沖縄は発信し続ける -辺野古新基地建設にノー-
- 2014年 12月 25日
- 時代をみる
- 宮里政充沖縄
今回の不意打ち選挙は自公325議席、野党150議席という結果に終わった。これで安倍政権はあと4年間継続の見通しとなった。安倍首相は過去最低の投票率で長期政権維持を可能にしたわけだ。有権者はまんまと安倍晋三という男の策略に嵌められたことになる。
第3次安倍内閣はほとんど閣僚の入れ替えを行わないと言われている。おそらく身体検査をして慎重に新閣僚の人選にあたったとしても、またぞろボロが続出するのを恐れているのであろう。首相は15日の記者会見で、アベノミクスだけでなく憲法改正、集団的自衛権行使容認、原発再稼働など、公約した政策について国民の信任を得たのだから当然、約束は実行していくと明言している。だが、たとえ公約に明記されていようとも、国民はそのすべてを無条件に信任したわけではない。「アベノミクス解散」が実は本音を隠すための目くらましであったということぐらい、誰にでも分かることだ。
たしかに自民党・公明党の政権与党は勝利を収めたが、投票率は戦後最低の52,66%であり、自民党の得票率は48%、有権者全体に占める得票率は25%(12月15日13:30、日本経済新聞電子版)に過ぎない。今後の政治手法によっては100人のうちの75人が黙ってはいないということである。為政者たる者はこのことを銘記すべきだ。さもなければ、日本は北朝鮮や中国とほとんど変わらない独裁国になっていくだろう。(ついでに言えば、東京都知事選で60万票獲得した田母神俊雄候補は今回の選挙では4万票に満たなかった。おそらく、安倍自民党に流れたものと思われる。ふたりのイデオロギーは極めて近いのだから。)
だが、一国の国のあり方がどさくさ紛れの、姑息な政治手法で根底から覆されていいはずがない。日本という国は安倍晋三という男の所有物ではなく、彼の親族や政治的信念を同じくするグループの所有物でもない。まして、私の妻や子どもや孫たちも彼の所有物では断じてない。
歴史的に見て、選挙によって選ばれていながら独裁者となった例はいくらでもある。特に、ナショナリズムを煽り、反対勢力を封じ込め、排斥・粛正し、国際的に通用しない「正義」を振りかざして戦争や紛争に突入していった例をここで数えるのも忌まわしい。
ところで、沖縄では本土とは全く対照的な選挙結果になった。小選挙区で自民党は全敗したのである。比例区で復活したとはいうものの、与党候補たちは沖縄県民からノーの審判を受けた。もちろんそれは安倍政権に対するノーである。ノーの中身は言うまでもなく辺野古新基地建設だ。
沖縄はこれから基地問題について日米政府に厳しく問い続けるであろう。「辺野古移設をフイにするなんて非現実的だ。抑止力効果をどうするつもりだ」という考えに凝り固まってしまった日本政府、そしておそらく多くの本土人(ヤマトゥ―ンチュ)は、「基地負担のとばっちりがこっちへきてはかなわない。うるさい奴らだ」と不快に思うかもしれない。だが、沖縄は食らいつき続ける。なぜか。そうすることが、沖縄のためだけでなく、日本という国が戦争・紛争・殺戮の絶えない国際社会の中でまっとうなメッセージを発信する誇りある国となるためである。
翁長新県知事を先頭に沖縄が粘り続ける限り、日本政府はともかく、アメリカ政府はかならず動くと私はみている。
本土リベラル勢力の奮起を心から期待している。(2014.12.17)
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