《湘北拙句抄》その6
- 2018年 11月 19日
- カルチャー
- 霧野 漠
レオナルド 裸舞女に観ず 聖マリア
マグダラの マリアに投ぜず 石礫(いしつぶて)
裸身舞い 子育て懸命 必死母
裸身舞い 嗤う正義が 観よ 自沈
自沈あと 渦も消えゆき 波静か
パレットに 適色練って 筆で塗る
いいですか 愛猫小髭 ほっそりと
何をいう 猫画は猫画 皆同じ
概念で 一色塗りの 個別画論
切れ味の 無きを知らずに 善悪論
「右倣え」軍人命ずも 列を曲げ
白と黒 間(はざま)に灰色 言うも愚かな
灰かぶり 敵陣潜入 偽装転向
密やかに 「戦時レトリック」 地雷埋め
妻よ子よ 我(われ)が汚名を 黙し誇れ
戦時嘘 「嘘」と真に受く 無邪気かな
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友を待つ 茶店に流る 「夜空」曲
利根川を 超え行く東京 友語り
来てみれば 聞くより空(むな)し 都空(みやこ・ぞら)
都にも 友を見出し 居場所つくり
愛妻を「戦友」と呼びし 友鬼籍
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同窓会 始め黙祷 友偲び
高校歌 しゃがれ老声 苦笑して
浮かび来る 若き友うれしく 「おれ、おまえ」
恩師褒めし わが自画像を 友語る
二次会で 旧友前に 「よこはまたそがれ」
日本にも 尾畠翁あり 希望あり [以上]
2018年11月18日
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔culture0729:181119〕
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