スタディルームの執筆一覧

海峡両岸論 第149号 2023.4.16発行 - 中国は台湾民衆への「和平攻勢」継続 対米改善の幻想捨て外交攻勢も -

著者: 岡田 充

 台湾の蔡英文総統が4月5日中米からの帰途、米ロサンゼルスでマッカーシー下院議長(共和)ら米連邦議会の超党派議員と会談した。(写真 会談後記者会見する蔡とマッカーシー)下院議長は米大統領継承第2位で、台湾総統が米台断交後

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ヘーゲル「精神現象学」序論を読む(2)

著者: 野上俊明

<対象化の論理>をめぐるヘーゲルとマルクス  かつて60年代から70年代初めにかけて、ヘーゲルとマルクスの継承関係について、構造主義の流行を背景としつつ、疎外論か物象化論かをめぐり、特に主体概念をどう捉えるのかを中心に様

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プーチン忖度路線と瀬戸際外交の代価 -ハンガリー政府はどこへ向かうのか

著者: 盛田常夫

なぜオルバン首相はキーウを訪問しないのか  ここ1か月ほど、ウクライナのゼレンスキー大統領がハンガリーのオルバン首相をキーウに招待していると報道されている。これにたいして、ハンガリー政府は、「ウクライナ国内のハンガリー人

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ヘーゲル「精神現象学」序論を読む(1)

著者: 野上俊明

 以下の文章は、自主サークル「ヘーゲル研究会」の三月例会で報告者(筆者)が提出したレジュメに若干手を入れたものである。テキストに中央公論社版「世界の名著」シリーズ「ヘーゲル・序論」を用いて、若きマルクスが「ヘーゲル哲学の

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海峡両岸論 第148号 2023.3.18発行 - 「国共合作」で政権交代狙う中国 習近平が台湾民衆に平和攻勢 -

著者: 岡田 充

習近平中国国家主席が2023年初めから、台湾民衆に向けて「両岸は親しい家族」など温和なメッセージを発信し「平和攻勢」を展開している。2月には国民党訪中団を中央と地方リーダーに会談させて厚遇。台湾次期総統選(2024年1月

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なぜ20世紀の社会主義社会で市民社会の倫理規範や人権意識が育まれなかったのか(下)

著者: 盛田常夫

プリミティヴでマニュアルな配給システム  ソ連が崩壊するまで、モスクワ国際空港(シェレメチェヴォ空港)の乗換え客の扱いはひどかった。これがソ連の計画経済の実態かと思わされるようなプリミティヴな配分・配給システムで運営され

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なぜ20世紀の社会主義社会で市民社会的倫理規範や人権意識が育まれなかったのか(上)

著者: 盛田常夫

社会主義時代の遺物  ロシアのウクライナ侵攻が長引く中、ロシア軍の装備や指揮系統の不備や欠陥があからさまになり、他方で制圧した市民への残虐行為や略奪行為が次々と伝えられる。装備や兵器のレベルの低さや、装備の欠陥や量不足は

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海峡両岸論 第147号 2023.2.12発行 - 人口減少でも続く「中国の時代」 途上国台頭で半世紀後は多極化 -

著者: 岡田 充

14憶人と世界最多の人口を抱える中国で人口減少が始まり、「中国台頭」時代はピークを越えた。少子高齢化が経済低迷につながるのは日本をみても明らかだが、米金融大手は中国が2035年には国内総生産(GDP)で米国を抜き世界1位

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異論なマルクス ハロッド中立的技術進歩?

著者: ブルマン!だよね

過日とある研究会で参加者のかたから、おおむね以下のような提起がされた。 相対的剰余価値の生産は、生産力=技術進歩によるのだが、マクロ経済学では、技術進歩に資本財と労働双方に進歩を見るヒックス中立的、資本財のミニ進歩を見る

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ハンガリーの対ロシア政策 ― 国民は本当に支持しているのだろうか

著者: 盛田常夫

 欧州首脳の中で、唯一、オルバン首相だけがプーチン大統領の新年の祝電を受け取った。  ハンガリーのトランプと称されるオルバン首相。オルバン首相自身、権威主義的な政治家を好んでいる。プーチン大統領に媚びを売り、トランプ大統

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海峡両岸論 第146号 2023.1.8発行 - 「台湾有事」はどのように作られたか 日本衰退を加速する岸田軍拡路線 -

著者: 岡田 充

岸田文雄政権は2022年12月16日、専守防衛を空洞化する敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有をはじめ、防衛予算を5年で国内総生産(GNP)比2%に倍増し、日米統合抑止力(軍事一体化)の強化を柱にする「国家安全保障戦略」(N

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海峡両岸論 第145号 2022.12.15発行 - 「嫌中世論」に頼る対中外交の危うさ Z世代の中国好感度と世代格差 -

著者: 岡田 充

 岸田文雄首相が2020年11月17日、バンコクで習近平中国国家主席と3年ぶりの日中首脳会談(写真 中国外交部HP)を行い、悪化する関係の仕切り直しをした。岸田の対中外交には、関係改善に否定的な「嫌中世論」と自民党右派の

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民主主義・市場制度・グローバリゼーションについての考察メモ ――M・ウェーバーの「ロシア革命論」を手がかりに

著者: 野上俊明

 それほど昔のことではない、2008年のリーマンショックのころまでは、新興国中国を先頭に発展途上国における経済開発が成功し、年間可処分所得が100万円から300万円ほどになる中間層が人口の過半を超えて厚く形成されれば、そ

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大国の論理が生み出した核戦争の危機 ウクライナ侵攻の長期化を前に「キューバ危機」を振り返る

著者: 後藤政子

 ウクライナ戦争の長期化とともに核戦争の勃発が懸念されている。今年は「キューバ危機」60周年に当たる。「危機」はどのようにして生まれ、終結したのか。その後には何が残されたのか。ウクライナ問題を念頭にキューバ危機について振

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海峡両岸論 第144号 2022.11.07発行 - 民意は台湾統一防ぐ万能薬か 「法統」から独立封じる中国 -

著者: 岡田 充

 中国共産党の第20回党大会(10月16~22日)は、習近平総書記の3期目続投を決め「習一強体制」を強化した。台湾問題で習は、統一攻勢を強める姿勢を打ち出した。しかし党規約改定では、統一を急ぐ記述や武力行使の表現はなく中

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海峡両岸論 第143号 2022.10.11発行 - 「台湾は中国内政」と認めた大平外相 日中共同声明からみる台湾の現状 -

著者: 岡田 充

 バイデン大統領が9月18日、米TV番組(写真CBS 60 Minutesから)テレビで「台湾独立」を容認する発言をした。米上院外交委員会が可決した台湾を国家扱いする「台湾政策法案」に続く、中国への挑発だ。日中国交正常化

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オットー・クレンペラー : 「芸術と政治」問題に立ちあった人 (1)               

著者: 野沢敏治

                   はじめに クレンペラーとの出会い  オットー・クレンペラー、この人はヨーロッパ音楽の指揮者です。彼はカラヤンやバーンスタインのようなスターではなかったけれど、フルトヴェングラーやトス

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海峡両岸論 第142号 2022.09.15発行 - 台湾を同盟国化し外交特権を付与 「日米台同盟」狙う台湾政策法案 -

著者: 岡田 充

 米国の対中挑発は続く。ペロシ下院議長の台湾訪問に続いて、超党派上院議員が台湾を同盟国にして攻撃用兵器を供与、在米機関の名称を「台湾代表処」に変え外交特権を付与する「2022年台湾政策法案」注1を米上院に提出した。法案が

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マルクスの〈強められた労働〉と新古典派マクロ経済学の〈効率労働〉

著者: 岩田昌征

 矢沢国光主催「世界資本主義フォーラム」ズーム研究会(7月23日・土)の伊藤誠教授講義「新自由主義と新古典派経済学」にて私=岩田が行った舌足らずの質問の趣旨をここで再現したい。  マクロ経済学がマクロ生産関数を論ずる時、

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海峡両岸論 第141号 2022.08.13発行 - 「一つの中国」、米日との対立が先鋭化 ペロシ訪台と「第4次海峡危機」 -

著者: 岡田 充

 中国はナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問(8月2~3日)=写真 総統府HP=の報復措置として、8月4日から7日まで台湾を包囲する6カ所の演習区域で、ミサイル発射を含む「重要軍事演習行動」を行った注1 。演習には中国空

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海峡両岸論 第140号 2022.07.12発行 - 「脅威にならない」の日中合意を 安倍対中外交の意外な「突破力」 -

著者: 岡田 充

 安倍晋三元首相が7月8日銃撃され死去した。(写真 死去を報じる新聞号外)首相退任後は「台湾有事は日本有事」など「親台湾」の本音を公言してきたが、首相在任中には二度にわたり日中関係を改善へ導き、意外な「突破力」を発揮した

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