<村田光平さんのメッセージ>核廃絶へ向けての日本の歴史的使命──福島の教訓
- 2013年 12月 17日
- 評論・紹介・意見
- 村田光平
福島原発事故発生後2年9か月余を経ましたが、今や原発過酷事故は、単一の国家にせよ、電力会社にせよ、これを収束することは不可能であることが否定できなくなりました。原発は存在そのものが安全保障にかかわることが示されました。6人の元首相(菅、鳩山、野田、細川、小泉、村山)を含め日本国民の大半は原子力発電に反対するに至っております。
悲しいかな、日本はいつまでも癒えることのない核の傷に喘いでおります。広島、長崎、そして福島を経て、民事、軍事を問わない真の核廃絶の実現に貢献することは日本の歴史的使命となりました。これこそ福島の教訓です。
国際市民社会の有志の要請に応え、最近、オバマ大統領及び潘基文国連事務総長にメッセージを発出いたしました。
・・・・・
オバマ大統領には次のように訴えました。
「前例のない複雑な状況下で史上初めて始まろうとしている4号機からの使用済み燃料棒の取り出しの危険に対処するために、国際タスクフォースを設置してあらゆる措置をとることにより日本を支援することが緊急に必要となっております。そのためには日本政府が全面的に責任を担う体制が求められます。必要となる膨大な資金は東京電力ではなく、政府が全面的に管理しなければなりません。直面するのは国家としての日本の危機であり、東京電力の経営危機ではありません。福島の教訓の一つは経済重視から生命重視へ移行しなければならないということです。」
・・・・・
潘基文国連事務総長には福島危機に関し下記の通り重大な懸念を伝えました。
「国家としての日本の危機がなんと東電の経営危機として対処されております! 原発の再稼働を東電およびその他の電力会社が求めているのです。2004年、私は日本の命運は電力会社により左右されると警告いたしました。今や世界の命運が電力会社により左右されると警告しております。国家としての日本の危機です。世界の安全保障問題です。」
・・・・・
民事、軍事を問わない核廃絶に向けて前提となる国連倫理サミット、力の父性文明から和の母性文明への移行を、今後とも引き続き訴えてまいる所存です。
和と寛容の母性文化が特徴付けるケネディ大統領及びオバマ大統領ですが、その母性文化の流れをくむキャロリン・ケネディ大使の着任は将来に希望を抱かせるものがあります。同大使の着任に際し下記の書簡を発出し、次のように核廃絶に向けての協力を要請いたしました。
「貴大使がケネディ大統領の人道主義と平和主義の精神を継承されておられることは広く知られております。この精神はオバマ大統領により共有されているものです。ケネディ大統領はキューバ危機の解決に決定的役割を果たされ、世界を救われました。オバマ大統領は核廃絶という重大な課題に挑戦され、核兵器のない世界を訴えておられます。
悲しいかな、日本はいつまでも癒えることのない核の傷に喘いでおります。広島、長崎、そして福島を経て、民事、軍事を問わない真の核廃絶の実現に貢献することは日本の歴史的使命となりました。これこそ福島の教訓です。
確実に際立った発展が予見される日米二国間関係の中で、核廃絶は中心的な協力分野になり得ると確信いたします。」
皆様のご理解、ご支援をお願い申し上げます。
(経産省前テントひろば・テント日誌12月16日特別版より)
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion4690:131217〕
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。