共謀罪強行採決にNO!国会へ&参考人質疑の概要
- 2017年 5月 17日
- 交流の広場
- 杉原浩司
本日5月17日(水)、政府与党はいよいよ共謀罪法案の衆議院法務委員会
での強行採決に打ってでようとしています。
与党は立憲野党の反対を無視して鈴木淳司委員長の職権で、
午前10時~12時、13時~15時に委員会を行い、最後の14時~15時の1時間
を安倍首相入り質疑としました。質疑終了後に強行採決が必至の情勢です。
※衆議院インターネット中継(録画も)
http://www.shugiintv.go.jp/jp/
残念ながら16日夜のテレビニュースは、報道ステーションがパレルモ(組
織犯罪防止)条約加入のための「立法ガイド」を書いたニコス・パッサス
教授による「条約はテロ対策のためのものではない」との説得力あるイン
タビューなどを流した以外は、NHKはごく短時間、NEWS23に至っては共謀
罪を全く報じませんでした。驚くべきメディア状況です。
17日から19日にかけて、連日の行動が組まれています。なんといっても本
日の強行採決を許さない大きな結集が必要です。16日夕方の約4200人の日
比谷野音大集会・デモを引き継いで、さらに強く大きな抗議の声を国会に
響かせましょう。
* 5月17日(水)昼(12時~13時)議員会館前行動
★審議日 午後(13時30分~16時)議員会館前座り込み
夕方(18時30分~19時30分)議員会館前行動
* 5月18日(木)昼(12時~13時)議員会館前行動
午後(13時30分~16時)議員会館前座り込み
夕方(18時30分~19時30分)議員会館前行動
※日弁連集会 18時30分~20時30分:イイノホール
https://www.nichibenren.or.jp/event/year/2017/170518.html
* 5月19日(金)昼(12時~13時)議員会館前行動
(審議日) 午後(13時30分~16時)議員会館前座り込み
夕方(18時30分~)◆国会正門前大行動
後半には、16日の参考人質疑の一部概要を載せていますのでご参照くださ
い(動画は、上記の衆議院インターネット中継のカレンダー部分で「5/16」
をクリックして法務委員会をご覧ください)。法案に賛成しようとしてい
る維新が推薦した指宿信参考人が、明確に反対だと述べたのは痛快でした。
メディアはこうした点を大きく報道すべきなのですが(東京はしっかり報
じています)。
共謀罪法案 5識者が意見 維新参考人も反対(5月16日、東京夕刊)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017051690135723.html
「共謀罪NO!」市民訴え 国会緊迫、反対派が抗議(5月16日、共同)
https://this.kiji.is/237184753367810050
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<衆議院法務委員会 5月16日の参考人質疑の一部概要> (文責:杉原)
◆海渡雄一弁護士(民進推薦)
「刑法は人の行動が自由である範囲を定めるもの。共謀罪は、既遂処罰を
基本としてきた刑法体系を覆し、人々の自由な行動を制限し、国家が市民
社会に介入する境界線を大きく引き下げるものだ」
「組織犯罪防止条約の目的は、マフィア対策など経済的な組織犯罪集団対
策であり、テロ対策ではない」「現在、20の共謀罪と50の予備罪があり、
未遂以前はおおむね処罰が可能だ。暴力団対策法など、日本の犯罪対策は
銃器の所持が認められる米国と比べても決して遜色はない」
「民進党が組織的人身売買罪と組織的詐欺罪の予備罪を提案した。かつて
エジプト政府がテロ関係犯罪で15項目を提案し、法務省もおそらくそれに
従って『詐欺罪と人身売買罪が抜けている』と言っていた。2つの予備罪
の導入によって74の重大犯罪で未遂以前の処罰が可能になるが、スペイン
の46、北欧の約70と比べても決して少なくない」
「2007年の自民党小委員会案は対象を128まで絞った。沖縄で既に弾圧の
道具として使われている組織的威力業務妨害罪や、組織的強要罪、信用毀
損罪は、一つだけでも治安維持法に匹敵する乱用の危険性がある。かつて
自民案では除外していたが、なぜ復活したのか理解できない。真っ先に削
除すべきだ」
「2006年6月の共謀罪法案の強行採決の回避は、当時の小泉首相と河野衆
議院議長の話し合いと決断によりなされたと聞いている。予備罪を追加す
る法案で組織犯罪防止条約を批准しても国際的に全く問題ない。政府案を
強行採決せず、審議を尽くして、日本の人権保障と民主主義の未来に禍根
を残さないよう廃案に」
◆加藤健次弁護士(共産推薦)
「警察の情報収集は切れ目なく、シームレスに行われ、逮捕、捜索等の強
制捜査に至らぬ段階でも、任意捜査として尾行、写真・ビデオ撮影、所持
品検査などプライバシーを大きく侵害しかねない活動が現に行われている」
「共謀罪創設は犯罪成立時期を前倒し、乱用の危険を高め、捜査権限の拡
大につながる」
「大垣警察市民監視事件では、署員が『風力発電反対運動が広がるのを回
避したい』と述べていた。また、岐阜県警は『大垣署員の行為は公共の安
全と秩序の維持のための通常業務の一環』と回答した」「イスラム教徒監
視事件では嫌疑すらない段階で、ムスリム全体をテロ予備軍と決めつけて
いた」
「休日に赤旗を配布し逮捕された国家公務員法違反事件では、最高裁が無
罪判決を出した。警察の”行動確認(=尾行)実施結果一覧表”によれば、
3日間の配布行為のみが起訴対象なのに、29日間、延べ171人の警官、4台
の車両、6台のビデオカメラを使用した。警察は与えられた権限を抑制的
に使う事はない」
「共謀罪は意見表明に対して強い抑止力を持つ。政府は『一般人は対象で
はない』と言うが、法律には書かれていない。政府が『あなたは一般人、
あなたは一般人じゃない』と言うこの状況自体が、憲法の個人の尊厳から
見て極めて問題だ。共謀罪は警察の活動を大きく拡大し、盗聴等を用いる
危険性も高い」
◆指宿信・成城大学教授(維新推薦)
「3月15日のGPS捜査に関する最高裁判決は、プライバシー権で守るべき新
たな私的領域という概念を承認し、新たなテクノロジーによる捜査手法を
立法により規律するよう国会に求めた。つまり、任意捜査の名で繰り広げ
られてきた監視型捜査への立法を国会に求めている」
「テロ事件をなぜ防げなかったのかについて、国を挙げての議論、研究、
調査を目にしたことがない。なぜ地下鉄サリン事件を防げなかったのか、
なぜ赤報隊事件の犯人を逮捕できなかったのか。そうした反省なしにテロ
を防ぐための法案を用意するのは合理性を欠いている」
◆公明党の國重徹委員は、共謀罪に反対する団体(=共謀罪NO!実行委員
会)のチラシの文言を取り上げて、『法案の内容と異なることを流布して
人々に誤解を与えて萎縮効果を生じさせている』と非難。政府案が極めて
曖昧で恣意的であり、警察に大きな裁量を与えるものであることを棚に挙
げて、危惧を持つ側に責任を転嫁する無責任な姿勢に驚愕しました。
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