秋篠宮発言は、天皇の現人神祭祀「大嘗祭」を行う決意表明。
- 2018年 12月 17日
- 評論・紹介・意見
- 即位・大嘗祭違憲訴訟辻子 実
- 即位の礼・大嘗祭等違憲差止請求事件
2018年11月30日秋篠宮が誕生日の記者会見で「大嘗祭はある意味宗教色が強いものになる。国費でまかなうことが適当かどうか。私は平成の大嘗祭の時にもそうすべきではないという立場だった。今回も結局その時を踏襲することになったが、すっきりしない感じは今でも持っている。宗教行事と憲法との関係はどうかという時、やはり内廷会計で行うべきだ。大嘗祭自体は相当な費用がかかるが、絶対にすべきもの。ただ、できる範囲で身の丈に合った儀式にするのが本来の姿ではないか。」という趣旨の発言をしたことで、マスコミをにぎわしたことは記憶に新しいと思います。
秋篠宮は、発言の中で「大嘗祭はある意味宗教色が強い」と言っていますが、「祭」という名称が端的に示すように、大嘗祭は宗教色が強いどころか、国家神道祭祀・皇室神道祭祀そのものなのです。
大嘗祭は宮内庁HPによると、「天皇陛下がご即位の後、大嘗宮の悠紀殿及び主基殿において初めて新穀を皇祖及び天神地祇に供えられ、自らも召し上がり、国家・国民のためにその安寧と五穀豊穣などを感謝し、祈念される『大嘗宮の儀』を中心とした諸儀式である。」と説明されています。
神人供食儀式なのです。
民俗学者の折口信夫は、「上代葬儀の精神」(全集第20巻所収)で、「大嘗宮にお衾(ふすま)が設けられ、鏡やお召し物、靴があるのは、先帝およびご祖先の亡骸がそこにあると考えられているからである。死という観念のない昔は、新帝はお衾に入られたに違いない。いまはどうか分からないが、昔はお衾に入られて、鎮魂の歌、諸国の国ぶりの歌をお聞きになっている間に、天皇の魂がつく。廻立殿(かいりゅうでん)のお湯をお召しになると昔のことが流されて、生まれかわったと同じことになる。」という、いわゆる「真床覆衾(まどこおぶすま)」論を展開しています。
大嘗祭は、天皇が現人神になる祭儀とも言えます。
『大嘗宮の儀』には諸祭儀が伴います。
象徴的な儀式は「抜き穂の儀」と言われるものです。
大嘗宮の儀に使われる新穀栽培地は、アオウミガメの甲羅を焼いて選定されるのです。
「亀卜(きぼく)」という占いです。占いですよ。
【占い用アオウミガメの甲羅】
亀卜された田における田植え・稲刈りは、完全に神道儀式に則り行われ、しめ縄を張り巡らせた竹夜来の田で、儀式の度ごとに神職のお祓いを受け、進められるのです。
大嘗祭で使われた悠紀斎田・主基斎田跡地は、これまた聖地として後世に伝えられるのです。
跡地には、記念石碑が建立されたり公園にされたり、日本酒がつくられ、大嘗祭斎田選定を記念して「お田植祭り」などと称して、全国各地で、大嘗祭が語り継がれているのです。
秋篠宮は「主基斎田100周年記念式典」にしっかり、出席しています。
【2015年6月21日 香川県綾川町・主基斎田100周年記念式典】
前回の即位・大嘗祭違憲訴訟では、1995年の大阪高裁判決は「憲法違反の疑いは一概に否定できない。」と判決文に明記しています。
秋篠宮は記者会見で、費用が掛かりすぎると発言していますが、論点ぼかしに他なりません。なんであれ大嘗祭は、やるぞと宣言をしているのです。
多額の税金支出を伴って大嘗祭が強行されても、批判は政府に向い皇室は安泰という、天皇の退位発表と同様、天皇・皇族による世論誘導とも言える秋篠宮の記者会見発言です。
私たちは12月10日東京地裁に「即位・大嘗祭違憲訴訟」を提訴しました。
司法記者クラブの会見では、「秋篠宮発言に触発されて提訴されたのですか。」という趣旨の質問もありましたが、勘違いの甚だしい質問で、私たちは即位・大嘗祭が、国費であれ、内廷費であれ膨大な税金が使われることに異議を御申立てているのです。
被告は、即位の礼及び大嘗祭関係諸儀式のために国費を支出してはならない
原告:日本国の主権者でありまたは納税者
被告:国(諸儀式を行う主体)
❖即大訴訟に関する問い合わせ;
〒202-0022 東京都西東京市柳沢 2-11-13即位・大嘗祭違憲訴訟の会
e-mail:sokudai@mail.zhizhi.net
HP:http://sokudai.zhizhi.net
❖ 提訴は行いましたが、第2次原告の募集も計画中です。原告になっていただける方は、訴訟費用として、年間会費として 3,000 円(1 口)をご入金下さい。(支援会員も会費同額で募集しています)
*郵便振替口座 00120-3-293255 即位・大嘗祭違憲訴訟の会
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〔opinion8233:181217〕
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