TPPは地域を壊し、地産地消を脅かす。批准は許されない
- 2016年 4月 1日
- 時代をみる
- 醍醐聡
2016年3月31日
昨日(3月30日)、「TPPを批准させない3. 30 国会行動」が行われた。主催は「TPP批准阻止アクション実行委員会」。私も呼びかけ人に名前を連ねた「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」は賛同団体に加わり、私は個人としてこの日の行動の呼びかけ人に加わった。行動は3部制で行われた。
第1部(14時30分~16時30分):衆議院第2議員会館前での座り込
み行動
第2部(17時00分~18時30分):決起集会(憲政記念館ホール)
第3部(19時00分~20時00分):国会請願キャンドルデモ
私は都合により、第3部の行動には参加できなかったが、第2部で、呼びかけ人の1人として、植草一秀さん、内田聖子さんとともに、短いスピーチをした。事前に司会者から5分でという指示を受けていたので、散漫なスピーチにならないよう、今の時点でぜひ話したいと思うことを持ち時間の中で話せるよう、用意した原稿を読み上げる形にした。もう少し、その場の話し言葉で発言した方が親しみを持っていただけたのではと、後で反省したが、とにもかくも限られた時間で言いたいことは言えたかなと思っている。
以下、読み上げ原稿を転載しておきたい。
なお、第2部の集会の模様はIWJの記録録画が次のように、ネットにアップされている。
「TPPを批准させない3.30集会 in 憲政記念館ホール IWJ 録画
http://www.ustream.tv/recorded/85065028
(右サイドバーの「2016/03/30 16:50」)
UPLANの録画もyoutubeにアップされている。
https://www.youtube.com/watch?v=6VKR7kXNJxk
(私のスピーチは7:25~13:00)
11分40秒~ 呼びかけ人あいさつ 原中勝征(前日本医師会会長)
16分40秒~39分00秒 呼びかけ人スピーチ
醍醐 聰、植草一秀、内田聖子
39分50秒~1時間11分00秒 各党代表あいさつ
民進党、無所属、日本共産党、社民
党、生活の党
1時間15分00秒~ 制服向上委員会 スピーチ&うた
1時間21分00秒~ 各界参加者決意表明
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3.30憲政記念館集会スピーチ 読み上げ原稿
醍醐 聰
皆さん、こんにちは。安倍首相は3月3日の参議院予算委員会で、TPP交渉において日本は勝利した、と誇らしげに発言しました。どうしてでしょう? ほとんどの国が98%の農産品の関税を撤廃したのに対し、日本は82%にとどめたからだ言うのです。しかし、これは、安倍首相の過剰な自己愛に災いされた実績詐称のホラフキです。
日本が関税を撤廃した82%の品目の中には、政府がTPP交渉に参加する時に「聖域」とした170の重要品目が含まれています。交渉からの脱退も辞さず守るよう、国会でも決議された「聖域」のうちの29%の農産品の関税を政府投げ売りしたのです。
さらに、「日本農業新聞」の調査によると、関税を守ったと政府が言う農産品の細目のうちの20は既に関税がゼロになっていたもので、これ以上、下げようのないものでした。こんなデタラメな説明を国会で通用させてはだめです。
TPP協定文書には私たち市民にとっても日本の国家主権にとっても毒素が随所にちりばめられています。ここでは、地域経済をこわすという毒素について考えてみたいと思います。
今、日本の各地で「地産地消」の取り組みが続けられています。直売所での地元産品の販売、地元農林水産物を活用した加工品の開発、学校給食での地元農林水産物の利用などを通じて、生産者と消費者が「顔の見える繋がり」をつくり、地域の活性化、流通コストの削減を図ろうという取り組みです。
農水省は学校給食における地場産物の利用割合を2015年までに30%以上にするという目標を掲げて地産地消を奨励してきました。
ところが、TPP協定文書の投資の章を見ると、自国の領域において生産された物品を優先的に購入するような措置は許されないと定めています。となりますと、外国産品も出回っている中で、学校給食などで地元産品の利用を奨励することは、内外無差別の原則に反するとして海外食品企業から、ISDS条項を使った訴訟を起こされる恐れが出てきます。政府調達の章でも、入札にあたって現地調達を行ってはならないとされています。
こうしたルールは既に日本も加盟しているWTO政府調達協定で定められた水準と同等であり、新たな懸念には及ばないと政府は説明しています。
しかし、2012年に発効した韓米FTAには内外無差別原則は盛り込まれていませんでしたが、韓国政府は、この協定に入れられたISDS条項で米国企業から訴訟をおこされることを恐れて地方自治体に地産地消の条例を止めるよう指示しました。その結果、約9割の自治体が「地産地消」の条例を変更し、米国産品も選べるような表現に直しました。
さらにTPP協定では3年以内に、国際入札を義務付ける対象範囲、基準額を再交渉すると謳っています。
地域主権、地域経済を脅かし、地産地消の流れに逆行する危険な船に乗ることはぜったいに阻止しなければなりません。
皆さん、たとえ、お腹にパンチをくらおうと(注)、私たちには道理と大義があります。今の国会でTPP協定の批准を阻止し、さらにアメリカ、カナダ、日本が足並みをそろえれば、TPP協定を永久に葬り去ることができます。ともに頑張りましょう。
(注)「たとえ、お腹にパンチをくらおうと」という台詞は唐突に
思われたかもしれないが、次のような報道を念頭に入れて
使った言葉である。
「自民・山田俊男氏、農協関係者に暴力 党幹部が公表」
(朝日デジタル 2016年3月25日21時32分)
http://www.asahi.com/articles/ASJ3T652DJ3TUTFK01S.html
「自民党の山田俊男参院議員(比例区)が18日の党会合に出席した際、農協関係者に対して暴力を振るっていたことが25日、明らかになった。伊達忠一党参院幹事長が同日の記者会見で、「本人に話を聞いた。事実関係を認めていた」と説明した。
山田氏は、食品の原料原産地表示をテーマにした会合の終了後、出席者の農協関係者と口論になり、腹部を素手で殴ったという。伊達氏によると、山田氏は党参院執行部による事情聴取に対して「親しい間柄で、暴力の認識はなかった。迷惑をかけ、申し訳なかった」と謝罪したという。
山田氏は農協の組織内候補として2007年参議院で初当選し、2期目。」
TPP影響試算の一環として訪問したJA北海道中央会で
(2013年5月14日 醍醐聰撮影)
同上。帯広市での調査を終えて出かけた帯広市内緑ヵ丘公園内の中
城ふみ子の歌碑(2013年5月16日 醍醐聰撮影)
母を軸に子の駆けめぐる原の晝 木の芽は近き林より匂ふ
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye3370:160401〕
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