本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(94)
- 2015年 7月 21日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究本間裕金融
イエレンFRB議長の深謀遠慮
30年以上、「FRB議長」のコメントを読み続けてきたが、今回の「イエレンFRB議長」のコメントには、たいへん悩まされているのが実情である。つまり、当たり障りのない言葉を羅列するだけであり、結果として、ほとんど、真意が読み取れないのだが、今までに、「大学の教授」や「サンフランシスコ連邦準備銀行の総裁」などを歴任してきたことを考えると、私が想定していない「深謀遠慮」が存在する可能性もあるようだ。
つまり、前任の「バーナンキ氏」、そして、その前の「グリーンスパン氏」とは、大きな違いが存在するのだが、「グリーンスパン氏」の場合には、基本的に、「難解な言葉を用いながらも、的確に市場を説明していた」ものと考えている。そして、最後の段階では、「自分が行ったことは、バブルの崩壊を防ぐことだった」と素直に告白しながら、同時に、「デリバティブ」などの新たなバブルを形成したために、「市場への資金供給が正しかったか否かは分からない」とも述べているのである。
また、「バーナンキ氏」の場合には、「リーマンショック」の後に、専ら、「量的緩和(QE)」を実行しただけとも言えるようであり、実際には、きわめて官僚的な議長だったようにも感じている。そして、今回の「イエレンFRB議長」だが、基本的には、「グリーンスパン氏」が作った巨大な「デリバティブ・バブル」と、その後の、「バーンナンキ氏」による「量的緩和」という名の「リフレーション政策」を受けて、最後の「後始末」を考えているようにも思われるのである。
具体的には、典型的な「マネタイゼーション」とも言える「さまざまな金融商品を、紙幣の増刷により処理する方法」のことだが、この点については、今後、「国債価格の暴落」が始まった時に、世界的な動きになるものと考えている。そして、この時の注目点は、「どの国から、本格的な大混乱が始まるのか?」ということだが、現時点では、どの国も、「自国発の混乱」を避けたがっているようにも感じられるのである。
つまり、「他国から始まった金融混乱により、自分の国も、やむを得ず、紙幣の大増刷に踏み切った」というような「言い訳」、あるいは、「大義名分」とでも呼ぶべき事態を待っている可能性のことである。そして、今回の、「ギリシャの金融危機」については、この点に対する「試金石」のような状態になっているようだが、実際には、「過去数十年間」にわたり積み上がってきた「膨大な金融商品」に関して、できるだけ混乱を少なくしながら、処理をする方法が求められているようである。(2015.6.25)
-------------------------------------------
4万円を目指す日経平均
日経平均が「2万円」を超えてきたことにより、多くの人が「日本株バブル」を危惧するようになってきた。つまり、「日本株は買われすぎであり、間もなく、暴落するのではないか?」というような意見のことだが、この点については、全くの「的外れ」であり、「決して、心配するような状況ではない」と考えている。別の言葉では、「現時点で、何が、バブル的な状態となっているのか?」を、総合的に考えると、決して、このような結論には達しないようにも思われるのである。
具体的には、現在、「世界に、どれだけの金融資産が存在するのか?」、あるいは、「それぞれの資産が、どのような状態になっているのか?」を考えた場合に、決して、株式がバブルであるという結論には達しないものと思われるのである。そして、この時に導き出される結論は、やはり、「国債のバブル」であり、また、歴史的な「信用バブル」だと考えているが、残念ながら、現在の日本では、ほとんどこの点を指摘する人が存在しない状況とも言えるようである。
また、今回の「日本株」で興味深い点は、「バブルの高値から、約25年が経過した」という事実だが、このことを、「60年サイクル」に当てはめると、間もなく、「日本株が、4万円にも達する可能性」が出てくるのである。つまり、「1929年の大恐慌」の時、アメリカ株は、「約390ポイント」という水準だったが、その後、大恐慌により、「約40ポイント」にまで暴落したものの、「1955年から1956年」にかけて、再び、史上最高値を更新したのである。
つまり、「1920年代のアメリカ株」と「1980年代の日本株」とが、驚くほどの類似性を見せていたことは、ほとんどの専門家が周知する点だが、その後の相違点は、「日本」で、「大恐慌」が発生しなかったという事実である。そのために、「バブル崩壊」以降のチャートが、大きく違ってきたのだが、この時に、「時間による調整」という概念を入れると、新たな見方ができるようである。
具体的には、「日本株」において、「バブル崩壊後の調整パターン」が、「1929年以降のアメリカ株」よりも、値下がりが緩やかだったために、より長い「調整期間」が必要とされていたようにも感じられるである。しかし、現在の日本株は、「1989年の最高値」から「約25年」という時間が経過し、今後は、「ギャロッピング・インフレ」により、4万円を付ける可能性も出てきたものと考えている。(2015.6.26)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion5511:150721〕
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。