新潟県知事選に見る野党の御都合主義
- 2018年 6月 13日
- 評論・紹介・意見
- 熊王信之
新潟県知事選では、与党候補が選挙戦を勝ち抜き、勝てばアベ政権に三下り半を突き付けることになる、と意気込む野党候補が敗れました。
反アベ政権の方々には悪いのですが、私の予想どおりでした。
そもそも、前知事が確りとしていれば、無い筈の選挙でした。 それが、臍から下が原因で辞職されたのですから、勝ってもアベ政権にノーを突き付けることになる筈がありません。
東京都知事選でも同様ですが、もう少し、候補になる人物の素性を調べてから、政治家に擁立されては如何でしょうか。 反原発を言う前に公職につく心構えが確りとした人物でなければならないでしょう。
始めから、今回の野党統一候補を立てていれば良かったのです。 新潟に始めての女性知事誕生を願い、選挙戦を戦った人々の志に報いることが出来なかった真因を突き止めて今後の選挙に備えることが肝心と思われます。
そもそも野党、反アベ政権の方々の大多数は、「反原発」を本願にされているがために、他の住民要求が見えていないのではないのでしょうか。
例えば、何処の市井の片隅にも、日々の生活にのみ注力し生きることが目的の貧しい人々が居るのです。 極寒の冬でも、酷暑の夏でも、自然エネルギーであろうとも原発であろうとも、その源を問わずに、電気を利用出来ない人々も多数が居るのがこの国の現実です。 そのような人々の耳には、「反原発」の合唱は聞こえないでしょう。
選挙戦の前に、「私は、これで辞めました」とばかりに己の臍の下を指す愚かな人物を知事に立てた野党と支持者は猛反省しなければならなかったのです。
極言すれば、この国の政治と政治家の愚かさは、与野党を問いません。 アベもアベなら、野党も野党です。
もう相当に昔から私が笑うのは、時の政権を攻撃するのに、元首相や、自民の元職政治家を使うことです。 反原発では、小泉元首相が一例です。 今回の選挙戦に加勢されたのではないのでしょうが、新潟で野党候補に会われたことを大きく取り上げて宣伝されてもいました。 親子でアベ降ろしを画策しているのでしょうが、自民党内抗争に野党とその支持者が参加してどうするのでしょうか。 余りにも馬鹿げた行いです。
一体、如何なる思惑があり、こうした手法を使われるのでしょうか。 現職の折に相対していた諸問題は、どうなったのでしょうか。
節操と云う言葉を知らないのでしょうか。
自己の思惑に叶えば何でも利用する、と云う節度の無い政治家や政党は、消える運命にある、と云う事実を無視は出来ないのです。
例えば、嘗て、存在した「日本社会党」と云う政党がその適例です。 無節操に自民党と連合したがために雲散霧消しました。 社民党がその後継とは言えるでしょうが、嘗て存在した社会党とはその意義も存在価値もが相違します。
こういう状況では、支持政党無しで、無投票多数の現状は仕方がありません。
野党各党は、候補の選択から、支持者の獲得手法、政策の選択と実現手法まで様々な政治・政策の学習をする必要があるように思われます。
第一には、反原発の現実的実現手法を、自然エネルギーの最新科学と現実化過程を欧州の実例を見ることから始めて、化石燃料を使わずに反原発が可能か否かを科学的に究明し、そのためにも、気候変動の科学を調査究明する必要があるように思われます。
半原発を教条では無く、科学的に可能とするために。
そのためにも、この国の財政再建と国民の福祉充実を矛盾すること無く現実化する方策を探さねばならないでしょう。
己の下等な欲情に任せて妄動する人物では、これ等の命題に応えることは、到底、無理でしょう。 それだけは確かです。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔opinion7725:180613〕
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。