6月15日「一帯一路構想とアジア経済」(平川均)・世界資本主義フォーラムのご案内
- 2019年 5月 23日
- スタディルーム
- 世界資本主義フォーラム平川 均矢沢国光
- 主催 世界資本主義フォーラム
- 日時 2019年6月15日(土) 午後1時30分~5時 (受付開始 1時)
- 会場 本郷会館 東京都文京区2-21-7 電話 03-3817-6618
- 講師 平川均(名古屋大学名誉教授)
- テーマ 一帯一路とアジア経済
- 参考文献
- どなたも参加できます。資料代 500円
- 問合せ・連絡先 矢沢 yazawa@msg.biglobe.ne. jp 携帯090-6035-4686
http://www.city.bunkyo.lg.jp/gmap/detail.php?id=10136
アクセス 地下鉄本郷三丁目から徒歩5分 (下の案内図参照)
◆東京メトロ丸ノ内線「本郷三丁目」より徒歩5分。
*丸ノ内線「本郷3丁目」駅からの行き方:「春日通り方面」出口から出て左へ。大横町通りに出たら右折し、100メートル行くと三菱UFJ銀行のATMがあります。ここを左折すると三河稲荷神社。その隣です。
◆都営大江戸線「本郷三丁目」3番出口より徒歩6分
世界経済の構造転換は,アジアの国際政治経済におけるフロンティアを「アジア太平洋」から「インド太平洋」に大きく移しつつある。大国中国の出現が,世界とアジアの安全保障と経済における競合の場をアジア太平洋からインド太平洋に変えつつある。
1960年代のドル危機に始まるアメリカ経済の競争力の喪失と企業の多国籍化を経済のグローバル化の第一波とすれば,1990年代の情報技術(IT)の発達による経済のグローバル化は第2波といえよう。こうして生まれた国際分業を自らの成長力と結びつけたのが東アジアの新興経済であった。まず,韓国や台湾,シンガポールなどの東アジアNIESが外資を導入して輸出主導型の成長を実現し,ASEAN諸国や中国がそれに続いた。今世紀に入ると,成長はBRICs(ブラジル,ロシア,インド,中国)へと広がる。この新興経済の成長は今日,デフレ現象の打開策とされる「量的緩和」で金余りを生み,また資産格差の拡大をもたらしている先進経済とは好対照をなす。トランプ大統領誕生で分断の深まるアメリカ,Brexitで揺れるヨーロッパなど不透明感を増す先進経済とは対照的である。様々な課題が指摘されるものの新興経済は世界経済を牽引する経済群を形成し,その先頭に中国がいる。
その中国で2013年,政権の座についた習近平国家主席が打ち出したのが,陸と海のシルクロードからなる「一帯一路」(OBOR)構想である。
人口大国のBRICsが注目されるようになり,アジアに市場が生まれ,アジアはイノベーションの温床となった。BRICsを言い換えれば,人口規模が生み出す巨大な潜在的市場経済である。著者の表現では,潜在的大市場経済(Potentially Bigger Market Economies: PoBMEs)である。そこに資本,企業が引き寄せられる。
中国は今や世界第2位の規模を誇る経済へと成長し,その市場と潜在力の上に独自の経済圏形成の可能性を高めている。一帯一路構想が新たな市場の創出策として打ち出されているのである。
ところで,中国のインド洋への海洋進出は,地域大国インドに脅威を与えるだけではない。世界秩序の再編に関わる内容を含む。第2次大戦後にアメリカが主導して創り上げてきた自由主義市場経済といわば国家主義的な社会主義市場経済との対抗の場にインド洋が組み込まれたのである。
このイデオロギー的対抗関係に最も敏感に反応したのは,日本の安倍晋三首相であろう。…安倍・トランプの日米首脳会談で「インド太平洋戦略」は日米合同の外交戦略となった。…アメリカ,オーストラリア,インド,日本の4カ国の間で共同の地域インフラ計画が話し合われた(Router, Feb.19, 2018)。一帯一路構想とインド太平洋戦略が対抗関係となる構図が生まれつつある。
だが,防衛関係の強化を伴う「自由で開かれたインド太平洋戦略」は,中国が「冷戦思考の反映」だとして批判するように(『人民網』日本語版,2018.2.22-23),冷戦構造的発想の色彩を色濃く帯びている。求められる方向は,中国を含んでインド太平洋地域の関係諸国がそうした発想と対応を超えて,世界の繁栄と平和の枠組み,秩序の構築に努力することであろう。
国際政治経済のフロンティアは今や,アジア太平洋からインド太平洋,そしてユーラシアへ移動しつつある。中国の成長が生み出す構造転換のフロンティアは,中国受容のアジア太平洋から対抗のインド太平洋へ移行しているのである。日本,アメリカ,そして中国はもちろん関係国が冷戦思考を乗り越えて,経済のフロンティアで平和的な開発競争にしのぎを削るならば,その先にアフロ・ユーラシアの時代が訪れる可能性が生れている。[参考文献(1)より抜粋]
(1)平川均、アジア太平洋からインド太平洋へ:中国の「一帯一路」が変える構造転換の構図
http://www.world-economic-review.jp/impact/article1048.html
(2)平川均、「インド太平洋」は新しい経済のフロンティア
http://www.world-economic-review.jp/impact/article1130.html
(3)平川均、デジタル時代に新たな飛躍を目指すインド
http://www.world-economic-review.jp/impact/article1291.html
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2019年7月以降の世界資本主義フォーラムの予定
7月27日(土) 五味久壽(立正大学名誉教授) 中国経済のゆくえ
岩田昌征[東欧体制の崩壊・市場経済化]
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