SJJA&WSJPO【西サハラ最新情報】145 移民難民は邪魔者、イスラエル移民強制収容所
- 2016年 2月 10日
- 評論・紹介・意見
- サハラ平田伊都子難民
難民も避難民も移民も、世の人は十把一絡げに邪魔者扱いにしようとしています。 人は好き好んで難民になったのではありません。 祖国から暴力で追放され、泣く泣く国を去り異国で難民生活をしているのです。 天災で故郷に住めなくなり、近隣諸国に逃げた避難民もいます。 貧しく食っていけないから、職を求め先進国に入った移民もいます。
UNHCR国連難民高等弁務官は、「難民が実際に国際保護を受け、その地位に付随する権利と資格を享受することを確保する第一義的な責任は、その者が庇護を求めた国にある」と、言うのですが、、世の人は正直なところ、そう思ってないようです。
(1)イスラエル移民強制収容所:
2016年2月2日、BBC英国TVがイスラエルの人里離れたネゲブ砂漠にある奥深く入った、秘密の移民強制所を暴露した。<ホロト>とあだ名されるこの収容所には、推定100人以上のアフリカ人移民が収容されている。人数こそ少ないがフェンスで囲まれた収容所は、かってのナチのユダヤ人強制収容所を彷彿とさせる。イスラエルに移住したがイスラエルから気に食わないとレッテルを貼られたアフリカ移民が、この<ホロト>に送られてくる。ダルフールの虐殺から逃れてイスラエル2011年にイスラエルに逃げてきたあるスーダンの青年は、2015年10月にイスラエル滞在延長と亡命を申請したがイスラエル当局から拒否され、即、この収容所に送り込まれた。拘留期限が切れたとイスラエルが判断すると、3つの選択肢をイスラエル当局は提示してくる。①祖国に帰る、➁第三国に行く、③イスラエル刑務所に入る。➁の第三国はルワンダとウガンダに限られていて、イスラエルは身分を証明するような書類を一切持たせないで追放するから、第三国では無国籍人間扱いとなり、そのまま他の国に売り飛ばされていく。明らかに人身売買だ。
イスラエルという国を作ったユダヤ人は、かって世の人から邪魔者にされ、第二次大戦中にはドイツのナチによって強制収容所に送り込まれた。そんな虐待の歴史を今も世の人に語り継ぎ教えを垂れているユダヤ人が、どうして同じような虐待をアフリカの人々にするのだろうか?虐待の復讐は虐待した犯人であるヨーロッパ人に限定して欲しい。
「私に約束されたものは何もない。書類ナシ、パスポートなし、援助なし、イスラエルは人を誘い入れ、ごみのように捨てる」と、スーダンの青年はフェンスを見上げる。
(2)ケニヤのソマリア難民キャンプ、アルシャバーブ:
ケニヤのダダーブには隣国ソマリアの内戦を逃れてきたソマリア難民が、24年間暮らしている。
そのソマリアでは1月22日にアルシャバーブ(ソマリアのイスラム過激派)が、港湾都市メルカを護るソマリアとAUアフリカ連合との合同基地を襲撃した。地元住民は、「AU軍を仕切っていたケニア兵が多数殺され、メルカはアル・シャバーブの手に再度、落ちた」と、語った。が、AU軍はメルカからの撤退を認めたが、戦略的なものだと釈明した。
アルシャバーブ・アルカイダ系イスラム過激派組織の復活は、2016年8月にTICADⅥの開催をケニヤでお願いしている日本にとって、大きな不安材料だ。 ケニヤッタ・ケニア大統領は、「治安は任せて」と、AUアフリカ連合年次会議で軽く請け負ったが、不安だなあ~6,000人も招ぶんでしょう?当然、日本は治安のために大金を振り込み、自衛隊もテロ訓練を口実に出動させるのだろうけど、アルシャバーブは神出鬼没。2013年9月21日にはナイロビのショッピングモールを襲撃し67人以上を殺した。2015年4月2日にケニア北東部にあるガリッサ大学を襲撃し、147人以上を殺している。アルシャバーブのテロ活動は予測がつかない。
TICADとは、Tokyo International Conference on African Development(アフリカ開発 会議)の略。
(3)難民とは?:
1951年の「難民の地位に関する条約」では、「難民とは、人種、宗教、国籍、政治的意見やまたは特定の社会集団に属するなどの理由で、自国にいると迫害を受けるかあるいは迫害を受ける恐れがあるために他国に逃れた人々」と定義されている。今日、難民とは、政治的な迫害のほか、武力紛争や人権侵害などを逃れるために国境を越えて他国に庇護を求めた人々を指すようになっている。 また、紛争などによって住み慣れた家を追われたが、国内にとどまっているかあるいは国境を越えずに避難生活を送っている「国内避難民」も近年増加している。このような人々も、難民と同様に外部からの援助なしには生活できない。適切な援助が実施できなかった場合、これらの人々は国境を越えて難民となり、結局、受け入れ国の政府や国際社会は、より重い負担を強いられることになってしまう。
「3390万人の自国から追い立てられた、または無国籍の人々を保護することはUNHCRの核となる任務です。UNHCRは複数の方法でこの任務を実施します。具体的には、土地を追われた、または無国籍の人々の庇護国または常居所国での基本的人権、そして難民が迫害を受ける可能性のある国にその意思に反して帰されないことを保障します。長期的には、UNHCRは難民が出身国への自主帰還、庇護国における社会統合、または第三国定住を通して適切な恒久的解決策 を見つけることを支援します。(UNHCR国連難民高等弁務官・東京事務所)
UNHCRは西サハラ難民を<難民の鑑>と褒め称えた。それは、西サハラ難民が援助物資の配給から教育、医療にいたるまで、UNHCRの手を煩わせることなく自主的に民主的に仕切り、民主的な選挙で西サハラ難民政府を組織し、国連の約束した国連西サハラ住民投票を辛抱強く待ち続けているからだ。しかし、国連の言うことを聞いて24年間、UNHCRの難民認定を受けて40年、世の人は、西サハラ難民を忘れかけている、、もうこれ以上待てないと、西サハラ難民は国連に体当たりを始めた。
西サハラ難民キャンプのテントもUNHCRの支給品。「もう待ちくたびれたれた~」と欠伸をする難民少女
(4)難民基金に振り込め:
UNHCRの発表によると2015年に海を渡ってEUに渡った移民難民は約100万人で大部分がトルコ経由だとしている。移民難民を担保にする抜け目のないトルコのエルドアン大統領は欧州委員会に、2015年11月24日、<トルコによるシリア難民支援のため>という名目で、33億ドルの振り込みを承諾させた。
2016年2月2日のBBC 英国TVインタヴューでヨルダン国王アブドッラーは、トルコ基金にEUや国際組織の金が吸い取られるのを警戒して、「シリアの子供に教育を施したり、我々は難民援助を断ったことはない。しかし、難民がヨルダン市民の経済生活を脅かしているのも事実だ。国際社会はヨルダンの難民支援に、もっと金をまわすべきだ」
ヨルダンのアズラク難民キャンプには、25,000人のシリア難民が5年以上住み着いている。ヨルダン政府は、「難民に加え、ヨルダンには130万人のシリア避難民が押し寄せていて、ヨルダンはさらに年間30億ドルの追加援助金を必要としている」と、訴えた。
2016年2月シリア北部の町アレッポがシリア政府軍に制圧され、アレッポ住民35,000人が、トルコの国境の町キリスに逃げ込もうとした。しかし、トルコ政府はシリア避難民の受け入れを断った。「EUはシリア難民のためのトルコ基金を設けてやったじゃないか!金を受け取ったのだから、シリア難民を受け入れるのは人道的にも当然だ」と、2月7日、EU外交担当フェデリカ・モゲリニはトルコを詰った。が、トルコは、シリア難民に国境のゲートを開けなかった。
2016年2月6日の土曜日、ドイツ東部ドレスデンの反イスラム団体「西洋のイスラム化に反対する愛国的な欧州人(PEGIDA)」などが呼び掛け、ヨーロッパでは移民・難民の排斥デモが行われました。 しかし、ドイツの指導者メルケルは国境で足止めを食わされているシリア難民のためにトルコに足を運び、難民受入れを迫りました。 トルコは「まだ全額を振り込んでもらってない」と、難民商売に長けているトルコはごねています。
そんな触れ込み詐欺にひっかかって 日本は新たに400億円もつぎ込むんですって?! 私たち日本人ってそんなにお金持ちなの?
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2016年2月9日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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