変革のアソシエ講座:都市の精神史 ――ベンヤミンの視点に添いつつ
- 2011年 9月 28日
- 催し物案内
【変革のアソシエ講座 場所:協働センター・アソシエ】
都市の精神史
――ベンヤミンの視点に添いつつ
高橋順一
(全5回・第2水曜日、19時~21時)[10月12日開講]
20世紀ドイツにおいてもっともユニークかつ草命的な思想家だったヴァルター・ベンヤミン(1891―1940)は、都市に対して鋭敏かつラディカルな洞察を行なった最初の思想家でもあった。ベンヤミンの生涯はつねに都市体験と不可分なかたちで結びついていた。それはベルリンでありワイマールでありパリでありモスクワだった。都市はベンヤミンにとって多義的な解釈を誘発する謎をはらんだテクストに他ならなかった。しかもこのテクストは歴史という場に属する生きたテクスト、たえず人やものの交還にさらされ、ときには血なまぐさい反乱や暴動のダイナミズムを噴出させるマテリアルなテクストでもあるのだ。本講座ではベンヤミンと関わりの深かった都市をいくつか取り上げ、そこから見えてくる都市の精神史の構図を検証してゆきたい。あるいはそれは近代世界の深層史という意味を持つかもしれない。
(2011年)
[1] (10月12日) ベルリン(1)シンケルからバウハウスへ
[2](11月 9日) ベルリン(2)戦争と革命
[3](12月14日) パリ (1)なぜパリなのか
(2012年)
[4]( 2月 8日) パリ (2)『パサージュ論』
[5]( 3月14日) ウィーン(番外編)反動と革命
◎講師◎
高橋順一 (たかはし じゅんいち)
(早稲田大学教育・総合科学学術院教授、「変革のアソシエ」共同代表、『情況』編集委員)
略歴:1950年宮城県生まれ。立教大学文学部ドイツ文学科卒業。埼玉大学大学院文化科学研究科修士課程修了。2010年4月から一年間ライプツィヒ大学東アジア研究所客員教授。
専攻:思想史
著作:『現代思想の境位』(エスエル出版会、1984年)、『始源のトポス――経験の現象学と象徴作用の解釈学』(エスエル出版会、1986年)、『越境する思考』(青弓社、1987年)、『市民社会の弁証法』(弘文堂、1988年)、『ヴァルター・ベンヤミン――近代の星座』(講談社現代新書、1991年)、『響きと思考のあいだ――リヒャルト・ヴァーグナーと十九世紀近代』(青弓社、1996年)、『戦争と暴力の系譜学――〈閉じられた国民=主体〉を超えるために』(実践社、2003年)、『ヴァルター・ベンヤミン解読――希望なき時代の希望の根源』(社会評論社、2010年)、『ニーチェ事典』(共編著、弘文堂、1995年)、『吉本隆明と親鸞』(社会評論社、2011年)、『吉本隆明と共同幻想』(社会評論社、2011年)ほか。
翻訳:ベンヤミン『パサージュ論』(全5巻、共訳、岩波現代文庫、2003年)、アドルノ『ヴァーグナー試論』(作品社近刊)がある。
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