パリのテロ事件:フランスの情報機関はいったい何をやっていたのだろうか?
- 2015年 11月 23日
- 時代をみる
- グローガー理恵
11月13日金曜日の夜に起こったパリのテロ事件に関して、情報機関活動の失敗に焦点をあてているのが英国のガーディアン紙である。ガーディアンは、重大な問題はフランスの情報機関が既に13日のパリテロ事件のずっと以前から少なくともテロ犯罪者のうちの3人を知っていたという事であると述べている。さらに、フランスの情報機関の失敗は、データ不足にあるのではなく、データに基づいて行動しなかった事に起因すると追求し、ヨーロッパ諸国の間で情報をシェアすることに躊躇があった事、相互協力がなかった事、翻訳などのシンプルな仕事も含めてすべてのプロセスがスローであった事なども原因であるとしている。そして、結論として、米国やフランスの諜報機関は、この惨事を利用してバルクデータ(大容量データ)監視に賛成の議論を立てる事よりも、情報機関活動の失敗に目を向け、それを反省し検討する必要があるとしている。
その他にフランス24と呼ばれるニュースチャネルが「パリ警視庁はテロ事件の前に、テロアタック陰謀についての注意情報を伝えていなかった」との驚くべきヘッドラインで、やはり情報がありながら行動を起こさなかった治安当局に関する記事を掲載しているので、それを和訳してご紹介させていただく。
原文へのリンク:
FRANCE24:パリ警視庁はテロ事件の前に、テロアタック陰謀についての注意情報を伝えていなかった
2015年11月18日
(抄訳:グローガー理恵)
13日金曜日にパリで起こった衝撃的なテロアタックのちょうど10日前に、6人のグループが首都への大きなテロアタックの準備をしているという情報があったにもかかわらず、パリ警視庁は、その情報を国内治安総局に伝えていなかったという事が、火曜日、明らかになった。
FRANCE24のAntoine Mariottinに語った2つの別々の情報源によると、覚書はパリ警視庁から出ており11月はじめに書かれたものだったという。その情報は、首都の北部にある第18区に住む6人のグループおよびシリア・パスポートの偽造売買について言及されたものであった。情報には、グループが’’何か大きなもの(劇的なアタックを示唆していると考えられる)’’に取り組んでいると報告されてあったという。
フランスの捜査官らはスタッド・ド・フランス近くであった自爆事件の一現場で偽造されたシリアのパスポートを見つけており、11月13日のテロ事件には一人のシリア人が関わっていたかもしれないと考えられる。しかし、覚書に述べられた6人の名前は、金曜日にアタックを行ったテロリストの中には含まれていない。
警視庁は、なぜ注意書きがフランスの国内治安総局 (DGSI- Direction générale de la sécurité intérieure)に廻らなかったのか思案しているという。情報提供者はFRANCE24に、注意書きには心配を引き起こすような部分があり不安を覚えたと語った。
フランスの安全保障専門家、Charles Pelligrini はFRANCE24にこう語った:’「もしかしたらパリ警視庁の情報部は調査するためにもっと時間が欲しかったのかもしれない。」
以上
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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