島薗進の執筆一覧

「放射線の健康への影響と防護分科会」は医療・学術倫理にそう行動をとったか?

著者: 島薗進

日本学術会議は東日本大震災後、放射線健康影響問題について早い段階で「放射線の健康への影響と防護分科会」を立ち上げた。この分科会の「設置目的」は次のように記されている。 平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震及

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テキスト・クリティークによって突き崩された欺瞞的「放射線『安全』論」

著者: 合澤清

島薗進著『つくられた放射線「安全」論』(河出書房新社2013)2800円+税 1.著者のスタンス 著者は「あとがき」で書いているように、もともとは東京大学の医学系(理科Ⅲ類)に入学している。「(母方、父方の)二人の祖父も

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原発の倫理性について ―脱原発と社会・文化・歴史研究―

著者: 島薗 進

*これは5月25日に行われる現代史研究会(テーマ:「原発問題を考える―「原子力平和利用」と科学者の責任」)用のレジュメです。この島薗さんのレジュメの他に加藤哲郎さんのレジュメもありますので、順次掲載したいと思います。(編

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3.9現代史研究会(出口王仁三郎と悪 ――「弱肉強食」の時代と初期大本教――)レジュメと案内

著者: 島薗 進

第272回現代史研究会 日時:3月9日(土)5:00~9:00(時間がいつもと違いますのでご注意ください) 場所:明治大学駿河台・リバティタワー1114号(11階) テーマ:危機の時代に見る宗教―大本教問題、国家神道(仮

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放射線のリスク・コミュニケーションと合意形成はなぜうまくいかないのか?(8) ――山下俊一氏はリスコミをどう理解してきたのか?

著者: 島薗 進

長瀧氏の指導の下、その「手足となって」働いた(下記資料 での本人の弁)山下俊一氏は、とにかく住民を「安心させる」ことを至上命題としてチェルノブイリでの検査・調査にあたった。「すぐに感謝されたのはセシウ ム137をホールボ

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放射線のリスク・コミュニケーションと合意形成はなぜうまくいかないのか?(7) ――「不安をなくす」ために調べない知らせないという「医療倫理」?

著者: 島薗 進

だが、重松委員長によるIAEAレポート(1991年)が出たこの時まで、長瀧氏はチェルノブイリでどれほどの診療経験、調査経験があったのだろうか。最初にチェルノブイリに赴いてから、どれほどの時間も経っていない。その間に現地に

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放射線のリスク・コミュニケーションと合意形成はなぜうまくいかないのか?(6) ――「不安をなくす」ことこそ長崎の医学者の任務という信念

著者: 島薗 進

福島原発災害の放射線健康影響対策では長崎大で師弟関係にあった長瀧重信氏と山下俊一氏が多大な権限を得て対応してきている。政府と福島県が対策を取るに際して、それぞれ長瀧氏と山下氏が中心的な助言者となり、責任者にすえられてきた

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放射線のリスク・コミュニケーションと合意形成はなぜうまくいかないのか?(5) ――「安心」こそ課題という立場が排除するもの

著者: 島薗 進

福島原発事故以前に放射線の健康影響をめぐるリスクコミュニケーション(「リスコミ」と略す)の考え方は危ういものになっていた。多くの市民(日本人)がリスク評価の能力が劣っていると考える専門家が多いことはすでに述べた(2)。こ

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放射線のリスク・コミュニケーションと合意形成はなぜうまくいかないのか?(4) ――安全・安心をめぐる混迷

著者: 島薗 進

放射線健康影響のリスクについて、その方面の専門家が市民の「不安をなくし」「安心させる」企てに意図的に取り組んできたさまを見てきた。市民がリスクを適切に認識することができず、「安全なのに安心できない」ので、さまざまな手段を

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放射線のリスク・コミュニケーションと合意形成はなぜうまくいかないのか?(3) ――「安全・安心」という言説

著者: 島薗 進

放射性物質が福島県を初めとして東日本の広い範囲に飛散し、多くの住民が放射能の健康被害を懸念したとき、ひたすら「直ちに健康に影響はない」「安心しなさい」「不安をもってはいけない」と唱える専門家がいた。政府寄りの放射線専門家

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放射線のリスク・コミュニケーションと合意形成はなぜうまくいかないのか?(2) ――「リスク認識が劣った日本人」という言説

著者: 島薗 進

政府側に立つ放射線の健康影響の専門家は、年 100mSv以下では健康被害はほぼ無視してよいという発言を繰り返したが、他方、100mSv以下でも健康被害はあり、そのためにできるだけ被曝線量を避けるべきだという科学的知見も多

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放射線のリスク・コミュニケーションと合意形成はなぜうまくいかないのか?(1)――専門家側に責任はなかったのか?

著者: 島薗 進

福島原発事故が1年半が経過しようとしている。放射線の健康影響について、この間に膨大な情報がやりとりされた。だが、未だにどこに真実があるのか、よく分からない。そう感じている人が多いだろう。今後、どれほどの健康被害がありうる

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日本の放射線影響・防護専門家がICRP以上の安全論に傾いてきた経緯(8)

著者: 島薗進

―ICRPの低線量被ばく基準を緩和しようという動きの担い手は誰か?― 平成11年4月21日に京王プラザホテルで開かれた「低線量放射線影響に関する公開シンポジウム――放射線と健康」は、放射線防護基準の引き下げを目ざした科学

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日本の放射線影響・防護専門家がICRP以上の安全論に傾いてきた経緯(7)

著者: 島薗進

―ICRPの低線量被ばく基準を緩和しようという動きの担い手は誰か?― 日本の多くの放射線健康影響の専門家が1980年代後半から「放射線ホルミシス」論に注目し、低線量被ばくによる健康への悪影響は少なくむしろよい影響があるこ

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日本の放射線影響・防護専門家がICRP以上の安全論に傾いてきた経緯(6)

著者: 島薗進

―ICRPの低線量被ばく基準を緩和しようという動きの担い手は誰か?― 1999(平成11)年4月21日に、東京新宿の京王プラザホテルで「低線量放射線影響に関する公開シンポジウム――放射線と健康」が開催された。この公開シン

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日本の放射線影響・防護専門家がICRP以上の安全論に傾いてきた経緯(5)

著者: 島薗進

―ICRPの低線量被ばく基準を緩和しようという動きの担い手は誰か?― 1980年代から電中研や放医研の研究者たちは、ICRPの防護基準を緩和するために、放射線低線量被ばくは健康への悪影響は小さく、むしろ良い影響が大きいと

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日本の放射線影響・防護専門家がICRP以上の安全論に傾いてきた経緯(4)

著者: 島薗進

―ICRPの低線量被ばく基準を緩和しようという動きの担い手は誰か?― 電力中央研究所(電中研)では1980年代から石田健二氏が中心になってホルミシス効果の研究が行われ、ICRPのLNTモデルに基づく防護基準は厳しすぎると

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日本の放射線影響・防護専門家がICRP以上の安全論に傾いてきた経緯(3)

著者: 島薗進

―ICRPの低線量被ばく基準を緩和しようという動きの担い手は誰か?― 「低線量被曝は安全でありむしろ健康に良い」ことを示そうとする企てを原子力関係の諸組織や電力会社がバックアップして進めて来たことは、1999年4月21日

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日本の放射線影響・防護専門家がICRP以上の安全論に傾いてきた経緯(2)

著者: 島薗進

―ICRPの低線量被ばく基準を緩和しようという動きの担い手は誰か?― 1999年4月21日に、東京の新宿京王プラザホテルで開催された「低線量放射線影響に関する公開シンポジウム―放射線と健康」は低線量被曝は安全でありむしろ

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日本の放射線影響・防護専門家がICRP以上の安全論に傾いてきた経緯(1)

著者: 島薗進

―ICRPの低線量被ばく基準を緩和しようという動きの担い手は誰か?― 1990年代末から低線量被曝安全論の運動が世界的に起こっており、日本の放射線影響学・防護学の多くの専門家はそれに積極的に関わってきた。彼らの考え方は、

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低線量被ばくリスクWG主査長瀧重信氏の科学論を批判する

著者: 島薗進

低線量被ばくに対する政府の対策の基本をどう定めるのか、細野豪志「原発事故の収束及び再発防止」担当大臣の要請で、放射性物質汚染対策顧問会議(8月25日、内閣官房設置)が「低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ」

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科学者の信用どう取り戻す――日本経済新聞10月10日号の記事の示唆するもの

著者: 島薗進

日本経済新聞10月10日号に滝順一編集委員「科学者の信用どう取り戻す ―真摯な論争で合意形成を」という記事が掲載された。その前半部は以下のようなものだ。 「科学者の意見が分かれて誰を信じてよいのかわからず、途方に暮れる。

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『国家神道と日本人』への批評について――とくに子安宣邦氏の論説に応答する

著者: 島薗 進

7月21日刊の奥付をもつ拙著、『国家神道と日本人』(岩波新書)が刊行され、3ヶ月ほどがたった。まだまだ内容に立ち入った書評は少ないが、直接間接にさまざまな感想・批評に接し、大いに啓発されている。感想・批評をお寄せ下さった

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