(坂井論文へのコメント)イラク・クルド人はイラク憲法下で生きる
- 2017年 10月 22日
- 交流の広場
- 箒川兵庫助
クルド族の動向に詳しくはないが,以前から関心があった。国というか祖国がない。しかしクルド人の人口も広がりも大きい。それなのになぜ一つの国として独立できないのか。
クルド族はトルコ領,シリア領,イラク領に散らばっているようだが,トルコはクルドの独立を認めない。シリアのクルド人はISISを追い出した。しかしその地区にはアメリカ軍が11の基地をシリア政府の承諾なしに建設しているとか。イラクのクルド人もISISを退治した。しかしバルザニ大統領派のクルド族はイスラエルの支援を受けている一方で,イスラエルはISISを支援していた。例えば,負傷した反政府軍やIS要員を治療していた。
今本論で論じられているのはバルザニ派のクルド人であり,イラク・クルド自治区政府議長(大統領)とはバルザニ氏を指すものと思われる。なぜ彼の名前を隠すのか分からないが,「独立を目指すクルド人への懲罰中止を!」というのは,イスラエルの傀儡クルド人国家を認めよというに等しい。
クルド人の独立は認められなければならない。しかし,米国がイラクを侵略し,後にサウジ,米国とイスラエルが組んでISISを利用してイラクを支配しようとし,シリアを破壊したことを考えれば,イスラエル寄りのクルド人国家を認めるわけにはいかないだろうというイラク政府の考えは理解できるのではないだろうか。
バルザニ議長は親の代から親イスラエルであったからその繋がりは軽視できないだろう。将来,イスラエルと組んでイラクやイランを混乱させる原因となる恐れなしとしない。もし独立すれば,イスラエル軍基地や米軍の基地が堂々と建設されたりするだろう。これは我が国の北方領土が日本に返還されたら,米軍基地が建設されることに似ている。これをロシアが許すわけがない。
イラク憲法下で,従来の自治区で生きるのが次善の策であると,小生は考える。
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