11/10(土)世界資本主義フォーラム、レジメ『金融資本主義とグローバル資本主義』
- 2018年 11月 6日
- スタディルーム
- 元専修大学教授小林襄治日本証券経済研究所客員研究員
*以下は、2018年11月10日の世界資本主義フォーラムにて報告を予定しているものです[文末にフォーラムの案内]。
(報告要旨)
現代資本主義あるいは現代世界経済について、さまざまな論者がそれぞれの言説を展開している。それらの全貌を知るわけでないが、筆者(小林)の把握する範囲内で、言説を「分類」し、主張を聞いてみる。「分類」といっても、各論者の論点は多岐にわたり、一面を捉えたものに過ぎないが、論点の整理にはなろう。その上で、論点にかかわる現状について、中国経済の台頭、IT企業の成長と資本蓄積、金融世界の変貌(銀行のトレーディング機関化等)について考察する。そして、筆者の能力を超える問題(石油、農業、環境等)について若干の論点に言及し、債務増大と金融政策について考察する。
とはいえ、論点は多岐にわたり、筆者自身もこれらを全面的に論じてきたわけでない。「妄想と偏見、独断」に基づく考察であり、「寄り道、脱線、逡巡、拡散」の繰り返しである。そのため、回り道であるが、まず、1970年代以降の金融を中心とする世界経済の動向の認識をメモ的に提示しておく。これ自体を説明する時間はないが、筆者の歴史認識と今日の報告を理解する一助にはなろう。つぎに、報告に関連するものとは言い切れないものを含めて、自己紹介を行うことにする。資料の選択や情報の獲得は研究の「場」とも結びつぎ、「偏見とイデオロギー」に満ちたものであり、そのことを明らかにしておくためである。
したがって、本レジメの構成は以下の通りとなる(報告は、実質的にⅢとⅣ)。
Ⅰ.1970年代以降の世界(メモ:筆者の歴史認識)
Ⅱ.世界資本主義との出会い(自己紹介のメモ)
Ⅲ.現代資本主義をめぐる論者たち(「言説」の分類)
Ⅳ.現代資本主義分析の課題(中国の台頭、IT企業の資本蓄積、銀行の変貌、石油と農業、債務拡大・財政金融政策)
報告の要点は、Ⅲの分類とⅣの前半である。脱線と拡散で報告がまとまるかどうかわからないので、最初に報告の要点ないし「結論」を述べておこう。
多様な金融化論やグローバル資本主義論をいくつかに「分類」したが、これは単純化や一面化をともなうものであり、各氏の言説を忠実に再現する、というよりも特徴を抽出したものである。ここでは大きくは4つに分類した。①は格差・貧困・不安定等への批判であり、ソロスやスティグリッツ、ドーア等の議論で代表させたが、他の論者にも共通する要素は大きい。②は負債の拡大とその抑制を主張するターナー、キング、ケイ等の議論である。金融政策との関連では重視するべき議論である。③は覇権安定論としてギルピン、ストレンジを取り上げた。ギルピンの説は文字通り覇権安定であるが、逆に読めば覇権は覇権に対抗する勢力を生み出すという指摘となる。ストレンジは金融の不安定を「カジノ」に例えて早くに指摘した点が功績だが、「国家はもはや経済を指揮できない」として覇権否定論である。
以上はすべて非マルクス経済学に基づく言説であるが、マルクス経済学系列(中身は問わない)の言説で注目したのが以下の5氏である。これらは要点を資料1に引用ないしまとめてある。
①コスタスの金融化資本主義は、金融化を明確に定義し(商工業企業は投資よりも金融投資、銀行は金融市場取引と家計への貸出、家計の金融とのかかわりの増大)、アメリカを中心に実証し、資本主義の衰退段階とみなすものである。事実や衰退過程との認識に違和感が残るが、金融化に焦点を当てた研究である。IT企業や株式市場(キャピタル・ゲイン)にあまり注意が払われていないこと、アジア(中国等)の資本主義の発展、国家の対立が無視されている。
②河村哲二のグローバル資本主義論は、パックス・アメリカーナの衰退を克服すべく、グローバル規模の資本蓄積体制を展開したものとして捉える。その特徴を企業・金融・情報のグローバル化、政府機能の新自由主義的転換と捉え、「グローバル成長連関」(資料1参照)の図式を提示する。見事なきれいな図式であるが、それだけで完結し、抜け落ちる分(対抗勢力、資源・農業・環境等)が少なくない。しかも、河村の主張の核となるグローバルマネー(NYに集積するドル資金)の担い手は不明であり、IT資本の評価も良くわからない。また、リーマン恐慌に引きずられてか、政府や国家機能の限界の主張も説得力に欠く。原論的にいえば、恐慌は循環する現象であり、限界の証明とはならない。
③馬場のグローバル資本主義論は、『新資本主義論』以降の「反成長」ともいえる独自の哲学、アメリカ中心の段階論に基づくものであるが、これを無視しても、1990年以降を資本主義発展の独自の段階とみなす言説である。この特徴は、IT資本の蓄積を新たな生産力を担う支配的ないし主導的資本とみなすとともに、高株価資本主義として金融的側面も取り入れる。同時に、その生産力発揮の過程をグローバルに展開する主体でもあり、その決定的契機を旧社会主義圏の市場経済化にもとめ、それは資本主義の地理的拡大・浸透であり、中国等にとっては資本の原始的蓄積の過程でもある、とみなす。加えて、馬場の他の言説者にない特徴は、このようなグローバル化の過程はアメリカの単独覇権による世界のアメリカ化と捉えつつ、このアメリカ資本主義ないしアメリカ帝国主義は、アメリカ建国以来の「伝統」にしたがった「純粋な」資本主義であるが、異常なものである(先住民殲滅等、投機的、自賛・成功史観等)として弾劾する。そして資本主義の成長・発展は、異常に成長スピードが速く、社会や自然(環境等)の破壊を進め、まもなく自滅すると「予言」する。
予言の当否はともかく、馬場の言説は段階論を離れても、アメリカ資本主義ないしアメリカという国の特質を知る上で重要である。ただ、アメリカの「単独覇権」を強調したためか、「対抗勢力」の出現等への配慮(馬場は、ひごろ「資本主義の不均等発展」を強調していたが)に欠ける。また、社会や自然の破壊の指摘は、石油や農業の問題等への分析を重視する姿勢につながり、貴重であるが、段階論への明示的取り込みはまだである。
④柄谷行人の言説は、生産様式を交換様式に組み替え、ポランニ的視点も取り組んだ、壮大なものである。ここでこれに全面的にコメントする力はないが、「自由主義=帝国主義」と捉える逆説的視点は貴重である。また、世界史を原理の異なる国家と資本(貨幣)という二つの能動主体の運動として捉える視点も貴重である。互酬社会、略取・再分配国家といった把握は現在の多くの途上国の問題を考えるうえでも役立つ(イスラム系諸国など途上国には互酬社会、再分配国家の面が強い)。
⑤五味説は、IT資本の蓄積を「分散・並列・ネットワーク型企業」による新たな生産力を体現したものとして重視し、同時に中国資本主義の台頭を世界資本主義の新しい段階と見るものである。中国資本主義を早くから新段階とみなしたのは慧眼である。
以上のように、強引に整理すると、論点ないし対立点が明確になる。
金融化(金融部門の拡大)を重視するか、IT企業ないしIT型資本蓄積を重視するか、
覇権ないし主導国家(アメリカ)を重視するか、対抗勢力を重視するかになる。
そして、覇権とも絡むが、国家の役割あるいは財政・金融政策をどう評価するか、資本主義の成長の限界をどこに見るかでも大きな相違がある。
コスタスの議論は金融化重視であり、金融機関の金融取引や家計・個人の関与増大であり、グローバル化にともなう国家対立(帝国主義)は後景に退く。河村はグローバル・マネーや財政金融政策を重視する点で金融重視とみなせる。
覇権論は馬場、五味において明確であるが、馬場はアメリカ化への批判に執着し、五味は対立軸(中国資本主義)を重視する。河村も国際通貨ドルの存在、あるいはグローバル・マネーとしてのドルによる支配を軸とする点で、一種の覇権論とみなせる。柄谷は自由主義=帝国主義の図式から、対抗勢力を視野に入れる。
馬場、五味においてはIT型資本蓄積を新たな生産力の形成を重視するが、河村、コスタスはその点が明確でない。
資本主義の成長の「限界」については、コスタスは投資より金融収益に依存し、家計の金融関与が増大した資本主義を、衰退期資本主義と捉え、銀行の公有化を主張する。「老衰」しつつあるヨーロッパ資本主義の「反映」かもしれない。河村は国債の累積や中央銀行の膨張(量的緩和等)に着目し、財政・金融政策の限界を指摘し、資本主義の「過渡期」を主張する。五味は中国資本主義に資本主義の生命力の強さを見出しているようである。馬場や柄谷は、中国やインドの成長がもたらす社会や自然、環境の破壊を重視し、資本主義の限界ないし破壊性を強調する。
以上の論点を念頭に、Ⅳにおいて、データを踏まえて、いくつかの確認を行う。
1.中国資本主義の成長(資料2と3):1990年以降の中国経済は成長を続け、リーマン後にはGDPで世界2位、世界最大の輸出国、最大の自動車市場となっている。1980年代、日本が最大の自動車生産国となったとき、「貿易摩擦」とアメリカの日本バッシングが生じた。
自動車では、外資系の勢力が主力であり、パソコン、スマホは最大の生産・輸出国でもあるが、基幹部品(CPU等)は輸入に依存する。
2.IT企業の資本蓄積(資料4にIT企業の財務データ等)
・ソフトバンクGを例にすれば、キャピタル・ゲインの取り込みが成長の要因。
・・2018年アップルとアマゾンが1兆ドル企業:彼らが現代資本主義を主導。
・IT企業と言っても多様であり、スタート期、成長期、成熟期で資本政策は異なる。
エンゼル(個人投資家)、ヴェンチャー・キャピタル、公開(上場)・資本調達、M&A自社株買い等の、「シリコンバレー企業」特質を見出せる。
・バランスシートやキャッシュフローからはいくつかの特徴が見いだされる。
固定資本は必ずしも「巨大」でない。
研究開発費の支出、投資額が大きい。近年では研究開発費や固定資産投資額は1兆円を超える。(研究開発費でトヨタ1兆円、ホンダ7500億円、ソニー・パナが5000億円ぐらい)
M&Aも活発(競争相手、補完企業、新分野)
(参考:世界のM&A額は2014~17で3兆ドル以上。大規模化:SBG2016年アーム3.3兆円、インテル2015・17年167億・153億ドル、IBM2018・3兆円)
・アップル、MS等では保有金融資産も巨額(30兆円、20兆円か)。
金融収益で儲けているとみなす者もいるが、スマホとウィンドーズが基本。
・長期社債も少なくないが、巨額の自社株買い(株価引き上げ)。
・・それぞれの分野で先発・独占で市場確保、高株価・高収益で資金調達、研究開発・投資、買収、自社株買い。
・・ヒルファディング『金融資本論』から100年以上。擬制資本の存在は指摘されても、その運動を資本蓄積の問題として分析する研究は少ない。とくに株価はバブルや投機の不安定性として批判の対象でしかない(要旨補論参照)。
・・どこまで拡大:独占等への批判、SNSにかかわる社会的批判、セキュリティ、
:パソコン・スマホは既に世界的に普及、もはや伸びない。
:AIでさらに拡大
3.現代大銀行の特徴(資料5参照)
トレーディング資産の拡大
シャドーバンクの拡大と資産運用業者の「台頭」
・・現代の金融システムを見るには、マネタリーな機関(商業銀行)と中央銀行による管理・支配では不十分・一面的。
4.世界の石油と農業問題(資料6)
(ブラウン研究会の仲間、館山豊氏と小沢健二氏の研究の受け売り。馬場宏二『現代世界経済の構図』所収論文参照)
・石油:7大石油会社の支配と安定→産油国国営会社の原油支配と再編、
エネルギー構成(石油、ガス、石炭、原子力等)
供給サイド:不安定なサウジ等(石油収入の再分配国家)と非OPEC
トウモロコシ・シェールオイル
需要サイド:中国の需要とガソリン車離れ?等
・農業:工業化農業(開墾・機械化・化学肥料・農薬、多収量品種)の進展と限界
穀物より畜産物・野菜・果実、加工食品の普及と資本主義化
先進国農業の「停滞」と途上国の伸び。
5.どこまで進む債務の拡大(財政・金融政策の限界?):(資料7)
拡大続く(2018年夏まで)証券市場
債券市場と株式市場の区別
国債と企業債務、家計債務(主に住宅ローンの区別)
・途上国に多い外貨建て債務と国内債務(ユーロ圏の特殊性)
非企業(国・家計)債務増加を資本主義の衰退と見る一部論者(コスタス・境等)
先進国の量的緩和・「ゼロ」金利、
・日本の国債:どこまで増える。超低金利で続く可能性(金利負担が小さい)
どこかで「破綻」:アメリカ等で金利上昇・為替安。
金利負担増で債券価格暴落・デフォルト
日本では過去30年間以上に累積してきたもの。すぐには解消できない:
政治的に解消を望む勢力が現れる可能性は?(バラマキ派、増税反対派が政治的には強い)。増税派・徳政令派・棚上げ派?
・アメリカの出口戦略。ECBもその方向:本当にどこまで進むのか。
トランプの反対。ユーロ固有の問題(ドイツとその他)・英EU離脱
中国等の成長がもたらす問題:先進国との競争激化:トランプの「反撃」
中国の企業債務は対GDP比で2008年100%から2016年160%超へ。
不良債権の拡大も指摘されている。
トルコ・ブラジル・アルゼンチン等の通貨安:外資の引き上げも要因。
インド等の不良債権?
ベネズエラ・サウジ等の産油国財政(石油収入のバラマキで国を維持)破綻?
***世界の歴史:民族移動・移民の歴史―豊かさを求めて人類は移動:
帝国は富の支配を求めて膨張、
膨張の限界―内部対立:王族・貴族間内部、中央と地方・地域
官僚・軍隊・宗教勢力、
―対抗する勢力・国の台頭
資本の運動の限界:自ら生産できない労働力・自然(環境)との衝突
労働力は恐慌で調整(現実には移民や共同体、福祉)
「革新」の衰退
社会や国家との衝突:内乱・戦争、革命
報告要旨補論:金融資本と擬制資本
要旨の記述でIT企業資本を「現代版金融資本」と述べたが、この意味を補足する。
「金融資本」概念はヒルファディングとレーニンに由来する。両者には相違もあるが、通俗的に次のように理解する。産業や金融(銀行)の集積・集中に伴い独占体が成立するとともに、産業と銀行の癒着(結合)が生じる。このような結合体が金融資本であるが、金融(銀行)の優位が強調されることが多い。そして、独占の担い手は株式会社であり、その資本は現実資本と擬制資本の2つの運動を生み出し、銀行が「創業者利得」を獲得することも強調された(ヒルファディング)。
宇野の理解では、これらを、固定資本の強大化に対応する株式会社の段階と捉え、独占と帝国主義の段階とみなす。そして、一面では金融的支配が強調されることもあるが、宇野ではドイツを典型とし、イギリスやアメリカのタイプか異なることが指摘される(タイプ論)。戸原はドイツ典型論に固執するが、岩田・世界資本主義は資本の運動の国際的連関、あるいは景気循環の国際的連動性とそこにおける(あるいは恐慌に際しての)金の役割を重視する。
宇野経済学にあっては第一次大戦後「社会主義の時代」であり、現状分析の問題とされ、「段階論」は足踏みする。スウィージー等はその後の歴史から「癒着」を否定し、独占資本を強調する。呉天降は所有者支配、金融グループないし企業集団を重視する。これらはともかく、広い意味の宇野派(その他の派でも)の「共通」理解では、帝国主義段階は独占資本の段階だから、投資が抑制され、経済は停滞的となり、これを打破するためには植民地搾取等の帝国主義や財政金融政策による景気拡大が必要となる。この点に着目したのが大内力「国家独占資本主義論」であり、福祉などの観点(あるいは社会主義勢力を無視できない)からも財政金融政策による「景気調節」が強調され、管理通貨となって金融政策が可能になったとされる。宇野派とは接続しないが川合一郎は『金融資本と管理通貨』の中に「組織された資本主義」見出す。
馬場は宇野段階論と大内国独資論の統合を目指していたが、宇野の投機的アメリカの側面などに着目し、巨大株式会社に注目する。株式会社では資金調達が容易であり、投資を加速し、さまざまな産業を取り込むことが可能である。独占=停滞とは限らず、好況の局面が続く可能性もある。また、所有と経営の分離が合理的な会社経営を可能にする。宇野恐慌論の想定する産業資本段階のように、不況期における「縦への拡大〈資本の有機的構成の高度化〉」と好況期の横への拡大という景気循環は変容する。独占停滞説や金融・財政政策の役割を全面否定するわけでないが、大株式会社には好況期にも縦への投資を行う可能性があるし、実態もそうである。銀行との癒着は特定の時期における特定の産業では重要である。
シュンペータは資本主義の生命力として「革新」を強調したが、革新を取り込むのに株式会社は適合的である(資本の調達、買収等)。近年では、多くのIT企業を生み出したシリコンバレー企業が注目されている。エンゼル、ベンチャーキャピタル(VC)、公開(上場)の流れは、新興企業の発掘・成長を促している。VC等にとって公開はキャピタル・ゲイン獲得の場でもあり、このゲインはヒルファディングの創業者利得にあたる。高株価での資金調達は株式を保有し続ける創業者等にとって支配権の希薄化を抑制する。ストック・オプションを獲得する経営者を別にしても、高株価は買収を容易にするであろうし、また買収される企業の同意も容易にするであろう。
高株価が生まれるのは、現実資本の運動と区別される擬制資本の運動からである。ヒルファディングでは株価は配当を利子率で除した〈資本還元した〉価格とされた。その後、配当の成長やリスクプレミアムの考慮等の議論があり、現在では、株価は将来キャッシュフローの現在価値と定義され、利子率を資本コスト〈期待収益率〉とみなすのが多数である。将来や期待に基づく性格からして、変動が激しいことは避けられない。しかも、株式に限らず、将来において収入をもたらす資産(債権・土地等)一般にも擬制資本価格が適用されている。いずれにせよ、現実資本の蓄積に比べて大きくなる多額のゲインを得ることでの「蓄積」が、資本の運動の活力となる。あるいは、VCを含めて、株式投資家にとって、現実資本がかせぐ利益以上の「利益」を期待できることが投資の誘因となるのである(金利水準5%を前提にする。現実資本100が10を稼ぐとすれば、現実資本は200の擬制資本となる。投資家にとっては資本の回収が容易、ただし流通市場が前提)。
IT企業の多くは、固定資本規模が巨大とは言えず、早期に拡大し市場を「独占」するために研究開発や投資に資金を必要とする。ある程度成長すれば、市場から資金を調達するよりも、巨額の利潤でそれらを賄い、加えて自社株の購入に多額の資金を投入する。買収によるものを含めて研究開発と投資による「独占」の維持や新分野への進出に資金を投入している。また、五味が指摘するように、並列・分散・ネットワーク型企業であり、伝統的な垂直型統合(含む系列化)企業とは異なる。個々の企業の「独占」は特定の分野(特定の半導体、OSなど)に限られているようである。
(以下略)
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●主催 世界資本主義フォーラム
●日時 2018年11月10日(土) 午後1時30分~5時 (受付開始 1時)
●会場 本郷会館 東京都文京区2-21-7 電話 03-3817-6618
http://www.city.bunkyo.lg.jp/gmap/detail.php?id=10136
アクセス 地下鉄本郷三丁目から徒歩5分 (下の案内図参照)
◆東京メトロ丸ノ内線「本郷三丁目」より徒歩5分。
*丸ノ内線「本郷3丁目」駅からの行き方:「春日通り方面」出口から出て左へ。大横町通りに出たら右折し、100メートル行くと三菱UFJ銀行のATMがあります。ここを左折すると三河稲荷神社。その隣です。
◆都営大江戸線「本郷三丁目」3番出口より徒歩6分
●講師 小林襄治氏(日本証券経済研究所客員研究員)
1942年生。元専修大学経営学部教授。著作:国際銀行史研究会編『金融の世界史』(悠書館2012)(第1章イギリス)ほか金融関係多数。翻訳:スーザン・ストレンジ『カジノ資本主義』
●テーマ 金融資本主義とグローバル資本主義
*間近になったら、報告要旨をお送りします。
【講師から】
1980代:日独黒字と米赤字、新自由主義(マネタリズム)、規制緩和・民営化、途上国債務危機、NIES、「日本の時代」バブル、英ビッグバン・金融改革
1990代:ソ連崩壊・アメリカ単独覇権、市場経済化、米英の「復活」(ニューエコノミー)と日本の「衰退」、EUへむかうヨーロッパ、NIES等の躍進とアジア通貨危機、世界大銀行の変貌(トレーディング時代へ)
2000年~:ネットバブル崩壊と低金利→住宅ブーム、中国経済の成長と外貨蓄積(経常黒字)、EU拡大、トレーディング時代
2008~:リーマンショックとその後、中国経済等の台頭と世界経常収支構造の変貌、EU内部の矛盾、超低金利時代(非伝統的金融政策)、IT企業(株式市場の)の拡大、
・世界の経常収支構造の変貌とグローバルマネー
・世界株式市場の変貌:日本の時代・米の復活(ナスダック:新興企業群:IT時代)、新興国市場の台頭
・債務市場の拡大:証券化:低金利住宅ブームとその崩壊、国債市場の拡大と量的緩和
など、多様な要因をできる範囲でまとめたく思います。
支配的資本としてのIT企業、株式市場の拡大とキャピタルゲイン等の果たす役割を強調したく思っています。
●どなたも参加できます。資料代 500円
● 問合せ・連絡先 矢沢 yazawa@msg.biglobe.ne. jp 携帯090-6035-4686
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔study1001:181106〕
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