国際的にも恥ずかしい「ヘイトスピーチ」
- 2014年 8月 30日
- 時代をみる
- 池田龍夫
「おもいやり」のある美しいニッポン。――それと裏腹の「ヘイトスピーチ」(憎悪表現)の横行で世情は右に揺れ、左に揺れて物情騒然としている。
毎日新聞8月22日付朝刊は、「国連審査、法規制を求める声」と題し、日本の恥ずべき行為に警鐘を鳴らしている。20日、非政府組織、(NGO)との事前会合で日本のヘイトスピーチのビデオ映像を見た米国のバスケス委員は、対日審査の場で驚きの声を上げた。他の委員からも『なぜ憲法を盾に犯罪として取り締まらないのか』との指摘が相次いだという。日本は1995年に人種差別撤廃条約に加盟したが、法規制を求める4条については表現の自由への配慮などを理由に留保。同紙が伝えたところによると、米英仏独4カ国は「人種差別禁止法」で規制しているのに、日本はナシ。排外主義的なデモや街宣車は昨年だけで360回以上にのぼっている。デモだけでなく、ネット上が憎悪の舞台になっているようだ。在日コリアンを侮蔑したり、排除する書き込みがあふれている現状を放置するわけにはいかない。
ジャーナリストの安田浩一さんは「ヘイトスピーチは絶対に許されないと考える国際社会と、消極的姿勢を変えない日本との温度差が特に印象的だった」と述べていたが。安部首相は「国際関係を誠実に築き上げてきた日本の誇りを傷つけるものだ」と語ったものの、政府与党の取り組みは全く進んでいない。
毎日新聞8月28日付朝刊では、ヘイトスピーチにつき都道府県・政令市の世論調査を報じていたが、約9割がヘイトスピーチを問題視し、うち4割が何らかの規制が必要だと考えていることが分かった。どの自治体も、対応に苦慮しているのだ。
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