エジプトの事態、「米国の計算は少しずれた」?ーむしろ計算通りではないか。
- 2011年 2月 12日
- 交流の広場
- エジプト安東次郎
この「交流の広場」で<なんちゃっておじさん>が、<だが軍隊の司令官会議にはムバラクの腹心で、副大統領になったばかりのスレイマンの姿はなかった。米国の計算は少しずれたのだろうか?>といわれています。
しかしオバマ政権は、早い時期からムバラク切り捨てを明確にしたのみならず、スレイマンへの権力継承を潰す発言をしています。
「民主主義を!」ということは、客観的には「ムスリム同胞団を含むような新政権の樹立」を意味することを米国政府が理解していないわけがないでしょう。パレスティナでのハマースの勝利の先例もあります。
(この点は、先の投稿http://chikyuza.net/archives/6222でも、チョスドフスキーの記事
http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=22993を引用しておきました。)
むしろそのような体制こそが、オバマたちがのぞむ中東『新秩序』への道を開くと考えているのではないでしょうか。
オバマたちの真のターゲットは、イスラエルでは?
この間の経過は、(これも先に紹介した)池内恵氏の以下の記事が参考になります。
http://www.fsight.jp/article/5694?ar=1&page=0,0&ar=1
背景には<マイケル・オーレン駐米イスラエル大使は、米・イスラエル関係に一時的な危機ではなく、もっと根本的な「地殻の断裂」と言えるような変化の兆しがあると漏らした>(昨年6月)といわれる事態。
これはかなり根深いなもので、先駆けとなったのが、ミアシャイマーとウォルトの『イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策』。
最近では、ブレジンスキーが、去年の11月23日のFT紙の記事”America and China’s first big test”で、以下のようにイスラエルを非難しています。
More recently, some major US diplomatic efforts to bring peace to the Middle East were successfully defied by a state totally dependent on America.
ようするに、イスラエルは「妥協を拒否」して無茶苦茶しているが(アメリカ政治にも口を出しすぎている)、これは(ネオコンではない)現在のアメリカの支配層(あるいはNew World Orderをめざす世界の支配層)にとって不都合である。(彼がこのようなことを言う時は、はたして口先だけのことでしょうか。)
ということで、チュニジアからはじめて、エジプトに飛び火させ、エジプト軍への影響力を行使し、ムバラクを切り捨て、イスラエルに近いスレイマンへの権力移譲も潰した、ということでは?
したがって、「今日までの事態は彼ら(オバマら)の手のひらのうち」と、私には見えます。
もちろん、今後も事態が彼らの意図のうちにとどまるとは限りませんが。
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