911未解決事件:ツインタワー上層階の落下が示す真実(第1部)
- 2014年 8月 21日
- 評論・紹介・意見
- 童子丸開
バルセロナの童子丸です。
イラクで自称「イスラム国(ISIS)」なる殺人集団が、米国に「もっと介入してくれ」という強烈なメッセージとして、米国人ジャーナリストの首切りビデオを公開する「偽の旗」を振っているようです。オバマはもう「戦争大統領(Yes! We Can!)」を止めることができないでしょう。
こういった21世紀の「偽の旗」の原点が9・11事件です。今回から3部シリーズの予定で、もう一度この事件を取り上げたいと思います。
よろしくお願いします。
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※ 今回の記事には図表は写真が多く使われています。できれば次のUrlから本文にお進みください。
http://bcndoujimaru.web.fc2.com/911evidence/Downward_uniform_acceleration.html
21世紀の虚構の原点 9・11未解決事件
WTCツインタワー上層階の落下が示す真実(第1部)
カネ・暴力・嘘…この《悪魔の三位一体》が世界を破壊と殺人の巷に変えている。ウクライナはユーラシア大陸の内奥に仕掛けられた大量破壊兵器と化した。ガザ・ゲットーではイスラエルによるジェノサイドが激しい勢いで続き、西側の悪の枢軸がカネと兵器を与える破壊・殺人集団、自称「イスラム国(ISIS or ISIL)」を使ったマッチポンプ劇の中で、中東の数千年の歴史と文化が崩壊させられつつある。日本を含む東洋もまた無事に済むとは思えない。
この「イスラム国」の原型はCIAエージェントのオサマ・ビン・ラディンによって1980年代に作られた。そしてこの、FBIがついに9・11事件の首謀者と見なさなかったキャラクターは、一度も具体的な証拠を示されたことのない「暗殺」によって(「暗殺」した特殊部隊員のほとんどがもうこの世から消えたが)、2011年に戦争ゲームのスクリーンから消えた。ブッシュの時代からオバマの時代を経るにつれ、実体の無い世界がその広さと深さを増し、嘘を元に嘘が作られ嘘の上に嘘が重なり、その虚構の連続の中で、死と破壊と混沌だけがこの世で唯一の現実となっていく…。
9・11は21世紀の虚構の原点であり、嘘による世界の破壊がとどまらない限り、未解決事件としていつまでも生き続けるだろう。私は今年になって『9・11と実験』というシリーズの中で、「不可能なものを消去せよ」、「鋼材を溶かした硫黄はどこから来たのか?」という二つのビデオ(日本語字幕付き)の紹介を行った。今後もまた、AE911(9・11の真実を求める建築家とエンジニアたち)から日本語字幕版のビデオが公開されるたびにその説明を追加する予定だ。そしてそれ以外の9・11に関する記事を含めて、いつか虚構による世界の破壊にブレーキがかかる時代が来るかもしれないという一縷の望みに賭けて、この未解決事件の正しい記録を残しておきたいと思っている。いつまで続けられるか分からないが…。
今回の内容は、最低でも高校レベルの力学の知識が無いと、理解がやや難しいかもしれない。少しだけ辛抱してゆっくりとお読みいただき、最後までお目をお通し願いたい。また、この第2部と第3部を9月11日までには公開できると思う。
(2014年8月20日 バルセロナにて 童子丸開)
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(1)第7ビルの自由落下と溶けた鋼材中の硫黄
1年前に私は『12年間放置された9・11未解決事件 第1の鍵:「WTC第7ビルはなぜ自由落下した?」』という記事で、2001年9月11日にニューヨークで崩壊した3番目のビル、WTC(世界貿易センター)第7ビルが、約30メートルにわたって自由落下、つまり全く無抵抗の落下をした事実を取り上げた。この情報自体は別に目新しいものではなく、このビルの崩壊原因を調査したNIST(米国国立標準技術院)が2008年11月に公表した報告書の中で事実と認めたもので、その以前にAE911Truthのメンバーであるデイヴィッド・チャンドラーがビデオ記録を元に測定し発見していたことだ。これについては次の3つのビデオ(日本語字幕付き)を参照のこと。
WTC第7ビルの自由落下(WTC7 Freefall):日本語字幕版
「WTC7:NISTがついに自由落下を認める 第1部」
「WTC7:NISTがついに自由落下を認める 第2部」
「WTC7:NISTがついに自由落下を認める 第3部」
NISTは、FEMA(米国緊急事態管理庁)の報告書(2002年)を作った全米土木学会(ASCE)の学者から、第7ビル崩壊原因追及の「下駄を預けられた」。彼らは6年の歳月と多額の予算を費やし「通常のビル火災によって1本の支柱が破壊されたことが原因で全面的な崩壊が起こった」という結論を出した。そしてそれは公表と同時に自己崩壊してしまった。
参照:The complete text of the final WTC 7 report (「自由落下」についての記述はこの87、88ページ)
NIST Video: Why the Building (WTC7) Fell
第7ビルで突然開始した30メートルの自由落下は、当然のことながら、その加速度が重力加速度9.8m/s2の大きさで一定していた。ビルの落下しつつある塊は、その最初の瞬間から落下中の30メートルの区間全体で、その下にある構造から全く何の抵抗も受けなかったばかりか、空気抵抗(あるいは空気が押し出されることに対する抵抗)すら無かった。この完全自由落下は、地球の重力以外のエネルギー源が存在しない以上、その落下の運動エネルギーが自分自身の構造を変形・破壊するために使用されなかったことをも意味する。
しかしNISTの行った研究とその結論は、ビル下方の抵抗が瞬時にゼロになるメカニズムを説明できないばかりか、落下しつつあるビルが捻じ曲がるように変形をおこすシミュレーションを示すことしかできなかった。こうして彼らの報告書にある長々しい物語の全てが、この「自由落下」というたった一つの事実に出くわして、マンガよりましな意味を失ったわけである。
【画像6枚;http://bcndoujimaru.web.fc2.com/911evidence/visual_evidence/wtc7_collapse-1.jpg
http://bcndoujimaru.web.fc2.com/911evidence/visual_evidence/wtc7nist-a.jpg
http://bcndoujimaru.web.fc2.com/911evidence/visual_evidence/wtc7_collapse-2.jpg
http://bcndoujimaru.web.fc2.com/911evidence/visual_evidence/wtc7nist-a1.jpg
http://bcndoujimaru.web.fc2.com/911evidence/visual_evidence/wtc7_collapse-3.jpg
http://bcndoujimaru.web.fc2.com/911evidence/visual_evidence/wtc7nist-a2.jpg 】
これ以上NISTのCGアニメ遊びとお付き合いをしても意味があるまい。これでおさらばしよう。
『ジョナサン・コールのビデオ(日本語字幕付き) 9・11と実験:鋼材を溶かした硫黄はどこから来たのか? 』で説明されるとおり、FEMA報告書は崩壊メカニズムだけではなく、第7ビルの鋼材を融解させた硫黄がどこから来たのかという重大な疑問を残した。NISTはこれに対して実験はおろか言及すらしなかった。ではツインタワーの鋼材はどうだったのか? WTC第2ビル(南タワー)が崩壊を開始する直前に大量の溶けた鉄と思われる灼熱の流体が溢れ出ていた以上、溶かされた鋼材は間違いなくあったはずだ。しかし物的証拠がアメリカ当局者の手によって破壊された今となっては、もはや確認のしようがない。
ジョナサン・コールのビデオにもあったように、融解した鋼材から見つかった硫黄がサーメイト起源なら、これは焼夷剤であって爆発物ではないため、カッターチャージ(鋼材を断ち切るための装置)に使われても爆発音はしないだろう。もちろん支柱を断ち切った後に残った柱を取り去るためには爆発物が使用される。実際に、爆発音を記録したビデオもそれを聞いた証人も存在する。デイヴィッド・チャンドラーのビデオ(日本語字幕付き)『WTC第7ビル爆発音の証拠』を見てもらいたい。
(2)ツインタワー:一定の大きさで続く落下加速度
(A)ズデネック・バザントの「崩壊理論(=パイルドライバー説)」
ここでWTCツインタワーに話を移すことにしたい。NISTはツインタワー崩壊に関する最終報告書の中で、ビデオ・写真を含むデータの分析とそれによる事実の再現作業を、崩壊開始の直前で止めてしまった。崩壊そのものについては、わずかの行数で何の根拠も示さない憶測を簡単に述べただけだった。その後に「FAQ(質問と解答)」 の中でそれに、やはり何の根拠も示さず一切の検証抜きで、もう少し長い説明を付け加えた。
参照:NISTによるツインタワー崩壊に関する最終報告書(2006年、pdf読み込みに少し時間がかかる)
http://www.nist.gov/customcf/get_pdf.cfm?pub_id=909017
NISTによるツインタワー最終報告書に関する FAQ(2006年、2011年アップデート)
http://www.nist.gov/el/disasterstudies/wtc/faqs_wtctowers.cfm
彼らの主張はおよそ次のようなものである。飛行機の激突と火災でダメージを受けた個所が崩壊を開始し、それよりも上にあった部分(以後「上層の塊」)が落下した。その落下してくる上層の塊の運動量の大きさのために、その下にあった部分が次々と潰されていき、ビル最下層に至るまで全面的に崩壊した…。それは基本的に、元ASCEの重鎮ズデネック・バザント博士の見解に沿ったものである。
バザント博士はヨン・ゾウとともに2002年に論文“Why Did the World Trade Center Collapse??Simple Analysis ”を発表して、その中で次のような模式図でツインタワーの崩壊を説明した。
【画像:http://bcndoujimaru.web.fc2.com/911evidence/visual_evidence-2/bazantpro-0.jpg 】
また2007年にはMathieu Verdureをパートナーとして書いた“Mechanics of Progressive Collapse: Learning from World Trade Center and Building Demolitions ”の中で、先ほどの説明をさらに発展させて次の模式図でそれを示した。
【画像:http://bcndoujimaru.web.fc2.com/911evidence/visual_evidence-2/bazantpro-1.jpg 】
これらの論文は単に説明のための言葉と数式と模式図を連ねただけのものである。バザントとその協力者たちは、実際のビデオ記録の分析や実験によるその検証は一度たりとも行っていない。
上の2007年の模式図では、(a)飛行機の激突と火災の発生、(b)火災によってビルの鉄骨構造が弱められ、(c)弱った構造の部分が上層の塊の重さに耐えることができなくなって崩壊が開始する。(d)上層の塊がその下にある階を次々と破壊しながら加速を付けて落下し、(e)ビルの最下層部にまで達する。ここまでのプロセスは上層の塊が加速を付けて落下しながら下方にある部分を破壊していくため、バザントはこれを“Crush-Down Phase”と名付けた。ところが地上階付近まで落ちた上層の塊が、急激な減速のために、下から上に向けて破壊され、(f)姿を消してしまう。バザントは (e)から(f)までのプロセスを“Crush-Up Phase”と呼んだ。
この“Crush-Down”、“Crush-Up”は基本的な力学法則すら無視した似非科学のトンデモに過ぎない。しかしその点については別の機会に譲り、ここでは上層の塊が落下する際の速度と加速度について検討することにしたい。 上層の塊が、実際にはどのような落ち方をしたのか。もしNISTとバザントの説明が正しいのならどのような落ち方をするはずか。それが実際と合っているものなのか。
(B)ツインタワーの構造と実際の崩壊のし方
より詳しくは『ツインタワーと第7ビルの基礎データ』を参照のこと。タワー中心部にビル重量の60%を支えるコア構造があり、その外側に柱を持たないフロアー部分があった。フロアー部分の床(天井)は縦横に通された鉄骨トラス構造とコンクリート床板で作られ、通常のフロアーでは一つの階の高さが約3.5メートル。外周部は細型ボックスコラムによる独特の網状構造になっていた。
【画像5枚:http://bcndoujimaru.web.fc2.com/911evidence/visual_evidence/construction_05.jpg
http://bcndoujimaru.web.fc2.com/911evidence/visual_evidence/construction_03.jpg
http://bcndoujimaru.web.fc2.com/911evidence/visual_evidence/columns_perimeter_03.jpg
http://bcndoujimaru.web.fc2.com/911evidence/visual_evidence/construction_04.jpg
http://bcndoujimaru.web.fc2.com/911evidence/visual_evidence/towersgraphics2.jpg
次は、飛行機の激突と火災についての説明図である。
【画像2枚:http://bcndoujimaru.web.fc2.com/911evidence/visual_evidence/towersgraphics1.jpg
http://bcndoujimaru.web.fc2.com/911evidence/visual_evidence/towersgraphics3.jpg 】
こちらのサイトには、崩壊途中の南タワー(第2ビル)と北タワー(第1ビル)の様子を記録したビデオが多数収められている。
南タワーが先に、飛行機激突に続く56分間の火災の後に崩壊したが、その様子は次のビデオが分かりやすいだろう。
https://www.youtube.com/watch?v=3NQY3YRBgSo
http://www.youtube.com/watch?v=zp956kwEf1M
https://www.youtube.com/watch?v=DifdrPTerhE
北タワーはその後に、飛行機激突後102分で崩壊したが、次のビデオで崩壊の全体像を見ることができる。
https://www.youtube.com/watch?v=7HmslIxPNvA
https://www.youtube.com/watch?v=oGO-nDeteu4
https://www.youtube.com/watch?v=0xzumFIx-Ww
崩壊が始まった個所は北タワーでは98階付近であり、南面(南西方向)側に徐々に傾いていく上層の塊を上に載せた形で、真下に向かって崩壊を進めた。しかし南タワーでは、東面(南東向きの面)の81階付近が崩れ始め、上層の塊は急速に南東方向に傾いて、大きく回転しながら落下していった。南タワーでは上層の塊の落下のし方の分析は面倒だろう。これもまた別の機会で。
(C)急激な加減速(ジョルト)は必然的
どちらのビルでも、崩壊している最中に膨大な量の建材(ばらばらの鉄骨、砕かれたコンクリート等)が激しく水平方向に噴き出している。つまり、落下する上層の塊は、各階の構造(コア、外周、床)を短時間で破壊し、さらにその残骸に横向きの大きな運動を与えて放り出しているわけである。もちろんだが、ビル内の建材は一様に分布しているわけではない。落下する上層の塊が構造の密な部分(例えば床の部分)に出くわすたびに運動エネルギーの減少が起き、落下速度に何らかの影響が見られるはずだ。
しかしここでは、速度以上に加速度(速度の変化の割合)が大きな問題になるだろう。加速度に質量をかけたものが力(F = ma)であり、ある物体の加速度の変化は、それに与えられる力に変化が起こったことを意味するからである。また速度に質量をかけたものが運動量だが、運動量の変化は速度の変化、つまり加速度のあり方を示すことになる。
この運動量は必ず保存される。直線運動する物体Aが静止状態の物体Bと衝突する場合、衝突前にAが持っていた運動量と、衝突後のAとBの運動量の合計は等しい。またAがBに与える力と同じ大きさで方向が逆の力を、AがBから受けることになる。その際に、他の力が働かなければ、必然的にAは運動と逆方向(マイナス)の加速度を与えられて速度が小さくなる(減速する)。
Aが落下するビルの上層部分の場合には、常に重力が加えられるために、その下層部分であるBに与える力がAの静止時の重さよりも小さければ、加速度は減少するものの速度の減少は起きないだろう。ただしその場合、BはAの静止時の重さにすら耐えられないことになり、崩壊開始直前までBがAの重さを支えていた事実と反する。これはあり得ない。したがって必然的にAの速度は小さくなり、衝突の間にAの加速度はマイナス(元々の加速度とは逆方向)にならねばならない。この急激な加速と減速をジョルト(jolt)と言う。
下の模式図はそれを説明するためのものだが、分かりやすいように、上層の塊を真っ直ぐに落下させている。
【画像:http://bcndoujimaru.web.fc2.com/911evidence/visual_evidence-2/missing-jolt.jpg 】
(D)ジョルトが全く起こっていない!
ここで実際に北タワーで上層の塊が落下を開始する際の記録ビデオを確認してみたい。上層の塊が少しずつ南面側、以下のビデオなら画面の奥側に傾いていくが、少なくとも最初のいくつかの階を押しつぶす動きに対してそれはほとんど影響を与えないだろう。
次のビデオは遠方から上層の階を中心に映すが、崩壊が開始し崩壊個所がビルの下に向かうとカメラが引いて、周辺に幅広く残骸を飛ばしながら進行する崩壊の全体像、崩壊が終了した後に発生した巨大な粉塵の「雲」を記録している。
https://www.youtube.com/watch?v=b80o21Ad3sA
こちらのビデオでは遠方からの固定カメラで上層の階の様子が鮮明に記録されており、分析にはうってつけだ。
https://www.youtube.com/watch?v=xGAofwkAOlo
デイヴィッド・チャンドラーはこのビデオを使って上層の塊の落下運動を分析し、それをビデオで解説した。
https://www.youtube.com/watch?v=Qpkz8Vowq8w (日本語字幕版)
また彼は論文「Destruction of the World Trade Center North Tower and Fundamental Physics 」でその分析方法、数値データと分析、分析結果の説明を詳しく書いている。詳しい数値などはこの論文で確認してもらいたい(ただし英文だが)。ただこのチャンドラーのビデオと論文は、私が次の機会に問題にしたい点(さきほどのバザント論文にあった上層の塊の“Crush- Down&Crush-Up”問題)について多くの分量を割いているため、ここでは落下速度と加速度についてみるために、彼の分析の中から前半部分にある二つの画像だけを取り出してみよう。
【画像2枚:http://bcndoujimaru.web.fc2.com/911evidence/visual_evidence-2/wtc1_upperfloor-01.jpg
http://bcndoujimaru.web.fc2.com/911evidence/visual_evidence-2/wtc1_upperfloor-02.jpg 】
左のグラフは落下するビル屋上の高さを0.2秒おきに測定したもので、グラフの横方向の1目盛りが1秒を表わす。タワーの通常のフロアーでは一つの階の高さが3.49メートルで統一されていたため、落下した距離を調べるのは簡単だ。計測できた時間はおよそ3秒、その間の落下距離は約32メートル、ほぼ9階分である。グラフ上で各点を結んでできる曲線が典型的な放物線(二次関数)となっていることが一目で分かる。
右側のグラフはそれぞれの区間での速度を表わしたものである。下向きの運動なので速度の大きさは下向き(マイナス方向)に描かれる。速度は時間がたつごとに(下向きに)大きくなるのだが、一目見て、これらの点がほぼ一直線上にあることに気づく。科学的な測定を実際に行った経験のある人ならすぐに分かるだろうが、複雑な構造を持つシステムに起こる変化でこれほど見事に最良適合直線(best fit line)に沿った実測値を見るのは、異常と言ってよいほどにまれだ。
その直線の傾き、つまり変化の割合は加速度(下向き)の大きさを表わしているが、その数値(絶対値)は6.31m/s2 であり、重力加速度9.81m/s2のおよそ64%に当たる。つまり測定ができた範囲で加速度がほぼ完ぺきにこの数値で一定していたことが明らかになる。しかもその加速は、徐々にではなく、突然、いきなり開始している。しかし突然の加速開始については別の機会に譲って、ここでは一定の加速度について話を進めていこう。
先ほども述べたように、ビルを押しつぶしながら落下する上層の塊は、一つの新たな階に出くわして破壊するたびに急激な減速と加速(ジョルト)を見せるはずである。まず、落下開始のおよそ1秒後に上層の塊が最初の床に当たったはずだが、その付近で減速が起こった様子はない。また新たな加速が始まる際に初速度を持っているため次の床に当たるまでの時間は短くなるが、データとグラフのどこを見ても減速・加速を繰り返した様子は無い。ひょっとするとそれを記録するには0.2秒という時間間隔が長すぎるのだろうか。
その点について、こちらの論文「The Missing Jolt : A Simple Refutation of the NIST-Bazant Collapse Hypothes」(英文:トニー。サンボティ、グレーム・マックィーンによる)では、このチャンドラーの測定と分析をもう一段厳密に行っている。力学の知識を持ち英語の分かる人はこちらの内容にも目を通してもらいたい。サンボティは計測の時間間隔を6分の1秒に縮めているが、下の時間vs速度グラフで分かるように、速度の変化はやはり見事に直線状に並んでいる。(ただしチャンドラーとは逆に、速度の大きさは上向き(プラス方向)に描かれている。)
【画像:http://bcndoujimaru.web.fc2.com/911evidence/visual_evidence-2/wtc1-upperfloor-05.jpg 】
先ほどのバザント博士は自らの論文の中で、上層の塊が一つの階を落ちて床に当たったときに、上層の塊が持つ重量の、最小でも31倍の力が下層の階に与えられたと主張する。そうでないと下にある階を破壊できないのだ。しかしその場合、先ほども述べたように、落下速度は一気に大きく減少するだろう。上層の塊が最初に直下のフロアーに激突するのは落下開始後およそ1秒だが、その時の秒速が6.44メートルである。サンボティの計算によると(根拠は上の論文を見よ)、それが秒速1.66メートルにまで極めて短時間で落ちることになる。もし加速の大きさが変わらないとすれば、それが元の秒速6.44メートルに戻るまでに約0.7秒の時間を必要とする。仮にその間に抵抗が全く無くなり自由落下になったとしても約0.49秒後にようやく元の速度にまで戻ることになるだろう。6分の1秒の時間間隔は、このような変化を十分にとらえるはずである。しかし実際に上層の塊はその間も同じ加速度を保って落下し続けた。
2回目、3回目と続く衝突で、もし上層の塊に下層の建材の重量(1階につき元の上層の塊の12分の1)が全て加わってそのぶん運動量が増えたと仮定しても、その程度の増加がジョルトを消すことは不可能である。さらに実際に、大量のビル建材(鉄骨とコンクリート)が砕かれてビル外部に吹き飛ばされ、上層の塊の下から消えていった。NISTとバザントが何の検証もせずに言葉だけをもてあそんで主張する「潰された階の質量が加わることによる運動量の増加」など、ビデオゲームかハリウッドSF映画の世界でしかあるまい。
(3)落下加速度はなぜ一定だったのか?
WTC第7ビルが最初の30メートルを、ビル上層の形をほとんど変えずに、いきなりほぼ完全に自由落下したことに関しては、その30メートル8階の中にあった81本すべての支柱構造が、階ごとに一気にタイミングを合わせてすべて吹き飛ばされ、上層部分を支持する力がゼロにされた、としか言いようがないだろう。しかしそうだとしたら人為的・意図的な破壊以外の理由はあり得ない。他にこの自由落下の原因が考えられるだろうか。
ビル内のいくつかの場所で散発的に続いていた火災で支柱構造が弱められていたとしても、それが崩壊する際にゼロ抵抗はありえないだろうし、場所によって強度の偏りがあるためビル上層が左右対称形を保ったままでそのまま真っすぐ落ちることは不可能だろう。NISTがその最終報告書で説明したような「崩壊の連鎖反応」でも同様であり、彼らがどれほど上手にコンピューター・グラフィックをいじくっても、決して実際に起こった通りの崩壊を再現させることができなかった。しかもNISTはコンピューターによって結論を出した際の数多くのパラメータを、現在に至るまで、いっさい公表していない(できない)のである。
ツインタワーではどうか。今までに見てきたように、北タワー(第1ビル)上層階の落下加速度は見事に一定しており、上層の塊がビルを押しつぶしたのなら必ず現われる急激な加減速(ジョルト)の連続が全く見られなかった。ということは、崩壊開始直前まで上層の塊を支えていた構造の多くの部分が、開始の瞬間以後に上から下に向けて次々と、落下する上層の塊の運動量とは全く無関係に、破壊された、ということになる。するとやはりここでも、人為的・意図的な破壊以外の理由が導かれることはあるまい。それとも他にこの一定の加速度の原因がありうるだろうか?
そしてそれはどうやら崩壊開始直後だけに限られるものではないようだ。次のビデオ(日本語字幕版)でチャンドラーは、上層階の落下の加速度がビル下方まで一定していた可能性を示唆している。
加速度と偶然の大発見(Acceleration + Serendipity)
http://www.youtube.com/watch?v=6pW9HKnuyBY
もしそういうことならば、崩壊が下方に進むその伝わり方が正確に計算されて、必要なタイミングで必要な個所が破壊された、ということになる。もはや、計算し尽くされた人為的・意図的なビルの破壊だけが、導かれうる結論となるだろう。それがどれほど「望まれない結論」であっても。
【「WTCツインタワー上層階の落下が示す真実(第2部)」に続く】
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion4958:140821〕
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