いま起きていることは何か ― 2017年10月総選挙前の現状認識 ―
- 2017年 10月 21日
- 時代をみる
- 半澤健市選挙
《三極対立でなく一極対少数派》
メディアは選挙戦の組立は三極対立という。「自民・公明vs希望・維新vs立憲・共産・社民」だという。そうではない。安保法案反対に身体を張った政治家が「一斉転向」してつくった「希望の党」や、是々非々と言いつつ安保に賛成した「日本維新の会」が、どうして野党と言えようか。小池にハマった同穴のムジナである。
強大な一極に対する微力な反対勢力の対峙。これが現実だ。一極は「自民・公明・維新・希望」である。反対派は、「立憲・共産・社民」である。テレビ政治に長けた機会主義者の言動が「保守一極構造」をハダカにして見せたのである。もっとも当事者が自覚しているかは別であるが。
《一極体制の起源と推移》
一極体制はいつ始まったのか。それは1960年夏に始まった。安保と三井三池の敗者が、高度成長にコミットしたときに始まった。人々は、革命でなくパイの極大化によって、おのれの分け前を大きくする政策に乗った。「日本的経営」と「官僚統制」が合体した。「経済成長政策」は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」に結実した。1980年ごろである。
一極体制はそれからどうなったのか。
この国は1990年を挟む東西冷戦の終結、この世界史的意義を正面から捉えなかった。むしろ逆走した。94年には社会党党首が、自民党と結んで首相になった。左右対立はなくなったという言説が大勢となった。その結果が「いま起きていること」である。
《一極体制論への予想される批判》
人は言うであろう。60年体制には総評の春闘があり、社会主義をとなえる政党が三分の一もいたではないか。それは確かにあったし確かにいた。しかし振り返ると彼らは体制の補完勢力だった。その証拠に新自由主義の侵入によって60年体制は一夜にして崩れたではないか。
人は言うであろう。新自由主義はリーマン・ショック以後は衰退に向かっているではないか。トランプ政権は、孤立主義に変わり、国境の壁を構築しているではないか。
人は言うであろう。お前はまだ社会党や共産党のことを言っているのか。リベラル派は時代錯誤派ではないかと。
《外交・内政ともその批判は当たらない》
トランプ政権下でもメキシコ国境の壁は進まない。それどころか、国境の壁を超え、リーマン恐慌を越えて、巨大資本と金融資本は、自ら再編成の只中にある。見よ、トランプ政権の主要閣僚は軍人と金融資本家である。
この30年間に国内で何が起こったのか。
安倍独裁に至る民主政治の破壊―行政が立法・司法を制圧し三権分立が消滅した―、無責任体制を放置したままの原発事故、非正規労働者40%に至る貧困と格差の定着、底の見えない地方の疲弊、改憲なき海外派兵の容認、孤立したトランプ政権への隷従。これが「日本国」の現実である。
《立憲・共産・社民・良識ある無所属へ》
メディアによる「立憲・共産・社民」の合計議席予想は、現有38名に対して最高で68名、最低で57名である。自民は最大303名を狙うという(10月16日報道の『TBS・毎日』調査)。一極体制は完成の域に達している。
北の核攻撃で、東京で約20~94万人、ソウルで22万~116万人の死者が出る。これは米研究機関の予測である(『東京新聞』、10月7日)。ドナルド・トランプは全ての選択肢が卓上にあると言っている。安倍晋三はトランプへの全面信頼を表明している。野党は「戦争に巻き込まれる」と言うが、「日本が米国の主導のもとに戦争を始める」が正確であり、安倍は日米共同の「宣戦」さえ支持しているのである。
《「リベラル21」の主張に賛同を》
私は「リベラル21」の10月10日宣言、それに続く本ブログでの同趣旨の主張に賛成である。
2017年10月22日の総選挙で、「立憲・共産・社民・良識ある無所属」への一票を投じたい。私の意見に賛成する読者は一人でも多くの知己・友人に転送をお願いする。(2017/10/16)
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