辺野古移設問題の真相-「毎日新聞」の次の記事に注目-
- 2015年 10月 11日
- 評論・紹介・意見
- 山川哲
特集ワイド:続報真相 本土「常識」の誤解 辺野古移設は仕方ない?
毎日新聞 2015年10月09日 東京夕刊
http://mainichi.jp/shimen/news/20151009dde012010004000c.html?fm=mnm
以下、一部を引用し、ご紹介したい。
「日本の抑止力維持のために必要だ」という考え方について
元朝日新聞記者で、冷戦期から防衛問題を取材してきたジャーナリストの田岡俊次氏は次のようにいう。「不勉強も甚だしい。普天間飛行場は米海兵隊の航空部隊の拠点だが、そもそも沖縄の海兵隊に日本を守る抑止力(他国に攻撃を思いとどまらせる反撃能力)はないんだ」、
「沖縄の海兵隊の大半は補給・医療などの後方支援部隊で、戦闘部隊は2000人規模の『第31海兵遠征隊』だけ。その主力の歩兵1個大隊はわずか800人ほどです。しかも装備は装甲車が21両、大砲6門、戦車はゼロ。普天間飛行場配備の航空部隊(第36航空群)は、新型輸送機オスプレイ24機とヘリコプター10機あまり。この程度の兵力で戦争はできない。海兵隊の駐留は北東アジアの有事・騒乱時の在留米国人救出が主な目的なんです」
「日本に関わる抑止力の柱は、横須賀基地(神奈川県横須賀市)に配備された原子力空母など、米海軍第7艦隊だ。「尖閣諸島に限らず、島国を守るには制空権・制海権の確保が重要ですが、上陸作戦専門の海兵隊にその能力はない。海兵隊は抑止力にならず、辺野古はもちろん、沖縄に駐留する必然性もないんです」
海兵隊を運ぶ揚陸艦4隻は佐世保基地(長崎県佐世保市)に配備されている。田岡さんは「この周辺に海兵隊の歩兵・航空部隊を移すのが合理的」と説明する。「付け加えれば『1992年にフィリピンから駐留米軍が撤退したから中国が南シナ海に進出した。だから沖縄の基地は減らせない』と言う人がいるが誤り。中国の進出は87年からです」
「基地があるから国に優遇されている」という意見について
沖縄4区選出の衆院議員、仲里利信さん(78)-元県議会議長で自民党沖縄県連顧問も務めた沖縄保守政界の重鎮だが、辺野古の基地建設に反対して自民党から除名処分。昨年末の衆院選で、建設容認派の自民党前職を破り初当選-は次のように話す。
「確かに沖縄県には内閣府所管の『沖縄振興予算』があるが、72年の本土復帰まで国の予算措置や国土開発がなされなかったため始まった制度。でも振興予算の半分は那覇空港整備や不発弾処理など、国が本来やるべき事業や各中央省庁の直轄事業で、これが『振興予算』の名前で入り込んでいる。本当に県が沖縄振興に使えるお金は多くはありません」
県によると、2013年度決算では、振興予算(3337億円)を含む国庫支出金と地方交付税交付金の合計額は7330億円。これは県民1人当たり換算で全国6位で、これまで1位になったこともない。飛び抜けて沖縄が優遇されているとは言えないのだ。
さらに「基地がないほうが沖縄は豊かになる、というデータもある」と仲里さん。
「辺野古移設を認めた仲井真弘多前知事ですら06年、基地による経済効果1800億円に対し、基地全面返還による経済効果は1兆7000億円と推計した。基地がないほうが沖縄は確実に発展します」
以下、省略いたしますが、ぜひこの記事をお読みください。そして「沖縄基地移転」問題が如何に欺瞞に満ちたものであるか、また我々本土の人間が『常識』と思い込んでいるものが、いかに「非常識」であるかを反省していただきたいと思います。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion5720:151011〕
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