選挙で変わるか 韓国通信NO756
- 2024年 11月 2日
- 時代をみる
- 「リベラル21」マイナンバーと女川原発小原 紘
石破新首相のもとで行われた衆院選挙は与党の敗北、野党側の勝利に終わった。メディアと一体となった争点隠しが功を奏して大きな変化は望めないと踏んでいた私には予想外の結果だった。「読み」が浅いなあと友人に笑われた。
与党の過半数割れはたしかに「事件」に違いはない。次の首相は誰か、どの野党と連立を組むのかとれ連日大騒ぎである。
だが、「変わらない」という私の予想は現実になりつつある。
まず、あれほど信頼を失墜した自民党が191議席を獲得したことを挙げておきたい。私には自民は負けたのではなく勝利したように感もじられる。
原因は野党の力不足にある。共産党を除いた野党は裏金問題、生活苦の解消策を並べて国民の歓心を買うことに終始した。腐敗した政治構造と弱肉強食の経済を抜本的に変革する意欲も提言も無く、いわば与野党ともに同じ土俵の中で点数稼ぎに終始した。
特に問題なのは立憲民主党だ。野田新代表が穏健な保守層を取り込もうと憲法問題、安保法制、原発問題を避けたために争点があいまいとなって自民党に痛打を与えるチャンスを潰した。得たのは経団連と連合が許容する50議席増148議席程度の「躍進」に終わった。国民の怒りを結集する努力もせず無難な道を選んだ結果だ。
立憲の曖昧路線の恩恵を受けたのは自民党だけでない。改憲、原発推進の国民民主党まで余得にあずかるという皮肉な結果を生んだ。山本太郎が率いる「れいわ」に共産党が後塵を拝したのも記憶に残った。
<マイナンバーと女川原発>
もはや「死に体」の政権が、こともあろう能登地方の救援を後回しにしてマイナンバーカードと運転免許証の一体化を10月29日に閣議決定した。保険証としての利用が10%台と低迷するマイナンバー制を一歩進めるという。何という不遜。行政の簡素化を主張する政府の真の狙いは情報の一元化による人間管理。行き着くところはジョージ・オーエルの『1984年』が描く徹底した管理社会である。自分たちの政治資金は秘密にして国民の頭のてっぺんから足のつま先、懐具合まで把握することをもくろむ政府。こんな虫のいい話に国民のための政治を主張する野党は沈黙してはいけない。
同じく29日。女川原発の再稼働が伝えられた。再稼働反対の運動が全国で繰り広げられるさなかである。原発依存に舵を切った政府を放置してよいのか。脱原発を掲げる立憲が女川原発の稼働を容認するのは選挙で負けたようなもの。
オール与党化が進み、「何にも変わらない」という私の予感が当たらなければいいが…。
突出する防衛予算と軍備拡張、憲法、貧困問題、日米地位協定、食糧の自給問題、食の安全、武器生産と輸出問題、沖縄の基地問題、検察と裁判の民主化、選択制夫婦別姓、少子高齢化社会、年金、介護等わが国はかつてないほど深刻な問題を抱える。積年にわたる自民党政治の弊害に対する冷静な国民的議論が必要だ。選挙のやり直しを提案したい。
初出:「リベラル21」2024.11.02より許可を得て転載
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