ガザ抵抗の2か月,死傷者1万3千人以上(3) ―生き、戦い続ける住民、人口増加、教育熱心
- 2018年 6月 25日
- 評論・紹介・意見
- パレスチナ坂井定雄
▼学校はすし詰め、二講制
ガザの学校制度は困難に直面している。国連難民救済機関(UNRWA)によると、94%の学校が学生を午前、午後の授業に分ける2講制。
UNRWAはガザで約250校を運営しており、識字率を97%にまで上げた。UNRWA支援以外の学校は、状態が悪化している。2014年のイスラエルとの激しい紛争で、547の学校、幼稚園、カレッジが被害を受けたが、その多くが修復されていない。各学級の学生数はますます増えている。
国連人口活動基金(UNFPA)のガザ学生数予測は、2015年の63万人から、2030年には120万人へと増加し、学校900校、教員2万3千人増やさなければならない。
▼深刻な電力不足
ガザでは毎日、長時間の停電が起こる、ガザ平均で、毎日3-6時間しか電力が供給されない。ガザに供給される電力の大部分はイスラエルからで、それ以外にはガザ唯一の発電所(GPP)とエジプトからのわずかな送電があるだけだ。世界銀行によると、これら全部の電力供給を合わせても、必要な電力の3分の1にも満たない。
GPPと個人所有の発電機はディーゼル油が熱源で、非常に高価で、供給不足だ。
国連によると。ガザ沖にはガス田があり、その開発が行われればガザの必要量すべての熱源を満たすことができるかもしれない。GPPは当初、天然ガスで発電するように設計されており、もしGPPを天然ガス仕様に再設計すれば、数百万ドルを節約し、供給電力を5倍にできると世界銀行が推計している。
▼給水と下水
ガザの降雨量は少なく、大きな地下水源はないので、住民の必要を十分みたすことができない。大部分の一般家庭は水道に依存しているが、世界銀行によると、水道の給水は安定せず、水質がしばしば悪い。ガザの家庭の97%が給水トラックに頼っている。
下水はもう一つの大問題だ。一般家庭の78%は公共下水道につながっているが、下水処理場の処理能力を超えている。毎日、9千万リットルの下水が不十分に処理され、未処理の下水が地中海と陸上の池に流されており、ガザの地下水の95%が汚染されている。
さらに、下水が街路を流れることもあり、ガザの保健衛生上の危険を引き起こしかねない。
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▼イスラエルとエジプトによって、封鎖状態が続くガザのパレスチナ人たちは今回も、イスラエルによって奪われた土地の返還、その土地への帰還を要求してデモを続け、イスラエル軍の攻撃で多数の死傷者を出した。それでも、ガザ住民たちは困難な生活の中で、住み、人口を増やし続け、子供たちの教育に熱心だ。ここで紹介したBBCのリポートでガザの現状の概要がわかるし、それから目を離さない英国の公共メディアBBCの姿勢に共感する。このリポートでは触れていないが、ガザでは政治の実権を保守的で戦闘的なイスラム政治組織ハマスが支配している。北部のヨルダン川西岸地区の最有力政治勢力ファタハが中心の、パレスチナ自治政府とは対立することも多い。その理由は、1947年と76年にイスラエルによって長年住んでいた土地を奪われ、逃れてきた家族とその子供たちが多いこと、もともとエルサレムや北部のヨルダン川西岸地区よりもイスラム信仰が深く、根強いことがあると思う。
わたしは、1996年のパレスチナ自治政府議長と議会の初の選挙で、ガザで数週間、国際選挙監視団の一員を務めたが、エルサレムと西岸地区と比べ、そのことを毎日感じていた。(了)
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〔opinion7765:180625〕
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