Global Head Lines：シュレーダー前首相への批判 「プティン受益者制裁リストに載せるべきだ

＜荒井敏生（あらいとしお）：哲学・ドイツ現代史＞

２０２４年４月７日ゲルハルト・シュレーダー元首相は８０歳の誕生日を迎えた。社会民主党SPDで祝福する人はほとんどいない。彼とプティンとの友好関係のために距離を置いている。ドイツZDFは７日次のように報じた。

シュレーダー前首相はロシアとの距離をこれ以上置かせようとはしないので、増々多くの政治家が彼に対する制裁を求めている。これに関しては元首相の一般会計からの給付金についても議論されている。

ゲアハルト・シュレーダー前首相は、ロシアとウアラディミール・プティン大統領との密接な関係を再三強調し、つい数日前の『ニューヨーク・タイムズ』でも発言は依然変わらない。それ故、FDP、緑の党、CDUなどの政治家たちは、彼に対する制裁に賛成の声を上げている。「彼をできるだけ早く、プティン受益者制裁リストに載せるべきだ。」とFDP幹部会メンバーのモーリッツ・ケルナーは『ハンデルス・ブラット』で語った。シュレーダーは現在のドイツでプティンにとって最も重要な人物だ。「彼はもはやドイツ国内のクレーム・ド・クレーム（crème de crème クリームの中のクリーム　えり抜き、精髄の意）ではなく、クレーム・ド・ラ・クレメル（crème de la Kremel クレムリンのクリーム）だ。」

CDUの外交政策専門家ローデリヒ・キーゼヴェターも制裁を弁護する。シュレーダーがいまだにプティンとロシアから距離を置いていないという事実は、彼がどれほど深くこの仕事に関わっているかを示していると連邦議会の議員は語った。「だからこそ制裁が提唱されるべきであり、これはまさにプティン一派を攻撃することになる。シュレーダーはプティン一派の一人だ。」

緑の党のEU議員ラインハルト・ビュティコファは「ウラディミール・プティンに身を売った」シュレーダーや元欧州政治家に対する制裁措置を検討すべきだと呼びかけた。さらにシュレーダーは元首相の役職交付金をはく奪され、SPDから追放されるべきである、とビュティコファは『ハンデルスブラット』に語った。最近すでにシュレーダーの党の同僚であるミヒャエル・ロートは元首相に対するEU制裁を表明している。

昨日（6日）『ビルト』は関係筋の話として、首相府の予算におけるシュレーダー事務所の予算科目が２０２３年の連邦会計の審議により削減されることを報じた。

編集ネットワークドイツ（RND）のインタヴェーで、緑の党イレーネ・ミハリク議会党首は連邦議会の予算委員会が元首相の特権の根本的な削減を検討していることを強調した。「現在元首相の役職交付金に関する規則の改訂について協議が行われている」とミハリクはRNDに語った。この改訂はまたシュレーダー自身にも及ぶことになろう。

しかし、これは恣意的な支払削減でなく、法治国家ではオプションではない（必然である）とミハリクは強調した。「いずれにせよ我々はシュレーダーの行為とプティン政権との密接な関係を可能な限り強い言葉で非難する。」と述べた。

連邦大統領と連邦府のメンバーの年金は法により定められているが、事務所と人員の給付金は連邦議会の予算から支払われる。シュレーダーは現在前首相事務所で9つの職位を持つが、連邦議会によるとそれに対し昨年国庫から407、000€支払われた。しかし、現在は戦争勃発後に従業員がやめ、後継者が見つからないため空位となっている。従って予算委員会は現在２０２３年連邦予算の職位の削減を検討している。

ヴォルフガング・クビツキ連邦議会副議長はRNDに対し「ドイツ連邦議会の予算委員会は税金に細心の注意を払い、この問題について賢明な決定を下すだろう」と語った。シュレーダー事務所の職位が現在埋まっていないのであれば、事務所スペースの提供に実際的に意味がない。

SPD党首サスキア・エスケンは６０年近くSPD党員を務めるシュレーダーに党をさるよう求めた。元首相に対しSPDからの除名につながりかねない党規制手続きはすでに執行されている。

Agenda 2010により産業構造の改革を行い、Nordstromでロシアからの安いエネルギーで物を作り中国に販売するというシュレーダーのモデルは、米国の中国経済封鎖・ロシア経済封鎖という政策により壊されたしまった。2024年のドイツ経済の成長予測は0.1％。その達成も危ぶまれている。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
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