いま、なぜ、「情報公開」の後退なのか~佐倉市社会福祉協議会がやっていること~予算・決算の広報に見る(2)人件費の内訳、正職員・嘱託職員・非常勤職員別がわからないしくみは、どうにかならないのか
- 2016年 10月 7日
- 評論・紹介・意見
- 内野光子
佐倉市社会福祉協議会の予算・決算についての下記の記事を書いてから、だいぶ日が経ってしまった。前回は、予算・決算の広報の仕方が例年と異なりグラフ化などされて、情報量自体が大幅に減らされた上に、実に分かりにくくなったことを伝えた。広報で円グラフ化された数字の元をたどろうと思って、社協のホームページや送ってもらった冊子体の予算書や決算報告書、事業報告書と照合しようにも、該当する表が作成されていないのだ。担当者によれば、広報の事業活動別の数字は、複数の表から数字を拾って作成している、数字の総計には間違いはないというが、市民としては、そんな操作を確かめようがない。
いま、なぜ、「情報公開」の後退なのか~佐倉市社会福祉協議会がやっていること~予算・決算の広報に見る(2016年8月20日 (土))
社協職員の人件費補助と非常勤職員の人件費
10月1日、広報紙『社協さくら』 の最新号189号には、「佐倉市社会福祉協議会の人事・給与などの状況」(平成27年度)という記事がでた(とんでもない単位のミスがあって仰天!)。
これとて公表され始めたのはここ数年のことである。職員数、正職員14名、嘱託職員18名合わせて32名、今、2010年(平成22年度)からの推移を見ているが、2013年から正職と嘱託の数が逆転し始めた。記事の中央には、諸手当の正職と嘱託の差は事細かく示される。しかし、記事の右端の3の(1)(2)の表で職員32名の人件費1億7570万円とその資金源は、正・嘱の別が示されていないし、自主財源の内容も分からない。これは、当方からの8月の問い合わせで、別途送ってもらった資料で分かるのだが、自主財源には、事業収入ほか障害者福祉サービス等・介護サービス・収益事業による収入があるはずだが、そこに配置された人数もわからない。資金源の方に合計欄はないが、私が加えてマーカーをした。合計額は、当然のことながら一致する。行政からの委託事業による受託金の人件費は、理解できるが、佐倉市からの人件費補助金の根拠は相変わらず不透明で、一社会福祉法人に過ぎない「社協」のみが、人件費の補助を受けるのか、が問題のはずだ。他の社会福祉法人との公平性に欠け、受託に拠る人件費と補助金の人件費は人件費の2重どりではないか、とする指摘もある。
さらに、ここには、現場で、大半のサービス業務に苦労されている多くの非常勤職員の人件費は、この数字から抜け落ちている。これも問い合わせで分かったのだが、昨年度、非常勤職員給与は、総計で約5964万円であった。さらに、その内訳、実態のわかる数字、人数配置と時間数、支払額など、これまでの資料からはわからないので、質問を続けている。
3職員の人件費と補助金(平成27年度)
(1)職員の人件費
職員数
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32人
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給料・諸手当
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給料・諸手当
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1億1269万1千円
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期末・勤勉手当
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2976万8千円
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社会保険料
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2461万1千円
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退職掛金
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864万8千円
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合計
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1億7570万8千円
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(2)人件費の資金源
区分
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金額
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佐倉市補助金(人件費)
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3295万7千円
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佐倉市受託金(人件費)
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4665万0千円
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県社協受託金(人件費)
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956万8千円
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自主財源
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8653万4千円
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合計
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1億7570万8千円
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『社協さくら』の記事で、最大の難点は
さらに、この広報記事の難点は、左側の「(2)平均給料月額など」の欄の数字である。これはなんと、正職員・嘱託職員込みの平均給料(基本給)24万8443円と平均給与(諸手当含む)26万3389円だったのである(平均年齢45・7歳)。この一緒くたにした平均に意味があるのであろうか。限りなく意味のない「平均」というマジックに、市民や読者は惑わされるに違いない。これは、上記の表の人件費・資金源と同様、まさに「正職員給与・給料」を意図的に不明確にする常套手段ではないのか。この点は改めるよう、担当者に申し入れの際「趣旨は分かりました」と言っていたが、来期実現すかどうか見守りたい。
ほかの社協では、どうなのか
お隣のほぼ同規模の千葉県八千代市社協の広報『ふくし八千代』はどうだろう。最新号196号(2016年7月)で、昨年度の事業報告と決算報告が2頁にわたって掲載され、去年の佐倉市『社協さくら』と同様に財務諸表が公表されていた。倍の規模の東京都支決算報告のみとあっさりしているが、事業計画・予算にあっては歳入歳出の円グラフながら、内訳の数字が明記されているし、別にサービス区分別の予算も付されているので、佐倉市社協よりはわかりやすい。社協職員は、私たちよりも、各地社協の情報が集まるだろうし、研修もしているはずだ。わかりやすい広報を目指してほしい。
・八千代市社会福祉協議会事業報告・収支決算書(平成27年度)
file:///C:/Users/Owner/Desktop/yatiyosi196.pdf
・府中市社会福祉協議会職員の給与・職員数等について
(平成27年4月1日現在)
http://www.fsyakyo.or.jp/img/about/27syokuin.pdf
・豊中市社会福祉協議会『みんなの福祉』
117号(2016年10月)116号(2016年6月1日)
http://www.toyonaka-shakyo.or.jp/nav/nav_toyosyakyo/paper
さらに、非常勤職員の実態について、問い合わせてもいるので、分かり次第報告したい。
初出:「内野光子のブログ」2016.10.06より許可を得て転載
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2016/10/post-e486.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion6291:161007〕
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