カルチャーの執筆一覧

私が出会った忘れ得ぬ人々(28) 森敦さん――やっこでも往生すれば立派に仏になる

著者: 横田 喬

 お目にかかったのは一度きり。今から三十八年前のことで、森さんが七十歳の時だ。文字通り一期一会のご縁だが、温かみのあるお人柄と味わい深いお話ぶりは忘れられない。生前にお会いできて本当に良かったなあ、と懐かしく思い起こす人

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私が出会った忘れ得ぬ人々(27) 山田みどりさん――ロシアより愛をこめて

著者: 横田 喬

 三十年余にわたり、ロシアなど旧ソ連圏の国々との草の根の親善交流に尽くしている。特技は生け花・茶道・墨絵・造園。華奢な体で楚々とした物腰。八十路を迎え、なお色香が漂う。めったにいないフシギな女性だ。  五十四歳でロシアへ

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私が出会った忘れ得ぬ人々(24) 下保昭さん――冒険あるのみですよ

著者: 横田 喬

 一昨年に肺癌のため九十一歳で亡くなり、この八月七日が三回忌に当たる。水墨を主とする日本画家だが、言行一致の稀に見る潔い人だった。「画壇の腐敗」を糾弾して日展を飛び出し、独立。ヘリコプターを駆使して普賢岳噴火口の危険なス

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私が出会った忘れ得ぬ人々(23) 草野心平さん――みんなが庶民が僕の理想

著者: 横田 喬

 「蛙の詩人」こと草野心平さんは、真に楽しく愉快な人だった。御齢ちょうど八十歳になる三十五年前、東京・東村山市のご自宅を訪問。その絶妙な話術に、腹を抱えて爆笑した。氏が二十代後半の昭和六(一九三一)年のこと、赤貧洗うがご

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私が出会った忘れ得ぬ人々(22) 荻村伊智朗さん――国際平和に少しでも尽くせれば光栄

著者: 横田 喬

 新型コロナ禍でくさくさしている。気分転換に、スポーツを話題にスカッとしたい。荻村伊智朗さんは現役当時は卓球の世界チャンピオンに度々輝き、先の大戦敗戦で打ち沈む日本社会に光明をもたらした人だ。引退後はスポーツの指導者とし

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私が会った忘れ得ぬ人々(21) 長嶺ヤス子さん――私には神がかりな何かがあるの

著者: 横田 喬

 世の中には、なんとも不可思議な人がいるものだ。会津地方の山中で長年百匹以上ものネコを飼い続け、前衛舞踊の公演は都内で年に二度ばかり。八十代半ばの今なお現役というのも凄いが、暮らしは一体どう立てているのか、首をひねりたく

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