「ブルマン!だよね」さんへ&ヤブロコフ博士講演について
- 2013年 6月 25日
- 時代をみる
- グローガー理恵フクシマとチェルノブイリ
「ブルマン!だよね」さん、私のコメントに早速お答えくださって有り難うございます。
「ブルマン!だよね」さんが仰るように、このような重大な問題に関しては、きちんとしたデータを基にコメントすべきでした。
「ブルマン!だよね」さんも 既にご存知のことと察しますが、2013年5月19日に岩手大学で*アレクセイ・V・ヤブロコフ博士の講演が催されました。幸いにも私は、その講演録のコピーを入手することができましたので、その一部をご紹介させて下さい。盛岡市からの男性がヤブロコフ博士に質問している部分で(講演録26ページ)、彼の問いは甲状腺ガンにも触れています。:
*アレクセイ・V・ヤブロコフ博士のWikipediaリンク:
盛岡市の男性
福島県では、この冬期間の3ヶ月に、心筋梗塞で、事故前の同じ時期よりも120人
も余計に死んでいます。この心臓死ですが、チェルノブイリ周辺国で、心臓疾患で突然
死する事例がどのようになっているのか教えてください。もう一つは甲状腺癌ですが、
女性の方が男性よりも数倍多く罹患するというようなことがわかったとされています
が、なぜそうなのか、生物学的に説明がなされうるのか、お分かりなら教えてください。
さらに、今後2年後、事故から4年後の甲状腺癌の大発生といいますか、非常に心配し
ておりますが、予防方法などもお願いします。
《癌以外にも放射線障害の病気が多発する可能性がある》
ヤコブロフ博士
まず甲状腺の癌についてですが、大量の罹病が始まるのは今から2年後と予想されま
す。では予防に相当するものですが、これはエコーによる診断を頻繁に行う必要があり
ます。つまり小さな結節が大きくなって、ガンに転化していないかを早く知るために絶
えず観察してゆく必要があります。
現時点で福島周辺地域では約40%の人々の甲状腺に結節や嚢胞があるといいます。
同様な状況がチェルノブイリ事故の後もベラルーシやウクライナ、ポーランド、チェコ
スロバキアなどにありました。つまり癌ではないけれども癌の前の状態の小さな傷が
40%の人に見られていたのです。この40%の人たちがその後癌に発展しうるのは1
~2%の人ということになります。そして先程言いましたように定期的にエコーによる
診断を受けていますと、癌に転化した場合でもごく早期の段階で癌になったということ
がわかるのです。そうしますとその早期の甲状腺癌は、初期の場合は手術をする必要
が無く、例えばホルモンによる治療が可能ということもあります。
そして癌は実は、こういったチェルノブイリの、そして福島の場合の恐ろしい影響、
後遺症の10%から15%に過ぎません。つまり90~85%は何かというと、他の病
気ということになります。その中でも特に心臓系統、血管系統の病気とか、神経系統の
病気がより多く深刻になると思います。例えば皮膚の細胞は1ヶ月で入れ替わりますが、
血管などの体の中の管の細胞は、放射性物質などを吸収してしまうと、その物質を長く
抱え込んだままであり、また細胞が生まれ変わる速度が遅いからであります。
これから時間が経って起きる影響では、性の分野での障害が大きくなると思います。
女性に関しての月経の困難、あるいは更年期(メノポーズ)などがより困難になると思
います。また、男子の場合であると精子の数が減るし、また質も悪化する。ですから
男の子が結婚年齢になる時には精子の検査を必ずする必要があると思います。つまり異
常な子供というものを産むのか産まないのかということも、それで判断が出来るという
ことであるし、精子の内容、質を改善する策というものもありますので、精子の検査を
して必要であれば対策を取ってゆけば良いわけです。
もちろん万人に当てはめることが出来る処方箋ということはないわけですが、ただ知
識を蓄えた専門家たち、そして専門的なことが書かれた、実績に基づいて書かれた本も
たくさんあります。チェルノブイリの事故の後ですが、例えば『チェルノブイリの子供
たち』、『チェルノブイリの母親たち』、『チェルノブイリの医師たち』といったような名
前がついた組織がいくつも生まれました。これらは専門家の組織であったり、また自分
は専門家ではないけれどもこういった問題に興味を持っていて内容を深く知るという
人達の団体であります。そういったところでまとめた資料によって学習したり、あるい
は皆様のような関心のある人たちが自分たちでまとめて、より深く勉強し てゆく ことが
必要であり可能なことであります。
*アレクセイ・V・ヤブロコフ博士のWikipediaリンク:
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔eye2306:130625〕
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