本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(171)
- 2017年 10月 21日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究本間裕金融
ビットコイン市場の混乱
現在、「ビットコイン市場」が混乱しているが、この要因としては、「中国におけるビットコイン市場の閉鎖」や「JPモルガンチェースのダイモンCEOのコメント」などが指摘できるようである。具体的には、「9月30日に予定されているビットコインチャイナの閉鎖」であり、また、「ビットコインは詐欺である」という「ダイモンCEO」の意見のことだが、私自身としては、これらの出来事に対して、ある種の違和感を覚えざるを得なかったのも事実である。
つまり、「なぜ、突如として、このような動きが発生したのか?」という疑問のことだが、実際には、「水面下で、いろいろな思惑が存在する可能性」も考えられるようである。具体的には、最近、海外で噂され始めた「中国と米国メガバンクとの結び付き」のことだが、実際には、「中国が推進しようとしている金本位制」に関して、「ゴールドマンサックス」など数行のメガバンクが、「金価格の上昇」を支援することにより、実現の後押しをする可能性のことである。
より詳しく申し上げると、「中国」は、現在、「健全な通貨制度への復帰」を望んでいるとも言われているが、この理由としては、現在の「世界的な金融システム」が持続可能なものではなく、「間もなく、本格的な大混乱に陥る可能性を憂慮している」とも理解されている。つまり、「日米欧の国々で、国債価格の暴落が始まると、世界全体に悪影響が及ぶ可能性」を考慮しているものと思われ、そのために、「現代の通貨」である「フィアットマネー(政府の信用を根本とした通貨)」に代わり、「金を本位にした通貨制度」への移行を目論んでいるものと考えられるのである。
そして、今までは、「超低金利状態」と「貿易黒字」の恩恵を受けながら、着々と、「金の保有残高」を増やしてきたものと思われるが、現在では、戦略を転換し、「国債を守る陣営」に対して、何らかの攻撃を仕掛けてきた状況とも考えられるようである。具体的には、「ビットコイン」に対する信頼感を失わせ、反対に、「金(ゴールド)」に対する信頼感を増幅させる目論見のことだが、この点については、「過去100年間に、どのような変化が世界の通貨に発生したのか?」を理解する必要性があるようだ。
つまり、「1971年のニクソンショック」まで、「世界全体が、金本位制を採用していた事実」のことだが、残念ながら、現在では、このことが忘れ去られ、「お金に対する絶対的な信頼感」が産み出した、一種の「マネーバブル」の状態とも思われるのである。
(2017.9.22)
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BISの金スワップ
最近、海外で注目を浴びている出来事の一つに「BISの金(ゴールド)スワップ」があるが、このことは、「BIS(国際決済銀行)の加盟国」が、「保有している金(ゴールド)」を担保にして、「中央銀行の中央銀行」と呼ばれる「BIS」から「一時的に資金調達する方法」のことである。そして、前回、このことが話題になったのが、「2010年」であり、当時は、「PIGSと呼ばれる国々が、この取引を実施したのではないか?」とも噂されていた。
最近、海外で注目を浴びている出来事の一つに「BISの金(ゴールド)スワップ」があるが、このことは、「BIS(国際決済銀行)の加盟国」が、「保有している金(ゴールド)」を担保にして、「中央銀行の中央銀行」と呼ばれる「BIS」から「一時的に資金調達する方法」のことである。そして、前回、このことが話題になったのが、「2010年」であり、当時は、「PIGSと呼ばれる国々が、この取引を実施したのではないか?」とも噂されていた。
つまり、「BISの金スワップ」については、「個人が質屋で借金する行為」の「国家版」とも言われており、そのために、海外の識者は、「なぜ、これほどまでに、金額が膨らんだのか?」について、いろいろと頭を悩ましているのである。別の言葉では、「2010年までの約30年間、この取引が実施されなかった」、そして、「2008年のリーマンショック以降、再び、この取引が実施されるようになった」という状況に関して、いろいろな憶測が飛び交っている状況とも言えるのである。
そして、私自身としては、この点に関して、「大きな危機感を持つべきではないか?」とも感じているが、その理由としては、「今回の取引が、国家の資金繰りに関したものではないか?」、しかも、「今回は、今までとは違い、量的緩和で問題の先送りができなくなっているのではないか?」とも感じているからである。
つまり、本来は、「2010年」に、本当の「金融危機」が発覚していたものと考えているが、実際には、「日米欧の国々が、異常なまでの国債買い付けを実施し、マイナス金利までをも実現させた」という状況により「約7年間も、時間稼ぎができた状況」だったものと思われるのである。また、このことが、「BISの総支配人」である「カルアナ氏」が、今まで、詳しく述べていた「危機の一つ」とも感じているが、具体的には、「BISの加盟国が、一国でも危機的な状況に陥った時に、世界各国の中央銀行が後追いで急速な金利上昇に迫られるリスク」のことである。(2017.9.22)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion7045:171021〕
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