ハンガリーの五輪メダル賞金と年金事情 日本もアマ選手には年金を
- 2024年 8月 13日
- 評論・紹介・意見
- 「リベラル21」オリンピック盛田常夫
ハンガリーのパリ五輪報奨金は前回の東京五輪の時の10%増しと決められました。今次のメダル獲得者と入賞者(8位まで)の報奨金は以下の通りです。
金メダル 5500万Ft(フォリント・1人当たり)
銀メダル 3900万Ft
銅メダル 3100万Ft
4位 2300万Ft
5位 1500万Ft
6位 1200万Ft
7位 600万Ft
8位 300万Ft
現在の為替レート(1フォリント≒40円)で換算すると、金メダル受賞者はおよそ2300万円の報奨金を受けることになります。
ところで、ハンガリーでは1998年から、メダル獲得者に年金が付けられるようになりました。これはプロ競技がない種目で、選手の生活が苦しいことから導入されたもので、その額は法令で決められます。
現在の法令では、基準になる年金額は前年の平均給与月額(グロス)が算定基準になり、その額は571,200フォリントです。金メダル受賞者はこの全額、銀メダルは70%、銅メダルは50%が、算定基礎になります。この基準額に獲得したメダルの数を掛けたものが、年金総額になります。
「鉄の女」として知られた競泳のホッスー・カティンカは今年35歳になり、五輪メダル選手の年金支給年齢に達しました。彼女はこれまでの五輪で、3個の金メダルと1個の銀メダルを獲得したので、年金基準金額の3.7倍が年金月額になります。つまり、571,200フォリントの3.7倍である2,003,440フォリントが彼女の年金月額になり、35歳に達した時からこの年金が生涯にわたって支給されます。平均給与月額が変われば、それに応じて年金額も変わります。現在の為替レートで、およそ月額80万円の年金が生涯にわたって支給されるということになります。
この年金が多いかどうかは意見が分かれるところですが、1年しか大統領職を務めなかったノヴァク・カタリンは月額460万フォリントの終身年金を得ているほか、彼女の住居、専用車(運転手付き)、事務所秘書3名の費用も国庫から支給されています。こちらの方が法外なぼったくりと言われても仕方がないでしょう。国の経済力に見合わない特権を、エリートに与えていると言われても仕方がありません。
ハンガリーに比べて、日本の報奨金はあまりに低すぎます。プロ競技のない種目のスポーツ選手を鼓舞するには、せめて年金を付ける工夫が必要かもしれません。
(8月10日)
初出;「リベラル21」2024.08.13より許可を得て転載
http://lib21.blog96.fc2.com/blog-category-22.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion13841:240813〕
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。