選挙の狂騒とその後の索漠 ―でも、それを味わえることこそ幸せ?
- 2024年 10月 28日
- 評論・紹介・意見
- 「リベラル21」田畑光永衆院選挙結果
このブログに眼を止めてくださった皆さんは、今、何を感じておられるだろうか。昨日の衆院議員選挙の結果を喜んでおられるか、がっかりしておられるか、あるいはなにも特別の感情は抱いておられないか・・・。じつは私はつまらない連想から選挙とはまことにありがたいものだなあと感じ入っている。それを聞いていただきたい。
話は関係ない方向へとぶが、ウクライナ国防省が24日、北朝鮮の部隊がロシア西部のウクライナとの戦闘地域に到着した、と発表したという報道を読んだ。やはり、と頷いた一方で、ふと、その兵隊さんたちはなんと言われてウクライナへ向かったのだろうという疑問が湧いた。目的を聞かされているのだろうか。
北朝鮮は最近、憲法を改正して、韓国を「敵対国家」と定めたそうだから、もし韓国と戦えと言われて戦場へ赴いたのだとしたら、納得するしないはべつにして、それが国家の意思かととりあえず、自分の行動の意味は分かる。
しかし、朝鮮半島とロシアの西側の国境地帯はあまりに遠い。そんなところへ連れていかれて、見ず知らずの、勿論、恨みも怒りもない人たちと殺し合いをさせられるとなった時、いったい彼らはなにを感ずるのだろうか。
自分なら、と考えると、そんなバカな!と抗議するくらいしか思いつかないが、それでどうなるものでもないことはすぐわかるだろう。その時、自分はどうするか、何を思うのか、思わないのか、見当もつかない。
なぜこんなことを考えたか。じつは22日から24日まで、ロシア西部のカザンというところで開かれたブリックス(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の拡大首脳会議のニュースを見ていて、その5カ国以外にもブラジル、イランといったメンバー国以外の首脳が何人も参加しているのに、その中に北朝鮮のあの太った独裁者が見えなかったからである。
ロシアのプーチン大統領は今年6月に北朝鮮へ出かけて、自分が運転する車の助手席に金正恩総書記を載せてドライブする姿を撮らせたりして、友好関係を宣伝し、両国間で「包括的戦略パートナーシップ条約」なるものを締結した。
北朝鮮軍のウクライナ派遣もその流れの中で合意されたものでああろう。しかし、それにしてもプーチンはなぜブリックスの会議への招待者に金正恩を加えなかったのだろう。まるで掃除道具でも借りるように、兵員を借りて、ウクライナ軍の戦火の前に晒そうというなら、自分の仲間との会合に参加させるくらいの気持を見せたらどうだったのか。開催地はほかでもないロシア領だったのに。
これはまぎれもなく、金正恩を小ばかにしていることを内外に誇示したものだ。彼の軍隊を戦場の盾にしようとしていること自体もプーチンは表向き明らかにしていない。ニュースを聞いていて、派遣される兵員に支給されるものとして「トイレットペーパー50メートル」という言葉があることに、私は言葉を失った。そんなものまで、あたかも恩恵のように言わねばならないほどの待遇で、場合によっては命までも落とさねばならない環境に他国人を置こうとは・・・。
独裁者とは窮地に陥ればなにをしでかすか、まったくブレーキのかからない人間のことだ。なんの理由もなしに、ウクライナを屈服させようとして、2年半も両国民に殺し合いをさせているプーチンも、相手が先に夜襲をかけてきたといって、1年以上も砲弾を民衆の居住地に注ぎ続けるネタニヤフも、独裁者ならではの脳の壊れようだ。
すくなくともこんな輩は、選挙では当選しない(はずだ)。万一、当選しても、すぐ落とせる。選挙があって、よかったではないですか、皆さん。(241028)
初出:「リベラル21」2024.10.28より許可を得て転載
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