マンション生活で知り得た社会問題を考える(15) ――その後3 二つの公開質問状に応えない理事会
- 2016年 6月 24日
- 評論・紹介・意見
- マンション羽田真一
新聞にはほぼ毎日入れ替わり立ち代わり代表的不動産会社のカラーの全面広告が続いている。これではいくら「管理会社マンションの管理不正」を訴えても採り上げられない訳である。東京では2020年のオリンピック開催を契機に高級マンション(所謂億ション級)の販売がミニバブル化の様相と報じられている。だが、その裏で多くの集合住宅マンションで管理問題が潜んでいると思っている。最近の横浜の2例の杭打ち不正傾きマンション事件は、分譲した大手不動産会社の全棟建替え提案を管理組合が合意する方向と新聞は伝えている。この機会にマンション建替えの合意形成を管理規約で4/5から3/5に緩和するというアドバルーン記事も掲載されているが、多分その裏で異論の少数意見が多数決メカニズムの犠牲になっていると考える。
残念ながら私の住んでいるマンション管理組合には全く「誠実さ」が感じ取れない。羽田は組合理事長は個々の住民の疑問や要求に誠意をもって前向きに対処すべきものと思っている。しかし、現実は真逆のことをやっている。平気で管理規約は守らないでウソをつく。わざと不都合な管理規約・細則は制定しない。どんな言い訳をしても会計書類は住民から要望があれば見せねばならない。なぜなら組合の管理費はすべて住民が拠出したお金であり、それに疑いがあれば理事長はその責任においてそれを明らかにする義務がある。人間だから応えられない問題は山とあり、そのときは正直にできないと答えればよいのだ。折角の羽田の提案による要望書制度に当時の理事長は「組合に機密・秘密があって当たり前」と言ってまともに答えず凍結してしまった。既存の管理規約には「機密・秘密」事項は何も規定されていない。これから規定するといって任期切れで逃れた。この管理組合は全て管理会社の意向で管理中枢が動いるだけだから、不都合ごとは情報を遮断操作する。議事録は改ざん・不記載・回覧時期遅れ無効を平気でやる。不都合な羽田の理事会傍聴や羽田への資料配布を断る。現代版村八分である。そんなことがあっても誰も文句を言わないからもう1年以上続いている。これを防ぐのが総務理事・監事の役目であろうが、そんなことはお飾り役員では不可能であり、望むべくもない。
組合会計の不正疑惑は当マンションの最大の課題であるはずである。すでにいくつかの報告で述べたように、羽田は過去の総会決算資料で2,3の疑惑をつかんでおり、管理規約に基づいて組合会計の公開閲覧を要求してきた。それを初めは完全無視、調停後はあらゆる方策を駆使して「見せると言っているのに見に来ない」にすり替えている。しかし、彼らの出している毎年の決算書はいかに正しいと装っていても、彼ら密閉サークルの中だけの話で確たる証拠は誰も見ていない[会計理事も監事もお飾り]、と考えると恐ろしい話に発展する。現実に前管理人の会計処理実務の独占、彼の小口会計のでたらめさ、修繕工事費の細目別のないどんぶり集計、旧専門委が使った費用明細の不記載、店舗棟での内科診療所開設に当たっての理事会の関与と費用負担など、いずれも実証性のない数字の隠蔽と疑われても仕方がなかろう。だから、羽田は一区分所有者の資格で、文書配布により実証できる会計資料の閲覧公開を求めている。時間が経つほどに大手不動産会社の体質に根差す不正の奥深さが表れて来ている。理事会運営の邪(よこしま)な財力や法知識や人材や経験の圧倒的有利を嵩に、あらゆる点で不利な抗う個人を押し潰そうとしてくる。何としても「社会正義と基本人権擁護の実現」のためには負ける訳に行かない。訪ねたいずれの公的機関も羽田の説明を聞いてくれればまだましで、機関自ら行動を起こすことはない。
2015年5月の定例総会の総会議案書で前理事長は、給排水管交換工事が完了し、漏水事故が無くなりマンションの資産価値が向上したが、羽田の文書配布で資産価値が下落したと1年の自分の組合運営を結論づけた。しかし、羽田の文書配布は、組合会計での前管理人の不正疑惑などを暴くための要求を理事会が完全無視したことへの、マンション内外への告発である。今年、(2014年末から)1年以上も経過したが全くその経過・結果の情報を隠したままなので、以下に述べる(A)羽田告訴手続きの経過と、(B)実行されない会計閲覧公開に関して公開質問を管理会社、コンサルタント、理事長と前理事長(引き続き告訴手続きの専門委として委託)にあてて期限を明記して発したものであり、一般住民にも質問の趣旨を理解してもらいたく公開質問の形を採った。
(A) 公開質問状(刑事告訴に関して)
[主な質問事項] 1.1年以上経った今、 刑事告訴は受理されたのか、誰が・提出先・期日とも明記せよ。未提出なら今後の見通しは。告訴状が受理されなかったら、この刑事告訴が不当であったと認めるか。
2. 告訴請求理由として、誰の・どのような名誉棄損・信用棄損かを具体的に示すこと。
3. マンションの資産価値の低下を具体的に数字で示せ。
4. 外部からの「苦情」の実態も具体的に示せ(賛否両論があって当たり前)。
[上記の具体的な事由の記載のない訴状は訴状と認められないのでは]
[回答] 1月23日の理事会の議事録で「回答しないこととした」の記述あり。
(B) 公開質問状(会計閲覧公開に関して)
[主な質問事項] 1. 前管理人が管理した組合の預金口座の数はいくつあったのか?
2. 過去提示された通帳の写しに利息3円があるが、総会決算書には0円とした。なぜか?
3. 羽田理事長報酬遅延払いの件で、遅れた手続きの証明書類(銀行承認の実物)を提示せよ。
4. 前管理人の常駐から日勤変更による報酬減を理事会が決定しながら、満額を支払った理由を説明せよ。
5. 前管理人の扱った小口会計の詳細を出納長・銀行口座通帳等で実証公開せよ。
6. 大規模修繕工事で旧専門委に報酬以外に払った費用の明細を書類で示せ。
7. 店舗棟での内科診療所開設への組合の関与を交わした書類を公開せよ。など
[回答] なし。
[コメント] これら公開質問状は、管理会社や理事会役員によってなされた不当な刑事告発手続きや[管理費]*の使い道に疑問を持ち、管理費を納めている一住民の当然の権利として問いかけたものである。残念ながら、予想通りまともな回答は得られなかった。その後、前理事長は羽田の文書配布による要求を完全無視して「応じると、あんたの土俵に乗ってしまうから答えない」と断言した。「管理会社マンション」ではこんなことができる。例え、彼らが全てを見せると公表しても信ずることはできない。その対応解決策として、羽田は閲覧実行条件を書類に明記し、お互いに納得確認(押印)して実行することを提案する。管理会社が書類すら偽造するとの話も耳にする。こうなると悲しいことに何を信用すればよいのか。
私はこの紛争での羽田の抵抗を報告(1)の最後で風車に挑むドン・キホーテに例えた。現在も、風車の羽根(理事たち)は毎年新品と取り換えられるが、風車小屋(管理会社やコンサルタント)は強固でその壁を壊すに至っていない。残念ながら管理中枢に全く「誠実さ」がないことが読み取れよう。先の杭打ち偽装と並び、マンション管理会計不正の問題はいずれ顕在化するだろう。マンション管理の理事会制度を根本的に見直す必要があると思われる。あなた任せにせず、住民が学習して結集し、自らの生活を守らなければならない。[(15)終り]
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion6161 :160624〕
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