中国擁護論 その15 覇権国家は強奪の歴史!?
- 2019年 6月 4日
- 交流の広場
- 箒川兵庫助
2049年まで生きられるかどうか分からないが,中国が今後どう発展するのか見定めたいと思っている。と同時に日本の若い人に中国に対する偏見から抜け出して頂きたいと考えて,中国擁護論 ~その14を書き,幸運にも本サイトちきゅう座に掲載して頂いた。
なぜ中国を擁護するのか。アヘン戦争以来多くの人命を失いながらも経済大国世界第二位なったからでもない。日中戦争以来独立するまで2、700万人の生命が失われたからでもない。それは偶然にも小生が加藤周一を知ったからである。彼を読んで多くの知識を学び,世界に目を広げることができるようになった。しかし1950年代から中国が米国によって敵視しされたばかりでなく,中国共産党が中国を代表する唯一の政府として日本(諸外国も同じ)が認めないことを加藤はしきりに嘆いていたからでもある(『日本の内と外』,文芸春秋)。
米国が中国共産党を認めないのは分かる。認めたニクソンは大統領弾劾に掛けられた。しかし台湾の国民党政府が「アジアの覇権を担ってきた中華帝国の後継」となったとした場合,伊藤氏は国民党政府をして同じようなことを言うのであろうか(伊藤力司氏『米中貿易摩擦で世界の景気不安 - 底流に米中の覇権争い (続)』 -本ちきゅう座)。中国の基本的人権とは「国民みんなが豊かになること」であるそうだ。
これに加えて中国が「覇権を求めない」のには歴史的理由がある。初めて遠洋航海により植民地を獲得したのはオランダ,スペイン、ポルトガルである。王道ではなく,覇権主義によって世界各地に植民地を作った。次いで英国。フランス。米国、ドイツ、イタリア、そして日本。みな覇権国家である。しかし周知のように中国が日本を侵略したことはない。モンゴル帝国とその手先が日本に上陸したことがあったが台風のご加護により退散させられた。逆に中国を侵略したのは日本帝国である。われわれは覇権国家日本帝国の後継である。中国侵略に直接の責任はないが,戦後の中国に対する責任はある。それも中国擁護論を書く理由でもある。そうして後継の若い人にも戦後責任があることを伝えたいのである。
話を戻すと、中国が覇権主義にならない理由はオランダに始まる覇権主義国家が米国・日本に至るまでみな衰退の道を歩んで来たからだそうだ。つまり衰退したくないから覇権国家になりたくないというのである。言い得て妙。しかしこれこそ「中華民族の偉大な復興」なのではなかろうか。
ところで中国の「中国製造2025」を論じる方は多いが,好意的に論じているのは新藤榮一筑波大名誉教授である(鳩山由紀夫元総理との対談)。他方,これに恐れを感じたのが米国である。5Gの孟晩舟氏を逮捕し,高関税を吹っ掛け,「ファウェイがスパイとなり米国の高度な情報技術を盗もうとしている」と有らぬ疑いを吹っ掛けている。ロシア・ゲイトと同じく例によって証拠なし。トランプ陣営をスパイしていたのはロシアではなくて,CIA/FBIである。当時の幹部高官が現在,裁判に掛けられている。
強欲資本主義という言葉があるらしいが,英国の銀行はべネスエラが預けていた金塊を返さない。米国の銀行は石油代金を支払わない。イランの資産を凍結したまま。まさに覇権国家がなせる業であろう。
ところで米国が中国の知的財産を奪った例として,マレーシアのMH370機行方不明事件がある。ドローンだった可能性があるが,搭乗者約300名の中に70人前後のコンピュ-タ関連の中国人技術者があった。米国の会社はそのうちの数名と特許権を共有していたが,彼らが失踪したので特許権全てが自動的にその会社に移ったと言われている。死人に口なし。習近平主席がなぜ黙っているのか分からない。確たる証拠がないのであろうか。しかし米国の偵察衛星NROL‐36(蛸)は見ていたはずである。他方で,中国の偵察衛星は稼働していなかったのであろうか。
トランプ大統領は28日本日、「イランの政権転覆」は考えてと言ったが,覇権主義を捨てきれないのは中国ではなくて,米国であろう。
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