「ミサイル」ではないものに対して「ミサイル」を配備した日本 Japan deployed missiles against North Korea’s non-missiles
- 2016年 2月 10日
- 時代をみる
- 「ピースフィロソフィー」
日本の人たちは日本語報道で繰り返される「北朝鮮による事実上の長距離弾道ミサイル発射」という言葉に騙されている。
これを「ミサイル」と呼ぶことのウソについては『アリの一言』ブログの「どうして「ミサイル」と断定できるのか!」を参照されたい。(同ブログの「『機能しないPAC3』を沖縄に配備する2つの狙い」も同時に参照。)
軍事に詳しい週刊金曜日の成澤宗男記者も、「弾頭に爆薬もなく、燃料注入に何日もかけ、人工衛星を打ち上げる飛翔体をミサイルと呼べません。意図的に、軍事的脅威のデマを煽っているだけ」と言っている。
成澤氏によると、「ある軍事評論家がTV出演の依頼を受け承諾したが、事前にこのこと(北朝鮮が打ち上げたものを『ミサイル』などとは呼べない)を指摘したら、急に出演をキャンセルされた」とのことだ。マスコミはとことん「北朝鮮がミサイルを発射した」というイメージ宣伝をしたいのだろう。
共同通信による解説図(2月9日) |
2月8日の『琉球新報』(23面)で軍事評論家の前田哲男氏は「一度、大気圏を突き抜け再突入するのが弾道ミサイル」で、「軌道に乗って地球を回っていれば衛星だ」と言っている。
しかし2月9日の共同通信の報道では、今回北朝鮮は「再突入体」(「大気圏外にいったん打ち上げた弾頭が大気圏に再突入し、落下していく際の高熱や衝撃から守る部品」)の実験はしていないと確認されたということだ。
これを上記の報道では「ミサイル実用化へは道半ば」とか言っているが、再突入体の実験をしていならなおさら、この実験は「ミサイル」実験とは言えないのではないか??
これに対し日本政府、メディア、自治体「破壊措置命令」を出し、地対空ミサイル「PAC3」と海上配備型迎撃ミサイル「SM3」を搭載したイージス艦を配置したのだ。
ということは、日本は、「ミサイル」でないものに対して「ミサイル」を発射する体制を敷いたということだ。
天木直人氏が2月7日のメルマガで「迎撃したら日本の先制攻撃となり、北朝鮮との戦争を仕掛けることになる」と言ったように、日本は先制攻撃の準備をしていたのである。
そしてこれを機に日本は、韓国に配備計画が進んでいる最先端の迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」を日本にも配備しようとしている。2月8日の記者会見で菅官房長官が表明したが、導入検討はすでに昨年11月中谷防衛大臣によって初表明されている(『東京新聞』2月9日「菅氏、高高度防衛ミサイルの配備『検討』 費用膨大で防衛予算増も)。
安倍政権にとって今回の「打ち上げ」は、さらなる軍拡、軍事費増強を正当化し、日本市民、特に沖縄市民の心を恐怖感で操作し、離島の自衛隊増強、新たな米軍施設建設に対する市民の抵抗を封じるために最大限に利用できるものとなったのだ。
沖縄の友人の孫(小学生)は今回の騒ぎを見て、「北朝鮮とアベは組んでいるの?」と聞いたそうだ。
私たち大人も、政府とメディアの嘘を見破り、自分の頭で考え、問うことを止めてはならない。「北朝鮮」と聞くだけで思考停止する傾向を乗り越えなければいけない。
初出:「ピースフィロソフィー」2016.02.09より許可を得て転載
http://peacephilosophy.blogspot.jp/2016/02/blog-post.html
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〔eye3281:160210〕
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