翻弄される福島県:原子力ムラが支配する日本の将来の姿は今の福島県だ=損害賠償・補償の踏み倒しや不当な減額を許さず、被害者・福島全県民200万人の巨大集団訴訟を起こそう、福島県以外の被害県もそれに続こう!!
- 2015年 10月 26日
- 評論・紹介・意見
- 田中一郎
(最初に澤地久枝さんからの呼びかけです)
https://sites.google.com/site/hisaesawachi/
◆◆全国一斉行動 再開のお知らせ◆◆
アベ政治を許さない!! 同じポスターを全国一斉にかかげよう
11月3日(火・祝)午後1時きっかり
(それからコレ)
● 東京新聞原発避難の権利確立を 全国組織、29日に設立集会社会(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201510/CK2015102502000113.
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201510/CK2015102502000113.
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(10/29の時間と場所をご存知の方がおられたら教えてください:田中一郎)
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みなさまご承知の通り、安倍晋三・自公政権になって以降、福島県をはじめ原発事故
で被害を受けた地域の方々に対して、いよいよ露骨なまでにひどい政策というよりは
「仕打ち」が展開され始めています。大量に放出されたさまざまな種類の放射性物質
によって広い地域が汚染されてしまった東北や関東の各県では、放射能の危険性から
逃れるために避難・疎開・移住をしようとしても、原発事故の賠償・補償は加害者
(東京電力、経済産業省、文部科学省)が基準を決め、大半の被害は踏み倒しし、経
済的にままならない事態に追い込まれている方々がたくさん出ています。しかしそれ
は、とりもなおさず、できもせぬ除染を形だけやり、御用学者を動員して恒常的な低
線量被曝(外部被爆・内部被曝)の危険性をごまかしながら、20mSv/年の放射
能汚染地帯に被害者の方々を強制居住させるための原子力ムラ、及びその代理店政府
の「経済措置」なのです。全くのふざけた話で、今世紀最大の人権侵害事件に発展し
そうな勢いとなってきました。原発事故前の被ばく限度であった1mSvも、「子ど
も・被災者支援法」(2012年6月)にうたわれた被害者の「選択」権(避難か居住継
続かの選択)もないがしろにされています。これでは法治国家の体をなしていません。
どこぞの世界に、いい加減な管理で大事故を引き起こした企業者・事業者が、その損
害を受けた方々への損害賠償・補償の基準や金額を決めてしまう、などということが
許されるところがあるのでしょうか。あるいは、設置場所を事前にしこたま除染して
きれいにしてから空間線量計を設置して、線量が低くなったのでもう安心ですなど
と、地域住民にウソを言って危険性をごまかす政府や自治体があるのでしょうか、あ
るいは、できもせぬ除染に何千億円ものカネを、こともあろうに原発で儲けていた大
手土建業者らに発注し、一時的にわずかばかりの線量低下で我慢しろと被害者住民を
脅しつける政府や自治体があるのでしょうか、あるいは、線量計そのもののアルゴリ
ズムをいじくって、わざと低い数字が出るようにした線量計を使えと被害者住民や自
治体に押し付ける中央官庁(文部科学省)があるのでしょうか、あるいは、被害者住
民の方々の居住や生活や仕事がほとんど回復も原状復帰もしていないのに、唯一の生
活費の糧となっているわずかばかりの精神的賠償金を打ち切っていいという政府・自
治体があるのでしょうか、あるいは、放射能を逃れて県外へ避難している人たちに対
して、唯一といっていい支援の住宅費補助までもを打ち切り、20mSv/年の放射
能汚染地帯へ戻ってくることを強要する政府や自治体があっていいのでしょうか。
福島県や原発事故被害地域の方々が、原子力ムラとその代理店政府の悪党どもに翻弄
されています。こんなことは絶対に許してはならないことです。そして、これらの理
不尽と出鱈目と人権侵害の「てんこ盛り」は、実は原子力ムラとその代理店政府が支
配する日本の近将来の姿であると言えるのです。このままいけば、次の原発・核燃料
施設の過酷事故はほぼ確実に起き、その時には、再び原発事故による放射能汚染地域
に対して「20mSvの被ばく限度」と「賠償・補償の加害者側からの一方的取り決
めと踏み倒し」が再現されることになります。つまり「原発との共存」が「原発過酷
事故との共存」にすり替えられるのです。従って、福島県や原発事故被害者の方々の
困難や悲劇は、結局は近未来の私たち自身の共通の困難でもあり、私たち自身の権利
に対する侵害でもあるのです。他人事などと思っていたら大間違いです。
下記は、これまでも何度も何度もご紹介申し上げた、原発事故にかかる損害賠償・補
償の基準の考え方です。この内容は、原発・原子力以外の世界における同じような企
業犯罪、ないしは加害事故の場合に、当たり前のこととして受け入れられていること
で、決して突出した被害者救済の考え方ではありません。それが、こと原発・原子力
の話になると、ひっくり返って、被害者が踏みつぶされ、泣き寝入りをさせられる理
不尽がまかり通るのです。
<賠償・補償・再建支援:5原則+α>
(1)全ての被害者の全ての被害・損害が何の留保条件を付けられることなく全額賠
償または原状復帰されること(逸失利益含む)
(2)全ての被害者の生活及び経営が再建されること(費用,段取り,その他の負担
のすべてを加害者が負うこと)
(3)上記(2)の再建が確認できるまでの間,全ての被害者の生活及び経営を補償
すること
(4)2011年3月11日以降,上記の賠償・補償・再建費用が実払いされるまでの間,
電気料金遅延にかかる「遅延損害金」と同利率(10%)の「遅延損害金」が被害者に
支払われること
(5)悪質な交通事故被害の場合以上の慰謝料(迷惑料)が被害者に支払われること
(6)(+α)被害者の被害は「お金」に変えられないものも多い。その部分を加害
者・東京電力(及び原発メーカー)や事故責任者・国が万全にフォローすること
彼ら加害者側=原子力ムラとその代理店政府たちは、復興事業を利権化して、地方の
ボスたちを含む限られた人間たちだけで甘い汁を吸いながら、圧倒的にたくさんの被
害者の方々を踏みつけにして、福島復興・東日本大震災復興の演出を続けていくで
しょう。そして、ご承知の通り、多くの反対を無視して避難指示解除を強行し、命綱
となっている被害者への賠償・補償や住宅支援さえも打ち切って、2020年の東京オリ
ンピックを契機に、福島第1原発事故はその影響も含めて全てなくなったことにして
しまおうとたくらんでいます。もちろん、福島県民が廃炉を要請している福島第2原
発の再稼働も時期を見計らってやるつもりです。そして、そうしたことの陰で、おそ
らくは健康被害の多発と展望のない経済苦がじわじわと広がっていくことはほぼ確実
です。こんなことが許されていいはずがありません。
福島県のみなさま、そして東日本の放射能汚染被害者のみなさま、どうぞ、この理不
尽・不合理・人権侵害を許さず、ご自身の「決意と決断」で、これをハネ返す闘いに
立ち上がりください。黙っていても、やがて放射能と恒常的な低線量被曝(外部被
爆・内部被曝)によって、彼ら加害者側の原子力ムラ連合により殺されてしまうこと
になります。福島第1原発事故で奪われたものをすべて返せ、元に戻せ、の声を、ま
ずお挙げになることが、こうした「権力の暴力」「権力の犯罪」問題の解決の第一歩
です。自民党や民主党などのニセモノ政党・政治家たちや、その手下となって動いて
いるような地方のボス政治家たちに寄りかかっていては、絶対にこの問題は解決しま
せん。解決しないどころか、今後は健康被害の広がりなどを伴いながら、ますますひ
どいことになっていきそうな気配です。沈黙は自殺行為に等しいものです。
放射線被曝はみんなで被ばくしても決して安全ではありませんが、こうした理不尽な
仕打ちに対して、みんなで立ち上がれば、怖いことなどありません。今、原子力ムラ
やその代理店政府が最も恐れているのは、被害を受けられたみなさまが「おかしい
じゃないか、そんな話があるか」と、怒りのこぶしを振り上げながら立ち上がること
なのです。だからこそ、ニセモノの政策やむなしい嘘八百の屁理屈・言い訳を、あれ
やこれやの飾りをつけて宣伝し、海外の放射線ムラの権威なども持ち込んできて、繰
り返し、繰り返し、大拡散しているのです(ちなみに、これまで、被害を受けられた
多くのみなさまが、予想された以上におとなしくしていらっしゃることが、国際原子
力マフィアと言われている連中によって高く評価され、日本の政府はよくやってい
る、との評価が定着し始めています。ここでの「よくやっている」というのは「被害
者に文句を言わせずに黙らせている、抑え込んでいる、いいぞ、その調子だ」という
意味です)。
正当な権利を主張する訴訟にご心配は無用です。何故なら、交通事故での被害をはじ
め、多くのケースで行われている、ごく当たり前のことだからです。日本には立派な
弁護士の方々も多くいらっしゃいますから、そういう方々に協力を求めて、被害者全
員で「すべてを返せ」と立ち上がりましょう。正義と正当性は被害者のみなさまの方
にあります。福島全県民200万人と、福島県外被害者800万人の、合計1000万人規模の
巨大集団訴訟提訴が、このふざけた状態を大きく変えていくであろうと思います。明
日を切り拓くために、みなさまの勇気が必要です。被害者のみなさまの小さな勇気が
力を合わせることが、この福島第1原発事故後の対応がもたらしている理不尽な諸問
題を解決に至らしめると思います。
(1)賠償の底流 31,32(福島民報 2015.10.15,16)
(2)賠償の底流 33,34(福島民報 2015.10.17,19)
(3)賠償の底流 35,36(福島民報 2015.10.20,22))
(4)飯館村ADR申立人に不当対応、東電 切り崩し工作?(東京 2015.10.20)
(5)自主避難9211戸、過半数県外(毎日 2015.10.11)
(6)3号機も高濃度汚染源(読売 2015.10.19)
(7)汚染土 行き場なし、「3年の約束 国は守って」(東京 2015.10.16)
1.福島民報シリーズ:「賠償の底流」
http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2014CompensationNA/
(福島民報の記事については私は批判的です。特に放射能汚染や被ばくの問題に関し
ては、もう御用記事そのものだと思っています。しかし、その福島民報も、こと賠
償・補償の問題になると、なかなかいい記事を書いていることが多いのです。今回も
「第5部 財物」のテーマで6回にわたって報道されました。是非、ご覧になってみ
てください。:田中一郎)
2.飯館村ADR申立人に不当対応、東電 切り崩し工作?(東京 2015.10.20)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/tohokujisin/fukushima_report/list/
CK2015102002000201.html
(参考)何度でも申し上げます、伊方原発は再稼働してはいけないのです + 若干
のこと(飯館村ADR申立人に不当対応、東電 切り崩し工作?(東京2015.10.20))他
http://tyobotyobosiminn.cocolog-nifty.com/blog/2015/10/adr-20151020-0f.html
3.自主避難9211戸、過半数県外(毎日 2015.10.11)
http://mainichi.jp/graph/2015/10/11/20151011ddm041040134000c/001.html
(そもそも「自主避難者」などという言葉がよろしくない。「風評被害」も同様。
偏ったイデオロギー的観念で歪められた表現だ。どこに好き好んで「自主的に避難」
する人がいるのか、少しは考えてから言葉を使え!! 大学教授・学者や市民運動・
社会運動の中にはこういう言葉を使う人もいるので驚きというほかない。:田中一
郎)
4.3号機も高濃度汚染源(読売 2015.10.19)
http://www.yomiuri.co.jp/science/20151018-OYT1T50097.html
http://www.yomiuri.co.jp/feature/TO000303/20151018-OYT1T50097.html
(関連)3号機ベントで大量放出か 国内外ニュース 福島民報
https://www.minpo.jp/globalnews/detail/2015101901002212
(参考)山田耕作・渡辺悦司_福島事故による放射能放出量はチェルノブイリの2倍
以上――福島事故による放射性物質の放出量に関する最近の研究動向が示すもの 市
民と科学者の内部被曝問題研究会
(田中一郎コメント)
この読売や福島民報の記事はかなりいい加減な記事だという印象ですが、読売新聞
や福島民報がいい加減というよりは、この記事の内容を公表した(独)日本原子力研
究開発機構の「研究グループ」の方に問題があるのでしょう。私からは、次の3点を
申し上げておきます。①3号機は核爆発の可能性があることを全く考慮に入れていな
いのは、科学者・技術者としておかしなことである、②2号機については格納容器が
破損した(正確には圧力抑制室(サプレッション・チェンバー(SC))というが、
何故今になっても、そのどこがどの程度破損しているかが全く分からないのか(3号
機の核爆発を覆い隠すためのカモフラージュではないのか)、③東京電力の説明では
「2号機からの放出が大半で、3号機ベントによる放出量は大したことはない」だっ
たが、何故、それを今頃になってくつがえす議論が出てきたのか、これには「裏」が
あるのではないか。
上記のうち、③についてですが、私の推測は次の通り。
東京電力は、ベントによる放射能汚染が深刻であることがわかると、今後の原発の
再稼働に支障が出てくることを即時に悟り、原子力業界を代表して、ベント放出はた
いしたことはない、というために、大量の放射能放出の理由説明として2号機の格納
容器破損を言い訳に使った。しかし、原子力規制委員会はベントの危険性をよくわ
かっているので、それは駄目だという意思表示で、フィルター付きベント設置を原発
再稼働の条件にして、欧米並みにしたという体裁をとった(実際は日本で設置予定の
フィルター付きベントのフィルターは機能や大きさ小さくて全然だめで、欧米並みで
はないのだが)。しかし、それに対して、西日本の加圧水型原子炉を持つ電力会社か
ら水面下でクレームがついて、いったん5年の設置猶予を与えたが、更にそれでもだ
めで、ゆくゆくほとぼりの覚めるのを待って(猶予期間の5年の間に)義務から外せ
という動きが、加圧水型原子炉の電力会社のみならず、沸騰水型の電力会社(北陸と
日本原電あたりと推測)からも出てきたのではないか。それで原子力規制委員会がそ
れに対抗するために、この(独)日本原子力研究開発機構の研究をあえて公表させた
のではないか。一種の原子力ムラ内部の「せめぎあい」の結果、公表された可能性が
ある。
5.汚染土 行き場なし、「3年の約束 国は守って」(東京 2015.10.16)
https://silmarilnecktie.wordpress.com/2015/10/16/%E3%80%901016%E6%9D%B1%E4%B
A%AC%E6%96%B0%E8%81%9E%E3%83%BB%E7%89%B9%E5%A0%B1%E3%80%91%E6%B1%9A%E6%9F%93
%E5%9C%9F%E3%80%80%E8%A1%8C%E3%81%8D%E5%A0%B4%E3%81%AA%E3%81%97%EF%BC%8F%E3%
80%8C%EF%BC%93-2/
(関連)法令順守へ対策強化 除染作業員の犯罪1~9月 167人 県内ニュース
福島民報
https://www.minpo.jp/news/detail/2015102026115
(田中一郎コメント)
できもしない除染、意味のない除染、利権事業としての除染、税金の無駄となって
いる除染、こんなことより被害者を直接支援した方がよほど効果的な除染、除染をや
ればやるほど二次被害がひどくなりそうな除染、などなど、政府の誤った愚かな政策
の結果がどうなっているかを伝える報道です。除染については、今月号の『DAYS
JAPAN』(2015年11月号)に、おしどりマコさんの迫真レポートと、Hsink
(避難・支援ネットかながわ)代表の坂本建さんへのインタビュー記事が掲載されて
います。必読ですので、みなさま、ぜひご覧ください。
(関連1)『DAYS JAPAN』HP
(関連2)Hsink 避難・支援ネットかながわ
http://hinansien-netkanagawa.org/
(おしどりマコさんのレポート「豪雨で除染廃棄物が流出!? 水に浸かったフレコ
ンバッグ」(『DAYS JAPAN』)から一部抜粋)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(中略)飯館村のフレコンバッグの数。最新の数字は7月末の時点で「約90万体」、
うち439袋が流出(0.05%)。
(中略)「中身が流れ出ているものもあったが環境中に影響はない」とのことだった
けど、それならわざわざ遮蔽して保管している理由って・・・・・」というわけで取
材!
(中略)今はQRコードで(フレコンパック一つ一つを)管理しています。環境省・
福島環境再生事務所がパソコンで管理する表と照合すれば、汚染濃度などがわかるよ
うになっています。
(中略)では、どのような汚染濃度のものが流出したか、QRコードを照合して発表
する予定はありますか。(担当者)今のところありません。
(中略)全体で439袋中132袋(が回収して破損もなく中身も健全だった。つまり)、
約3分の2は、中身が流れ出たり、袋が破損したりしていたわけです。
(中略)実は、今年の7月から「中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略
検討会」なるものが始まっており、この件について話し合われています。再生利用の
例としては、工作物の埋戻し、土木構造物の裏込め、道路用盛土、河川築堤、宅地造
成、公園、緑地造成、水面埋立、鉄道盛土、など、ん? 公園? 宅地?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・
(関連3)富岡町の海岸沿いに積み上げられた放射能汚染物入りのフレコンバッグ他
(写真)
http://image.search.yahoo.co.jp/search?rkf=2&ei=UTF-8&p=%E5%AF%8C%E5%B2%A1%E
7%94%BA+%E3%83%95%E3%83%AC%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%83%E3%82%B0%E7%B
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(再び、東日本大震災並みの津波がこの海岸べりの大量のフレコンバッグを襲えばど
うなるか、想像することもできないのかな? もっと強烈・明白な写真が『DAYS
JAPAN』今月号に掲載されてるよ:田中一郎)
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion5743:151026〕
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。