本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(117)
- 2016年 4月 2日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究本間裕金融
山高ければ谷深し
今年、私自身としては、「金融界」に携わって「40年目の年」を迎えるが、これまでの推移を振り返ると、実に感慨深いものがあるとともに、「2016年」が、本当の「金融大混乱」の年になる可能性が高まっているようにも感じている。つまり、「山高ければ、谷深し」という「相場の格言」のとおりに、「過去40年間の内、約35年間が、金利低下の時代だった」という状況であり、実際には、「お金の価値」が高まり、「国債」や「デリバティブ」が、未曽有の規模で「バブル」を形成したようにも思われるのである。
別の言葉では、「マネーの大膨張が発生した時期だった」とも考えているが、今後は、「バブルの崩壊により、どれほどの大混乱が引き起こされるのか?」が、たいへん気に掛かるのである。つまり、現在では、「お金が神様の時代」となり、「お金さえあれば、何でもできる」と錯覚した「現代人」が、「今後、どのような行動を取るのか?」に注目しているが、一方で、「終わりは始まりである」という言葉のとおりに、「マネーの呪縛」が解けることにより、ようやく、「新たな時代」が幕を開けるようにも感じている。
つまり、「明治維新」や「第二次世界大戦」の時と同様に、「大混乱期」を経て、より良い時代が到来する可能性に期待しているが、やはり、その前に考えなければいけないことは、これからの「金融大混乱」とも言えるようである。具体的には、「日銀の資金繰り」が行き詰まり、その結果として、「無限大の発散経路」と言われる、「紙幣の大増刷」が始まる可能性のことである。そして、その時には、「現代の通貨」が、歴史的には、「ほぼ瞬間的に、価値を失う状況」も想定されるのである。
ただし、この時には、「お金の謎」が解けることにより、今後は、今回のような「異常なバブル」が発生しなくなるものと考えているが、「過去40年間の金融バブル」については、前述のとおりに、「実に凄まじい規模」であり、また、人々の「心の闇」を形成したようにも感じている。つまり、「お金」は、「欲望」を形にしたものであり、「マネーの大膨張」の過程では、根本の「信用」が失われたようにも思われるのである。
別の言葉では、現在ほど、「心の闇」が深い時代は、歴史上、存在しなかったようにも考えているが、今後は、「谷が深かった分だけ、山が高くなる状況」も想定されるのである。つまり、私自身としては、今までの「40年間」が、「お金を奪い合う時代」だったように感じられるのだが、今後は、「助け合いの時代」が始まることにより、たいへん暮らしやすい社会が形成され始める可能性も存在するのである。(2016.3.7)
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どのようにして、「お金」が「現代の神様」となったのか?
現在、感じていることは、「歴史の証言者」の一人として、「どのようにして、お金が、現代の神様となったのか?」を、冷静、かつ、正確に説明する必要性でもあるが、この点については、実に「長い歴史」が存在するとともに、きわめて「複雑、かつ、多様な要因」が存在したようである。そのために、丁寧に「歴史」を分析しながら、詳細に「人々の意識変化」を考えることが大切だと考えているが、現時点では、「歴史のアナロジー(相似性)」を考えることが、有効な手段の一つのようにも感じている。
具体的には、「明治維新」以降、「どのようにして、天皇陛下が、神様に祭り上げられたのか?」ということだが、この点については、ご存じのとおりに、「第二次世界大戦」の終了とともに、「天皇陛下は、普通の人になられた」という状況でもあったのである。つまり、「明治維新」をキッカケにして、「天皇陛下の権力」が復権し、その後は、終戦まで、徐々に、権力が強くなっていったようにも思われるが、最後の段階では、「権力バブルの崩壊」とも言える状況となったようにも感じられるのである。
別の言葉では、「強大な権力」が発生するためには、数多くの「隷従者」が存在することが、必要不可欠の条件とも考えられるのだが、実際には、時間の経過とともに、「より多くの人々が、天皇陛下を神様である」と認識するようになったようにも思われるのである。そして、この点を、「現代の通貨」と比較参照してみると、たいへん興味深い共通性が存在するようにも思われるが、実際に、戦後の世界においては、「お金の力」が、徐々に強くなっていき、最後の段階では、「マイナス金利」までもが、世界的に発生したのである。
つまり、「お金の力」が「ピーク」を付けた状態であり、今後は、「お金が神様の時代」が終焉の時を迎えるものと考えているが、実際には、「裸の王様」の物語と同様に、「現代の通貨は、影も形も存在しない、単なる数字である」という認識が、世界的に、急速に広がることになるようだ。別の言葉では、「何らかの大事件」をキッカケにして、「実態」と「人々の認識」の「差」が、急速に埋まるものと考えているが、過去の歴史を振り返ると、「現在の異常なマネーの大膨張は、人類史上、初めての出来事だった」とも思われるのである。
その結果として、今後は、「お金」を頼りにするのではなく、「人々の信頼関係」が重要視される社会が形成され始めるものと考えているが、この時の問題点は、「どれほどのスピードで、人々の意識変革が終了するのか?」ということでもあるようだ。(2016.3.7)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion6003:160402〕
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