愛猫とらが分離不安? 芦屋へ帰郷の由里はどうする?
- 2019年 2月 28日
- 交流の広場
- 熊王信之
「とら」と由里の三百字小説を本年始めからお休みにしていました。 書こうと思いながら雑用に紛れてしまい既に二月も末になってしまいました。 これでは、「空に昇ったとら」に叱られるので多量にある思い出から選んで三百字に取り纏めてみたい、と猫に関わる書物を参考に考えていまして、「分離不安」の話題が脳裏に浮かびました。
分離不安とは、単純に言いますと、幼児期における母親の後追い、と思われる一歳から三歳程度の幼児が一時的に陥ることがある心理的現象なのですが、実は、犬や猫と飼い主との間にも見られることがあるのです。
我が家では、現在四歳のキジトラの末の男の仔がその傾向が少し見られ、今もPCで原稿を書いています私の眼の前に座って居ます。 一日中この調子なので、たまにイライラが高じて叱るのですが、離れません。 仕方が無いので食事の準備等の時には、台所等の部屋を閉め切っています。 閉め切った部屋の外で悲しそうに啼く猫は、人間で言えばもう中年なのに。
この仔は、「びーばー」と言う名でして、五年前に「とら」を獣医院へ連れて行く途中で拾った二頭のキジトラの内の一頭なのです。 もう一頭は「らっしー」と名付けましたが縁あって養仔に出しました。
「びーばー」は弱々しくて育つのか、と心配しましたが、どうにか成猫になりました。 でも、「とら」とは違い、子供じみた猫のままです。
愛猫「とら」は、小さい頃には私と一緒に寝ていましたが、成猫になると独立心が強くなり、私が用意した別部屋の猫用ベッドで寝ていました。 そして毎朝、二階の和室で寝る私を起こしてくれました。
従って、今回の三百字小説でのモデル猫は、「とら」ではありません。 「とら」は、そのような幼児的心理とは無縁でしたから。
以下、「愛猫とらが分離不安? 芦屋へ帰郷の由里はどうする?」と題した三百字小説です。
「パパ、ママ、只今~!」
「おお~、由里~! お帰り。 遅いので心配していたよ。」
「とらのためにサービスエリアで何度も休憩したので時間がかかったの。」
「この仔がとらなの? 可愛いじゃない。 籠から出しても逃げないの?」
「ママ、この仔、私が居ると離れないの。 獣医さんは、『分離不安かも』って言うの。」
「由里の御注文どおりに、空き部屋に猫タワーを二台作り、猫トイレを置いてあるよ。 床には、マットを敷いてあるしね。 細かいご注文だったけれど、この仔を見て、パパは納得だな~。 あ~、由里の部屋はそのままだよ。」
「パパ、ママ、あたしも空き部屋で寝るわ。」
「え~?」
「実は~、あたしもとらと離れるのが嫌なの。」
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