戦後は終わっていないー民間の被害者への謝罪とその救済と実態調査について
- 2019年 3月 24日
- 交流の広場
- 箒川兵庫助
澤藤統一郎弁護士の『衆議院沖縄3区補選 革新側候補統一に ー 瑞慶山茂君の出馬撤回を評価する(2019年 3月 22日)を本ちきゅう座で拝読した。
与党に利するような野党候補の立候補はあり得ないだろうと思っていたが,実際そういうことが起こった。しかし瑞慶山茂氏は出馬を撤回し,「屋良朝博の必勝に向けて支援する決意をした」という。苦渋の決断であったに違いない。
ところで小生が注目したのは,戦後補償の問題である。日本政府は民間人に対して戦後補償をしてこなかった(アメリカ政府は国際法に違反して広島・長崎の民間人を殺し、大阪、東京空襲をおこなったので戦後補償の必要がある)。迂闊ながら,沖縄県民に対する戦後補償問題を扱われている端慶山茂弁護士のご活動を知らなかった。
すなわち澤藤弁護士紹介の,旧軍人・軍属への補償という言葉を聞いて別の補償問題を思い出した。それは広島県の小島大久野島での毒ガス製造従事者の件である。
ある紹介に曰く,「毒ガス兵器という国際的に禁止された兵器をつくっていたので、戦争中はこの島は地図からも消されていました(出典;大久野島と毒ガス)。」この問題をとり上げたのは水俣病患者を撮っていた写真家A氏である。お名前を失念して申し訳ないが反原発の学者小出裕章氏との共同講演で,A氏は瀬戸内海にある大久野島で毒ガスが造られていたが,その製造従事者たちが目を失ったり肺を冒されたりしていたことを指摘された。そして戦後補償が旧軍人・軍属に厚く(毎月10万円以上),毒ガス製造民間従事者へはゼロであることを教えてくださった。
写真家A氏は地図から消された大久野島を「ちゅう島」と仰っていたが,島忠の「ちゅう」なのかもしれない。能力が低下し正確でないので申し訳ないが,鬼籍に入る前に「戦後処理は終わっていない」ことを痛感せざるを得ない。沖縄県民や大久野島住民に対しても戦後補償はなされるべきであると考える。その意味で,瑞慶山茂氏の英断に敬意を表したい。
追記:瑞慶山氏の,以下の提言は沖縄だけでなく,また戦後に限らず,将来も亦必要とされるものだろう;
1、国に対し、先の大戦における空襲や地上戦などの民間の被害者への謝罪とその救済および被害実態の徹底した調査を求めていく。
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