【報告】ソフトバンクから残念な回答書が届きました
- 2018年 9月 29日
- 評論・紹介・意見
- 杉原浩司
9月28日、ソフトバンクから、「ISDEF Japan」(イスラエル軍事見本市)への出展・協賛・プレゼンの中止に関する公開質問状への回答書が届きました(配達証明郵便だったため、受け取りまでに時間がかかりました)。
内容は見ての通り、予想通り、イスラエルのサイバーセキュリティ企業
との協業を正当化したものです。いわく、「各社が提供するテクノロジーは、平和的に活用され、世界各国のお客様に導入されており、問題が発生しているという事実はありません」「例えばサイバーリーズン社は、このような需要に対応するために、悪意のあるハッカー集団からの攻撃に対して、同社の卓越したテクノロジーでお客様の情報資産を効果的に守り、」云々。
そして、「ISDEF Japan」への出展中止については、「個別商業イベントへの出展判断の詳細については、これまでも開示しておりませんので、回答は控えさせていただきます」と、説明責任を放棄しています。
この極めて不誠実な回答を受けて、どう対応するかについては、「川崎でのイスラエル軍事エキスポに反対する会」で議論したうえで判断することになりますが、まずはご一報まで。後半に公開質問状も貼り付けましたので合わせてご覧ください。ぜひ、この件について広めていただければありがたいです。
また、ソフトバンクに対しては、イスラエル企業との協業(提携や出資など)をやめるよう、声を届けてください。
◆ソフトバンク株式会社 (代表TEL) 03-6889-2000
※なお、「反対する会 代表」という表記は便宜的なものです。
—————<以下、ソフトバンクからの回答書>—————-
平成30年9月21日
回答書
川崎でのイスラエル軍事エキスポに反対する会
代表 杉原浩司様
ソフトバンク株式会社総務本部
コーポレートセキュリティ部
平成30年9月10日付公開質問状につき社内確認の結果、以下ご回答いたします。
国内外の投資または国内外の企業との協業案件につきましては、弊社の企業理念である『情報革命で人々を幸せに』という企業理念や、各種関係法令、社会通念に反することがないよう様々な検討を行い適切な判断を行っております。
ご指摘の企業各社についてですが、各社が提供するテクノロジーは、平和的に活用され、世界各国のお客様に導入されており、問題が発生しているという事実はありません。
また、昨今、日々高度かつ複雑に変化していくサイバー攻撃へ対応するため、政府、地方自治体、企業の皆様からは、より高度な備えが必要であるという声が高まっています。例えばサイバーリーズン社は、このような需要に対応するために、悪意のあるハッカー集団からの攻撃に対して、同社の卓越したテクノロジーでお客様の情報資産を効果的に守り、より安全なネット環境を日本を含む世界各国へ提供しており、同社のサービスは社会に大きく貢献していると認識しています。
『ISDEF Japan』への出展については、弊社グループが提供するセキュリティサービスがいかに社会へ貢献しているのかという点を訴求できる良い機会と捉えて検討しましたが、最終的には出展をとりやめました。個別商業イベントへの出展判断の詳細については、これまでも開示しておりませんので、回答は控えさせていただきます。今後、弊社グループが提供するセキュリティサービスが社会に貢献していることを訴求できるイベントなどの機会があれば、前向きに検討していく方針です。本件に関しては、すでに複数の新聞社からのお問合せへも同様に回答しております。
—————-<以下、公開質問状>—————-
https://kosugihara.exblog.jp/238754441/
【公開質問状】
ソフトバンク代表取締役会長兼社長
孫正義様
イスラエルは、国際法違反のパレスチナ軍事占領やガザ地区の封鎖、入植地の拡大などを続け、パレスチナの人々への空爆や銃撃などによる虐殺、日常的な監視と抑圧など様々な人権侵害を繰り返しています。また、軍需企業やサイバーセキュリティ企業はイスラエル政府による人権侵害に加担して利益をあげています。
私たちは日本国憲法のもとで、日本政府および日本企業がこうしたイスラエル政府、企業と経済・軍事協力を行うことはあってはならないと考えています。世界ではイスラエルの人権侵害に抗議するためのBDS(ボイコット、投資引き揚げ、経済制裁)運動が高まりを見せており、日本とイスラエルの接近はこれに逆行するものです。
私たちは今回、川崎市とどろきアリーナで8月29・30日に開催された「ISDEF Japan」(イスラエル軍事見本市)に、貴社がいったんは積極的な参加や支援を決定しながら、再検討のうえで直接的な関与を中止されたことを歓迎します。そのうえで、今回のイベントからの撤退に留まらず、イスラエルとの経済協力の縮小・中止を求める立場から、以下の公開質問状を提出します。十分なご検討のうえで、真摯なご回答をお願いします。
※回答期限 9月25日(火)
1.貴社は、人権侵害に加担しないことを重要な柱とする「ビジネスと人権に関する指導原則」や「国連グローバルコンパクト」の内容を支持し、企業活動に反映させるための仕組みを設けていますか。また、国連グローバルコンパクトへの今後の参加を検討していますか。参加されない場合は、その理由も含めて教えてください。
2.海外の企業に投資したり、共同事業を行う際に、国際法や人権に関してどのような配慮を払っていますか。何らかの基準やガイドラインを定めているのでしょうか。
3.貴社はCybereason(ISDEF Japanに出展)、Zimperium(同)、Vayyar Imaging、Inuitiveといったイスラエル企業に出資や提携を行っています。こうしたイスラエルで活動する企業に対する投資や共同事業に際して、それらの企業が、イスラエル軍やイスラエル警察、入植地などへの製品・サービスの提供等を通じて人権侵害や戦争犯罪に関与しているかどうか、国連が定めている「入植地関連ビジネス」に関与しているかどうかについての調査や考慮はなされていますか。
4.こうしたイスラエル企業との契約内容に、そうした問題に関する事項(例えば、人権侵害や戦争犯罪に用いられる蓋然性の高い事業や入植地関連ビジネスは行わないなどの条件)は含まれていますか。
5.今回のISDEF Japanに出展した貴社との合弁会社であるCybereasonのウェブサイトに「マスコミの報道によれば、IDFによる確認は得られていないものの、8200部隊は(米国と協力して)、2010年にStuxnetコンピュータワームを作成し、これを使ってイランの核濃縮プログラムを攻撃することで、核兵器の必須要素である兵器級のウラニウムの濃縮に使われる数千台ものイラン国内にある遠心分離機を停止させたと言われています。」という記述がありますが、敵国の重要インフラに対するサイバー攻撃は国際法の禁じる武力行使にあたる可能性があるとの議論を知った上で、こうした宣伝を行っているのですか。
6.CybereasonのCEO兼共同創設者はイスラエル軍の諜報部隊である8200部隊の出身であり、同社は8200部隊出身者を中心に研究・開発活動を行っていると強調しています。同部隊の主要任務にパレスチナ人に対する深刻な人権侵害(被占領地のパレスチナ住民の個人情報を盗聴やハッキング等により収集)が含まれていることを知った上で、こうした宣伝を行っているのですか。
7.2016年に立ち上げられたSoftbank Vision Fundにサウジアラビアが巨額の出資(450億ドル)をしています。深刻な人道危機を引き起こしているイエメンへの軍事介入や、自国における人権抑圧を続けるサウジ政府が最大出資者となっている同ファンドの投資基準において、国際法や人権に関する配慮はどのような形でなされているのでしょうか。
8.当初、貴社がISDEF Japanに関して予定していた具体的な関わり(出展[合弁会社を含む]、協賛、後援、スピーチなど)の内容を具体的に示してください。
9.8で回答された項目のうち、最終的に中止された項目はどれですか。また、予定通り実施した項目はどれですか。具体的に挙げてください。
10.中止するに至った理由と中止を決定した時期(日付)を明らかにしてください。また、予定通り実施した点があれば、その理由についてもご説明ください。
11.貴社の現在までのイスラエル政府、イスラエル軍、治安・諜報機関、企業との具体的な関わり(提携関係、出資、出展、合併会社など)と今後の計画を教えてください。また、イスラエル軍、治安・諜報機関への技術流出を防止する対策はありますか。
12.今回のISDEF Japanへの市民の反発とそれを受けての貴社の方針転換という経緯を踏まえて、今までのイスラエル政府、企業との協力関係を抜本的に見直し、それらを縮小・中止するための検討に入る意思はありますか。
2018年9月10日 川崎でのイスラエル軍事エキスポに反対する会
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※ソフトバンクが日本支社を合弁会社として設立したCybereason(ISDEF Japanに出展)、出資したZimperium(同)については、こちらを参照
イスラエル軍事エキスポISDEF Japan:広がる反対の声と隠される参加企業情報
http://u0u1.net/LzAB
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion8035:180929〕
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