カルチャーの執筆一覧

二十世紀世界文学の名作に触れる(53) ロマン・ロランの『ジャン・クリストフ』――音楽への愛が綴る「青春の書」

著者: 横田 喬

 西欧では比較文化論的な立場から、よく「ドイツ人は耳が利き」、「フランス人は目が利く」と言う。ドイツは楽聖バッハやベートーヴェンを、フランスは画聖セザンヌやルノアールを生んでいるからだ。が、1915年にノーベル文学賞を受

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二十世紀世界文学の名作に触れる(52) 『チボー家の人々』のロジェ・マルタン・デュ・ガール

著者: 横田 喬

――大河小説完成に心魂を傾けて二十年  デュ・ガールは邦訳(白水Uブックス版)で全13冊に及ぶ大河小説を完成させるのに、1914~34年の実に二十年もの歳月を費やしている。一番のクライマックス、第一次世界大戦の際は、自動

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二十世紀世界文学の名作に触れる(51) ロジェ・マルタン・デュ・ガールの『チボー家の人々』(下)

著者: 横田 喬

――人間の様々な葛藤を描く大河小説  時節は1914年夏、ジャックはローザンヌからジュネーヴへ移った。新聞や雑誌方面で得る金で生計を立て、各国の社会主義者たちが集まる『本部』に足繫く出入りしている。『本部』の中心的リーダ

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二十世紀世界文学の名作に触れる(50) ロジェ・マルタン・デュ・ガールの『チボー家の人々』(上)

著者: 横田 喬

――人間の様々な葛藤を描く大河小説  フランスの作家ロジェ・マルタン・デュ・ガール(1881~1958)は1937年、著作『チボー家の人々「1914年夏」』(白水Uブックス版で八~十一部)によりノーベル文学賞を受けた。授

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二十世紀世界文学の名作に触れる(49) 『狭き門』のジッド――美しいもの、弱いものへの共感

著者: 横田 喬

 フランスの作家アンドレ・ジッドは、旧ソ連邦とローマ教皇庁から等しく忌避された珍しい文学者だ。その代表作『狭き門』の題名は、新約聖書(マタイ伝)にある「力を尽くして、狭き門より入れ。滅びに至る門は大きく、その路は広く、之

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二十世紀世界文学の名作に触れる(48) ジッドの『狭き門』――大胆不敵な愛と心理洞察

著者: 横田 喬

 フランスの作家アンドレ・ジッド(1869~1951)は1947年、ノーベル文学賞を受けた。授賞理由は「人間の問題や状況を、真の大胆不敵な愛と鋭い心理洞察力で表現した、包括的で芸術的に重要な著作に対して」。その代表的な著

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二十世紀文学の名作に触れる(47) 『百年の孤独』のガルシア・マルケス――欧米では「魔術的リアリズム」と激賞

著者: 横田 喬

 南米コロンビアのノーベル文学賞作家ガルシア・マルケスの代表作『百年の孤独』は、欧米の文壇で「魔術的リアリズム」と激賞され、驚異的なヒット作となった。日本でも大江健三郎や中上健次らの現代作家たちに少なからぬ影響を与え、話

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二十世紀文学の名作に触れる(46) ガルシア・マルケスの『百年の孤独』――奇矯な叙述に彩られた世にも不思議な物語

著者: 横田 喬

 1982年にノーベル文学賞を受けた南米コロンビアの作家ガルシア・マルケス(1928~2014)の代表作『百年の孤独』は欧米の評論家が「マジック・リアリズム」と激賞したベストセラー小説だ。人の怨霊が祟ったり、死者が再生~

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書評 『日本近代文学の潜流』(大和田茂・著 論創社・刊)

著者: 阿部浪子

大和田茂の長年にわたる研究成果が本書である。大杉栄も小林多喜二も登場するが、本命はやはり、埋もれているプロレタリア作家たちへの検証であろう。 大正期から昭和初期にかけて活躍した、平澤計七、新井紀一、中西伊之助、宮地嘉六、

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二十世紀文学の名作に触れる(45) 『サンクチュアリ』のフォークナー ―― アメリカ文学を世界の檜舞台に引き上げた功労者

著者: 横田 喬

 1949年にノーベル文学賞を受けたウィリアム・フォークナー(1897~1962)は、ほぼ同世代のヘミングウェイと並び称される二十世紀アメリカ文学の巨匠だ。ヘミングウェイが海外で精力的に活動~戦争や冒険などを執筆テーマに

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二十世紀文学の名作に触れる(44) フォークナーの『サンクチュアリ』――世にも恐ろしい暗黒の物語

著者: 横田 喬

 米国南部ミシシッピ州生まれの作家フォークナー(1897~1962)は1950年、ノーベル文学賞を受けた。表題の作品『サンクチュアリ』は31年に著された小説で、それまで無名だった彼の名を一躍有名にした出世作でもある。サン

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二十世紀世界文学の名作に触れる(43) 『神々は渇く』のアナトール・フランス――精細な史料調査に腐心

著者: 横田 喬

 「悪は必要だ。もし悪が存在しなければ、善もまた存在しないことになるから」。アナトール・フランスの箴言は、この作家が冷めた人間通だったことを証す。私は彼の代表作『神々は渇く』を精読。その精緻な筆致に感嘆し、作家というより

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二十世紀世界文学の名作に触れる(42) アナトール・フランスの『神々は渇く』――フランス革命の真実を探求

著者: 横田 喬

 フランスの作家アナトール・フランス(1844~1924)は1921年、ノーベル文学賞を受けた。授賞理由は「格調高い様式、人類への深い共感、優美さ、真なるガリア人気質からなる作風による、文学上の輝かしい功績が認められた」

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二十世紀世界文学の名作に触れる(41) 『詩集』のパブロ・ネルーダ ――抑圧された人民を勇気づける熱血詩人

著者: 横田 喬

 ネルーダは詩人にして外交官、かつ後半生では政治家に転じ、上院議員として大統領候補(共産党)にまでなった。波乱万丈の人生で、指名手配~地下生活を送ったこともある。が、本業はあくまで詩作。伝統詩、ヘルメス主義(神秘主義的な

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二十世紀世界文学の名作に触れる(40) パブロ・ネルーダの『詩集』――20世紀最大のスケールと豊穣さ

著者: 横田 喬

 南米チリが生んだ詩人パブロ・ネルーダ(1904~73)は71年、ノーベル文学賞を受けた。  授賞理由は「一国の大陸の運命と、多くの人々の夢に生気を与える源となった、力強い作品に対して」。「20世紀最大のスケールと豊穣さ

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『菊池和子 写真絵本原画展「私はあいちゃんのランドセル」』2022/10/7(金)〜30日(日)金土日・12:00-17:00 観覧無料

著者: 高尾裕子

ーーイベント情報テキストーー 『菊池和子 写真絵本原画展「私はあいちゃんのランドセル」』2022/10/7(金)〜30日(日)金土日・12:00-17:00 観覧無料 ●菊池和子写真絵本原画展「私はあいちゃんのランドセル

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ささや句会   第83回   2022年 8月20日 土曜日 

著者: 公子

日雷しづかに人の死を怒る                   丑山霞外 片足は宙に浮いたる茄子の牛                  新海泰子 松葉ボタン庭を彩るチアリーダー                新海あすか 水

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