本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(142)
- 2016年 12月 13日
- 評論・紹介・意見
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トランプ次期大統領の衝撃
「トランプ次期大統領の誕生」は、世界中に、大きな衝撃を与えたようだが、基本的には、「どちらが大統領に選出されようとも、時間的なズレで、同じ結果になった可能性」が存在するようにも感じている。つまり、現在の「金融市場」に対しては、今回の「米国大統領選挙」よりも、「先進各国の金融政策が行き詰まった」という点が、より大きな影響を与えたものと思われるのである。
具体的には、「世界各国で、金利上昇が始まった状況」のことだが、このことは、「過去35年ほど続いた世界の金利低下が、歴史的な大転換を迎えた」という事実を表している。別の言葉では、史上最大規模の「マネーの大膨張」に関して、劇的な変化が起こり始めた可能性のことだが、今後は、この点が理解できない限り、相場への対応が難しくなる可能性も存在するようだ。
つまり、「お金の性質」を理解し、また、「お金が、どのように動くのか?」を判断することだが、現時点では、「国債」から「株式」へ、世界の資金が移動しているようである。別の言葉では、「世界の国債価格が、史上最大規模のバブル崩壊に直面した可能性」が存在するために、徐々に、「人々が、実物資産へ、資金移動を始めた状況」のようにも思われるが、「暦」の観点からは、「このことが、はっきりと見えてくるのは、今年の12月からではないか?」とも考えている。
また、現時点で、特に重要な事実は、今までに積みあがった「プログラム売買の残高」だと考えているが、具体的には、「国債を買うために、株式や貴金属を売り、また、円高にした商い」のことである。つまり、現在の「円安、株高」については、「トランプ次期大統領への期待感」がもたらしたものではなく、「プログラム売買の巻き戻し」が発生したことによるものと考えているが、同時に考えなければいけない点は、「この動きこそが、典型的なギャロッピング・インフレではないか?」ということである。
つまり、これから想定されることは、現在の「円安、株高、そして、金利上昇」が、さらに加速する状況であり、また、この動きが、しばらく継続した後に、本格的な「ハイパーインフレ」に移行する可能性のことである。そして、今回の「トランプ次期大統領の勝利」については、あまりにも行き過ぎた「マネーの大膨張」に対する「国民の不満」を代弁しただけだったようにも感じているが、この疑問に対する答えは、来年に、はっきりと出るものと考えている。(2016.11.14)
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国民の不満
今回の「米国大統領選挙」は、「6月23日のBREXIT(イギリスのEU離脱)」に続いた「国民の不満」の表れではないかと考えているが、この点については、実際のところ、「デリバティブの残高」が、大きな影響を与えたようにも感じている。つまり、現在、世界最大の「デリバティブ保有国」が「イギリス」であり、また、次が「アメリカ」となっているが、実は、この点が、「国民の不満」を大きく増幅させた要因だったようにも思われるのである。
つまり、「お金の性質」から判断できることは、「増えたお金は、そのお金を創った主体に帰属する」ということだが、実際には、「2000年当時、約8000兆円の規模だったデリバティブ(金融派生商品)」は、その後、「2007年から2008年にかけて、約8京円にまで大膨張した」という状況だったのである。そして、増えた「資金」は、ほとんどが、「一部のメガバンク」と「政府」に帰属したものと想定されるが、その結果として発生した事態が、「国民の窮乏」だったのである。
具体的には、「世界全体の資金総額」は増えたものの、「個人の給料や保有資産」が、ほとんど変化しなかったために、「相対的な資産価値の急減」に見舞われたものと想定されるのである。別の言葉では、「価値が激減した通貨」を稼ぐために、「死に物狂いで働かざるを得ない状況」に追いつめられたようにも感じているが、この結果として発生した事態が、現在の「過労死」や「過労自殺」だった可能性も存在するのである。
このように、「信用創造」という「何もない空中から、お金を創り出す状況」こそが、現在の「貧富格差」を生み出した根源のようにも感じているが、この時に考えなければいけないことは、「国家」と「国民」との関係性でもあるようだ。具体的には、「目に見える税金」のみならず、「目に見えない税金」までもが課されているために、「国民の生活」が、きわめて厳しくなっている状況のことである。
つまり、「異次元の金融緩和」や「量的緩和」が意味することは、「中央銀行が、国民の預金を使い、国債を異常な価格にまで買い上げる」ということであり、このことは、典型的な「リフレーション(通貨膨張)政策」という、「目に見えないインフレ税」が課されていた状況だったのである。しかし、残念ながら、ほとんどのマスコミは、この点を無視した「大本営的な発表」に終始したために、現在では、「国民」が「堪忍袋の緒を切らし始めた状況」となっているようにも思われるのである。(2016.11.14)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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