「思想史講座」のお知らせー12月のご案内
- 2018年 12月 2日
- スタディルーム
- 子安宣邦
*だれでも、いつからでも聴くことのできる思想史講座です。
だれでもというのは、聴いてみようという目的意識をもった人ならだれでもということで、その目的も無く、あるいは別の目的をもって来られる方はお断りです。
*「明治維新150年」がいわれています。「明治維新」と「日本近代」との当たり前のこの結びつきを読み直してみようと思います。この読み直しを私に促したのは津田左右吉の明治維新観です。津田は維新に国民的変革としての正当性あるいは正統性を認めませんでした。この維新観は私に「維新と日本近代」との読み直しの可能性を与えました。この大きな課題に半世紀にわたる私の思想史的作業のすべてをもって答えるつもりです。
*論語塾は「鬼神論」をテーマにして新しい講座を始めました。「鬼神」とは「祖霊」であり、「霊魂」でもあります。これを「祖霊」といば鬼神論とは祖先祭祀を基礎づける論の性格をもち、これを「霊魂」といえば人の生と死、生前と死後とを包括した宇宙論の性格をもちます。この鬼神論を考える前提として『朱子語類』を読み始めましたが、次第に後者、すなわち『朱子語類』によって朱子の宇宙論的哲学世界を読むことが論語塾の中心的課題になりつつあります。これがどこに導くか講座の成り行きに任せたいと思っています。
*私は大阪の梅田で、東京の早稲田で日本近代をめぐって今話しております。私はその際、この近代を批判的に読み直す外部として「江戸」を見てきました。「江戸」を方法的視座とすることで私は「日本近代」を読み直してきました。この作業は同時に「江戸」を忘れ去ってはならないものとして再発見させました。仁斎の『論語古義』とはそのようにして再発見されたものです。近代日本人が見出すことの出来ない孔子が仁斎によって見出されています。私は近代日本人が明治維新・文明開化とともに一生懸命に忘れ去ろうとしてきた思想世界とは何かを確かめてみたいのです。前近代の東アジアの思想世界とは朱子学的世界です。この朱子学を江戸時代の先人の跡を践みながら自前で読んで行きたいと思っています。
*会費は実費(会場費・テキスト代)を頂戴します。
*この会には何の入会規定もありません。当日出席した人が会員です。ご自由にご参加下さい。
*12月の講座
*思想史講座―「明治維新と日本近代」
*大阪教室:懐徳堂研究会:12月の会場は梅田のアプローズタワーです。
12月15日(土)・13時00分〜15時10分
我より法を為り、我より之に循う
ー中江兆民『民約訳解』を読む
*資料は当日配布します
参考文献:河野健二編『中江兆民』(日本の名著、中央公論社)、飛鳥井雅道『中江兆民』(人物叢書、吉川弘文館)、松永昌三『中江兆民評伝』上(岩波現代文庫)。
会場:アプローズタワー13階11号室、阪急梅田・茶屋町口下車3分
*東京教室:昭和思想史研究会
12月8日(土)・13時〜15時30分
我より法を為り、我より之に循う
ー中江兆民『民約訳解』を読む
*資料は当日配布します。
参考文献:河野健二編『中江兆民』(日本の名著、中央公論社)、飛鳥井雅道『中江兆民』(人物叢書、吉川弘文館)、松永昌三『中江兆民評伝』上(岩波現代文庫)。
会場:早稲田奉仕園・101教室
早稲田奉仕園はバス「馬場下」下車、穴八幡宮の裏手
*論語塾―「鬼神論」と『朱子語類』を読む
『朱子語類』と荻生徂徠『弁名』の「緒言」「道」「天命・帝・鬼神」章の講読を行います。
12月22日(土)13時〜15時30分
① 『朱子語類』を読むー巻三「鬼神」
前回より「鬼神」章に入りました。
② 荻生徂徠『弁名』「天命・帝・鬼神」
*当日終了後忘年会を予定しています。
資料(テキスト・訓読文・訳文など)は当日配布します。
参考資料:子安『徂徠学講義』岩波書店。三浦国雄『「朱子語類」抄』講談社学術文庫。
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