金貨没収」により「金地金本位制」、すなわち、「政府が金を保有して、同時に、紙幣を発行する状態」へと変化したことも見て取れるのである。また、その後の変化としては、「1944年のブレトンウッズ体制」により「アメリカだけが金地金本位制を採用し、その他の国々は為替でアメリカと連動する金為替本位制」が採用されたものの、究極的な変化としては、「1971年のニクソンショックで、金本位制が廃止された事実」が指摘できるのである。
つまり、この事件をきっかけにして、「紙幣からデジタル通貨への変化」が発生したわけだが、実際には、「1980年代初頭から始まったデリバティブの大膨張により、デジタル通貨を利用した金融商品が大量に生産された状況」のことである。別の言葉では、「通貨の残高」が水蒸気のような状態で大膨張した結果として、「世界的な経済成長」が実現されたものの、問題点としては、「バランスシートの大膨張」がもたらした「資産と負債の急増」であり、また、「バブル崩壊後に発生した不良資産の急増」とも理解できるのである。
具体的には、「民間で発生した不良債権が国家に移行した展開」のことでもあるが、この時の問題点は、「国家債務が、最後の段階で紙幣に変化する事態」であり、実際の状況としては、「2008年前後のGFC(世界的な金融大混乱)以降、中央銀行と国家の債務が急増した事実」が指摘できるものと考えている。つまり、このことは、「水蒸気が雲に変化した状態」を表すとともに、その後、「雨となって地面に降り注ぐ展開」、すなわち、「水蒸気だったデジタル通貨が、再び、水の紙幣に変化する状況」も想定されるのである。
そして、雨となった「水」が地面の土を払い、再び、「金」の輝きを取り戻す展開、すなわち、「通貨が、再び、氷のような状態」に戻る展開も想定されるが、これほどまでの通貨価値の激変は、「1600年前の西ローマ帝国」以来の出来事ともいえるのである。(2024.2.3)
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歴史の全体像
「未来予測」に関して重要なポイントは、「歴史の全体像」を理解することだと感じているが、実際には、「文明法則史学が指摘する800年ごとの東西文明交代」と「自然科学と社会科学における次元の位置確認」のことである。つまり、「800年ごとに、西洋の物質文明と東洋の精神文明が交代しながら、徐々に、自然科学と社会科学が進化している展開」を理解することでもあるが、現在の問題点としては、「11次元にまで進化した自然科学」と比較して「3次元にとどまっている社会科学」が指摘できるものと考えている。
具体的には、「進化した科学技術の使い方を人類が理解していない状況」のことであり、この点については、「ロボコンの父」と呼ばれる「森政弘東京工業大学名誉教授」が指摘する「メスとドスの違い」が参考になるものと考えている。つまり、「刃物」についても、「メスとして使用すれば役に立つが、ドスとして使用されると凶器になる」というものであり、現在の「核兵器」などは、その典型例のようにも感じている。
そのために、今後の注目点は、「3次元にとどまっている社会科学が、今後、どのようなメカニズムで発展するのか?」を理解することだと考えているが、実際には、「1600年前の世界」を研究することが必要な状況とも思われるのである。つまり、「西ローマ帝国崩壊後に、どのような世界が発展したのか?」を研究することでもあるが、実際には、「西洋における文献不足」、あるいは、「日本の未熟な文明」などにより、私自身が「行き詰まり」を感じていた状況だったのである。
より具体的には、「西暦424年から600年までの世界」に関する具体的な資料不足のことでもあるが、この点に関して、今回、気付かされたことは、「中国の南北朝時代が参考になるのではないか?」ということだった。つまり、「五胡十六国から隋の統一まで、どのような社会が築かれたのか?」を理解することであり、また、「現在の中国共産党が、今後、どのような運命をたどるのか?」を観察することである。
別の言葉では、「日々の出来事に注目しながら、神の意志と見えざる手を理解すること」とも思われるが、実際には、「日々の出来事に隠されている真理」を理解しながら、「人知の至らなさ」を認識することである。つまり、「理屈と膏薬はどこにでも付く」という言葉のとおりに、「人知が作り出す妄想」については、「真理の理解や認識」に対する大きな妨げとなるために、「ジグソーパズル」を解くように、「歴史の全体像に、日々の出来事という真理を組み込んでいく作業」のことである。(2024.2.5)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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