3.11を思い起こして
- 2012年 2月 25日
- 交流の広場
- グローガー理恵
ドイツ人反原発運動者、Stefan Diefenbach-Trommerさんが思い起こす「3.11」です。 福島原発事故発生のニュースは、一人の反原発運動者の目にどのように映ったのでしょうか? その後、下の「Nach Denk Seiten、2011年11月15日付」の記事が告げていますように、ドイツの反原発運動は、どんどん勢いを増していきました。:
「しかし、利潤追求主義の原子力会社にべったりのメルケル政権をびっくり仰天させる、或る事が起こった。福島原発事故・メルトダウンを切っ掛けに、何十万もの民衆が通りに出て、「即脱原発」を叫び、訴え始めたのだった。そして、3月27日に行われたバーデン・ヴュルテンベルク州選挙で、保守党と自由民主党は惨敗した。グリーン党が著しく勢力を伸ばし、バーデンー・ヴュルテンベルク州にとって最初の、グリーン党/社会民主党連立政権が発足した。この選挙結果は、多数の住民が出来るだけ速い脱原発を願っていることを明らかに示していた。」
http://www.nachdenkseiten.de/?p=11298#more-11298
http://chikyuza.net/archives/16928
*Ausgestrahlt Newsletter
2012年2月15日
フクシマ: 戦いは終っていない。
筆者:Stefan Diefenbach-Trommer
親愛なる友人たちへ
あれから、もうすぐ一年: 2011年の3月11日から13日までにかけての週末の三日間。これらの日々は僕の人生にとって、最も長かった日となることだろう。
3月11日の金曜日、僕たちは「*Neckarwestheim」原子力発電所で行われる大きなヒューマンチェイン・アクションへの準備の真っ只中にあった。
僕が、日本で起こった災害のニュースを聞いたのは、Stuttgartへ向かう途中の列車の中でだった。: 津波。 そして、コントロールを失った原子力発電所と核廃棄物貯蔵所 (4号機の使用済み核燃料が入っているプールのこと)...。 この事は、僕たちが計画していた反原発活動に全く新しい展望を与える事になった。
3月12日土曜日、僕はStuttgartにあるヒューマンチェイン事務所に座りながら、プレスの質問に応答したり、インターネット・サイトをアップデートしたり、写真をサイトに掲載したり、ヒューマンチェインのセクションを数えるのを手伝ったりしていた。そして、その間中ずっと、僕に不安な疑問が付きまとっていた。: 事故はもっと悪化するのだろうか?フクシマで原子炉が一基、爆発するだろうか?放射能の雲が日本を覆うだろうか?もしかしたら、25年前の事故がチェルノブイリやヨーロッパを汚染したように、フクシマ事故は太平洋全域を汚染するのでは....?
ヒューマンチェインが組み立てられている間、僕たちはインターネットに「反原発アウェアネス・キャンペーン」のアクションを皆に訴えるブログをポストする作業に取り掛かり始めた。それから、ショック、憤り、恐れに駆り立てられた何百人もの人達が、僕たちのアピールに応えてきた。それぞれが、自分たちの地域で「反原発アウェアネス・キャンペーン」を喚起しようと動き始めたのだった。メールが数分ごとに入ってきて、最後には、3人のスタッフが殆ど一日中、キャンペーン・アクションの日付を記入したり場所をウェブマップに書き入れたりする仕事に付きっきりとなった。
そして、批判も僕たちの所に届いた。: 「どうして君たちは、この悲惨な大事故を利用して政治的利益を得ようとするのか?君たちは弱者にたかって利益を貪るハゲタカのようだ!」と。
恰も僕たちがこの災害を喜んでいるかのようにである... いや、これは不運にも、僕たちの警告の全てが真実だったことを証しているのだ。僕たちは原子力に対して戦うのだ。何故なら、僕たちは原子力が如何に危険であるかを知っているからだ。小さな原子力災害に対しても大きな原子力災害に対しても、僕たちは懸念する。これらの懸念・憂慮が、大規模な原発反対運動に支えられ、終に、17基の原子力発電所のうち8基の原子力発電所を永久に閉鎖させるという連邦政府の決定に至らせたのだ。
残りの9基の原子炉の閉鎖時期も決定された。-しかし、原子炉閉鎖までに10年以上もかかるべきではない。我が国の全ての原子炉閉鎖がなされるまでに、3つのドイツ連邦議会選挙がある。そして、もう既に、原子力ロビイストたちは「脱原発することは間違いですよ」と、何としてでも社会を説得しようと懸命になっている。
一年前、ヒューマンチェインの最後のポイントだったNeckarwestheim原子力発電所では、未だに1基の原子炉が稼動中だ。Neckarwestheimと他の5つの地域で、3月11日の日曜日には大きなデモが行われる。
なぜなら僕たちは、原子力の脅威が存続する限り、油断したくはないからだ。
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-*「Ausgestrahlt」は2008年に設立されたばかりの、ドイツにある他の環境保護NGOに比べますと極めて新しい反原発・再生可能エネルギー支持組織です。
-**「Neckarwestheim」原子力発電所の英文Wikipediaへのリンクです。
http://en.wikipedia.org/wiki/Neckarwestheim_Nuclear_Power_Plant
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