テント日誌6月12日経産省前テントひろば641日目~やはり梅雨はやってきました。ホタルも差し入れられて…
- 2013年 6月 14日
- 交流の広場
- 経産省前テントひろば
どくだみの花いきいきと風雨かな」《大野林火》。名前からか、悪臭を放つからか、敬遠されがちな草花だが、梅雨時に咲く花は結構可憐である。テントの周辺でも、公園でも目にとまる。これも梅雨の花なのだろう。梅雨は鬱とおしいが、こころの持ち方で変わってくる。この季節の独特の感じはエロスを感じさせるところもあって僕は嫌いではない。ただ、最近は台風を伴うことが多いのが気になる。テントは雨よりも風が厄介だからである。台風のない梅雨でというのも何か変だが、台風はやはり秋のものだろう。
テントには水槽に入ったホタルがさしいれられていた。蚊帳の中ではなしてみたらという思いが頭を掠めたが、あれはホタルが無尽蔵のようにいた時代のことでそんな贅沢を今は出来ないのだと思った。人はその生きた時代を無意識に生きるのであり、それが意識されるのは時間を経てからだ。大事なことに気がついたり、物事が見えてきたりすることの多くは、事が過ぎさったあとで、そのときはどうすることもできないものだという苦い思いはいつの場合にもある。だから、この思いは未来に対する思いになって生きるしかない。ホタルが無尽蔵にいる環境を未来のこととして思うしかないのだ。未来というのはそんな風にしかないことも確かだろう。失われてしまったものヘの思いや反省があってこそ未来は切実なものとしてやってくる。政治家や政党の語る未来に空虚な感じしか受け取れないのもそれが欠如しているからではないか。原発の未来を語りたいのなら、それで失われたものを考えなければならない。僕らに今、未来が見えにくいことは過去が見えにくいことと同じなのだ。過去が見えた時、未来も見えてくるのではないか。
原発の議論はやりにくいということがよく伝えられる。これは原発問題の盛り上がりということでもあるわけだが、テントの内での議論としてもある程度は言い得ることかもしれない。テントの内では若いOさんという女性を囲んで話の中でこのことが話題になった。原発問題は左右のことと関係ないというのはどういうこととの問いかけに答えようとして気がついたのだのが、このことも起因しているのかと思った。左右と関係ないということは、左右のイデオロギーとは関係がないということだ。原発の是非は社会的制度の是非(例えば資本主義制度と社会主義制度の是非)とは直接的には関係なく、その存在が社会的存在としてどうか問われている。社会制度《体制》を超えた問題であり、どのような社会制度でも問題となるというわけだ。だから、自然と社会の関係の関係とかが中心に問われる。この間にエコロジーや環境問題として議論されてきたことと関連することだ。なぜ、この議論が盛り上がりにくいかというと、社会的な議論が社会制度の是非をめぐるものが長い間に中心を占めてきた事情があるからではないのか。俗に階級関係《貧困も含めて》という社会関係が緊急の思想問題であった歴史(特に大正時代以降)があり、自然と社会と言うような現在的な社会問題にはとっつきにくいということがあるのかも知れない。若い人は違うのかも知れないが、年配の面々にはそれがあるように思う。これは脱原発や反原発の運動の主体の問題であると言えようか。
だが、これにはもう一つ原発を存続させてきた方がその社会的意味や存在の是非の議論を回避し、隠蔽させようとしていることも深く関係していると思う。政府や経産省や原子力ムラなどは核の平和利用や安全神話という過去のことを総括しないだけでなく、現に起こっている事故についてまともに検討しようとしているとは見えない。事故そのものに向かいあうと言うか、現実に目を開こうとしてはいない。それが感じさせられるようなものには出会わない。ひたすらことを隠蔽し、これまでの原発の生み出してきた既得権益にしがみついてそれを守ろうとしている。闇の向こうで蠢いていて、この問題で議論する態度はみえない。日本の権力や体制が秘密裡に、闇の中でことを進めてきたことを相変わらずやっているのだ。国会に設置された「原子力問題委員会」だって開店休業の様子らしい。自民党は逃げをうち、民主党も電力労組に配慮して消極的だと伝えられる。これは象徴的なことだが、議論はさけ、水面下でことを進める日本の官僚権力のありようが続いているのだ。
原発を推進してきた主体だった経産省や原子力ムラから事故の総括や反省を誰も聞いてはいない。これは摩訶不思議なことである。僕らは経産省の一角にテントを張りそれを要求したが、彼らの答えは国有地につき出て行ってくれということだけだ。あるいは監視カメラで行動を見張るだけだ。僕らは今、土地の不法な占拠《占有》として訴えられているが、少なくともこの裁判を経産省と僕らの間で原発問題を議論するものにしたい。これを大きな議論を生みだす媒介にしたい。問題の本質を避け、瑣末なことで本来の問題を通す権力のやり方に対して、議論を起こす闘いで挑みたい。裁判では弁護団や応援団もできて体制は進んでいる、経産省と僕らの間での原発をめぐる議論を作り出すようにこれを生かしたい。全体的には持久戦の様相にある現下の脱原発運動だが議論を作り出すことで風を起こして行きたい。テントの持続だってやさしくはないがここが議論を生みだす場として機能することでそれを克服したい。(M/O)
☆★☆★☆★ 大飯1周年行動へのバスツアーでの参加 ☆★☆★☆★
6月29日(土) 午前8時集合(新宿駅西口スバルビル前)8時15分出発(バス1台)
→小浜市・明通寺(中嶌哲演さんのお寺) コンサート+哲演さん、木原壮林さんのお話(宿泊は明通寺もしくは民宿)
6月30日(日) 午前中;全国交流会(大飯町・大島公民館)
13時半 全国集会(大島公民館)→ゲート前へのデモ(16時終了予定)
→帰京 22時頃(新宿西口)
費用:16,000円(バス代+宿泊費)
問い合わせ 070-6650-5549 再稼動阻止全国ネットワーク
090-1791-1105(八木)
申し込み 以下の添付文書の申し込み用紙に必要事項を記入の上
FAX 03-3238-0797(たんぽぽ舎気付)
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