【4月27日(土)】第14回 ヘーゲル研究会のお知らせ
- 2024年 4月 2日
- 催し物案内
- ヘーゲル研究会滝口清栄野上俊明
前回に続き、金子武蔵「ヘーゲルの国家観」についての追加的な感想を述べる。この書のテーマは、当然ながらヘーゲルの生涯にわたり国家観、国家論の成立・成熟過程を追跡し、ヘーゲルにおける近代的法治国家の法哲学的な体系構想を明らかにすることにある。したがってこの書において「市民社会」についての叙述はけして多くはないが、その着眼点は、執筆時期がアジア太平洋戦争の真っただ中だったことを勘案すると、非常に先駆的と言ってよいであろう。一例を挙げると、「市民社会」は国家から相対的に独立し、その主権的な包括から逸脱せんとする世界市民的な性格すらもつと述べている。学者研究者を含め、圧倒的多数の国民が天皇制国家のオールマイティさを疑わなかった時代に、今日の世界市民社会―主権国家の枠組みを超える世界横断的な活動領域―の在り方すら示唆している。過大評価は戒めたいが、金子の先見性は大いに評価されていいであろう。
近代的な観点に立てば、国家なくしては立法・行政・司法もない。というか、三権は国家機構のそのものである。しかしヘーゲルは市民社会論の中で法の成立や司法の在り方を論じる。我々はそのことの意義を十分に汲み取らなければならない。ヘーゲルの法思想においては、市民社会における活動は、最終的には国家に包摂され法的な認知を受けるとるのであり、法は国家において現実性を獲得する。その意味でヘーゲルは国家主義者と言えるが、それはヘーゲルがホッブスやロック、ルソーらに淵源する近代自然法思想との内在的な対決と超克を経て到達した地平なのである。それは、「最高の共同性が、最高の自由である」とする、多分にドイツ的ニュアンスを帯びたテーゼなのである。
記
1.テーマ:ヘーゲルの市民社会論
中央公論社「世界の名著」の「ヘーゲル・法の哲学」から
第二章 市民社会(§182~§256)を講読会形式で行ないます。今月は§228からです。
★国内では数少ないヘーゲル「法(権利)の哲学」の専門家であり、法政大学で教鞭をとられた滝口清栄氏がチューターを務めます。
1.とき:2024年4月27日(土)午後1時半より(毎月の最終土曜日定例)
1.ところ:文京区立「本郷会館」Aルーム
――地下鉄丸ノ内線 本郷三丁目駅下車5分 文京区本郷2-21-7 Tel:3817-6618
1.参加費:500円
連絡先:野上俊明 E-mail:12nogami@com Tel:080-4082-7550
参加ご希望の方は、必ずご連絡ください。
※研究会終了後、近くの中華料理店で懇親会を持ちます。
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