レヴィ=ストロースという名前は、構造主義と一体化している。20世紀後半の思想史は、構造主義の展開と不可分であり、それを考えるためにはレヴィ=ストロースの思想を知らなければならない。本書は、伝記ではあるが、レヴィ=ストロ
本文を読む書評の執筆一覧
書評:松下政経塾憂論―野田佳彦という不完全政治家を生み出す不完全システム
著者: 中田安彦ツイッターで超毒舌が何かと話題の著者(東海由紀子)の本ということで軽い気持ちで購入したのだが、なかなか面白かった。松下政経塾の内部に入って、途中で中退した東海氏だから書けるという内容である。仮に卒業していたら、何かとし
本文を読む「アングロ・サクソン型」資本主義は勝利したのか ―新自由主義に抵抗する86歳の知日派― 書評 ロナルド・ドーア著『金融が乗っ取る世界経済―21世紀の憂鬱』
著者: 半澤健市ロナルド・ドーア(1925年~)を私は社会学者と思っていた。 著者経歴欄を見ると、氏はロンドン大学東洋アフリカ研究学院卒業。戦時中日本語を学び1950年江戸教育研究のため東大に留学。カナダ、イギリス、アメリカの大学の社会
本文を読む「原子力平和利用」受容は第二の敗戦 -書評 『原発とヒロシマ―「原子力平和利用」の真相』(岩波ブックレット)-
著者: 半澤健市《我々はなぜ原発を受け入れたのか》 原爆被爆国であり地震国でもある日本がなぜ原発を受け入れたのか。 この素朴な疑問に答えることは、戦後日本の総体を徹底的に総括することと同義である。私はそう考えるようになった。それにして
本文を読む『ハイチ震災日記』を読む
著者: 宇波彰最近、カナダに住むハイチの作家ダニー・ラファリエールの『ハイチ震災日記』)(立花英裕訳、藤原書店)を読んだ。私がハイチ人の作品を読むのは、これが初めてである。ハイチは2010年1月12日に、死者30万人という被害をもた
本文を読む今日的視点からみた官僚制の思想史 -書評 野口雅弘著『官僚制批判の論理と心理―デモクラシーの友と敵』(中公新書) -
著者: 半澤健市《誰がやっても同じか》 2009年9月に「政権交代」があった。2年が経過したいま、民主党政権―正確には民主党主導政権―は、完全に官僚に取り込まれた。「官僚主導から政治主導へ」のスローガンはどこへ消えたのか。これが大方の
本文を読む<読書ノート>樋口陽一『いま、憲法は「時代遅れ」か』を読んで
著者: 宇井 宙本の帯に「もう一つの「憲法」入門――個人と国家にとって、この天災と人災の時代を生き抜くために、いま、何が必要か?」とある。仙台ご出身の樋口氏は、本書の校正刷に朱を入れて返そうとした矢先に3.11大震災に遭遇されたとまえ
本文を読む書評 岩田昌征著『二〇世紀崩壊とユーゴスラヴィア戦争―日本異論派の言立(ことだ)て―』
著者: 鶴田満彦1.本書の構成 本書は、比較経済体制論、ユーゴスラヴィア地域研究については世界レベルの専門家である著者が、ソ連型集権的社会主義・ユーゴスラヴィア型自主管理社会主義の成立と崩壊を総括した最近の論文集である。多くの社会主義経
本文を読む原発と原爆
著者: 岩田昌征現在、私たちが多少の恐怖心を抑制しつつ見守っている福島原発凶事に関して、数年前に出版された小冊子『原発を並べて自衛戦争はできない』(山田太郎著)は、素人にとって必読書ではなかろうか。 ―原発で最も危険なのは、原子炉そのも
本文を読むエッセイ:見よ君を屠る日は来ぬ…… 内田弘『啄木と秋瑾』を元日に読了す
著者: 津田道夫直接お目にかかったことはないのだが、経済学者としてその名を知っていた内田弘の啄木論を読んで(10年12月29、30,31日)、正直驚いてしまった。専門外の細かい研究をしていた事実に驚いたのではない。この三八〇頁の大冊によ
本文を読む周回遅れの読書報告(番外その2)
著者: 脇野町善造正月だから「笑い話」をしたい。もう10年以上も前の話であるが、1999年10月3日付けの『読売新聞』に、「笑い話がある」という書き出しで、次のような記事が掲載されていた。記憶に残る出色の「笑い話」である。 〈引用開始
本文を読む周回遅れの読書報告(その12)
著者: 脇野町善造『去年マリエンバートで』という映画をはじめて見たのは、一体何年前のことかもう定かではない。早稲田の小さな劇場に、あるイタリア映画を見るために入った。そしたら、『去年マリエンバートで』を併映していた。この映画のことはそれ
本文を読む文献紹介 ティムール・ダダバーエフ 『記憶の中のソ連 中央アジアの人々の生きた社会主義時代』
著者: 木村英亮文献紹介 ティムール・ダダバーエフ 『記憶の中のソ連 中央アジアの人々の生きた社会主義時代』、筑波大学出版会、2010.9、 270ページ、3800円 ソ連社会主義の歴史
本文を読む周回遅れの読書報告(その6)
著者: 脇野町善造民主党の高速道路政策がフラフラしている。フラフラしているのは、高速道路政策に限るわけではないが、高速道路については振幅が大き過ぎる。『文藝春秋』の2010年6月号に猪瀬直樹が「小沢の狙いは道路公団の復活だ」という批判記
本文を読む周回遅れの読書報告(その5)
著者: 脇野町善造前回に続き、物置に放置しておいてネズミがかじり残した古い本の話。ネズミがかじったのはハードカバーの本が比較的多かった。製本に使われている糊をかじったからであろう。ただ、一番ひどくかじられていたのはハードカバーの本ではな
本文を読む文学渉猟:1848年革命期前後のイギリスの通俗小説
著者: 合澤 清『ディケンズ短篇集』 チャールズ・ディケンズ作 小池滋、石塚裕子訳(岩波文庫1986) 僕は以前からディケンズの小説はあまり好きではない。読み終わって、それほど愉快な気持ちになったという思いもない。ずいぶん昔に読んだと思
本文を読む周回遅れの読書報告(その3)
著者: 脇野町善造なぜ本を読むかという質問は愚問であろう。報告(その2)で紹介したモームは『要約すれば』で「好奇心と知識欲とから」本を読んだとしている。もっともモームは、読書が必要欠くべからざる人間にとっては、哲学が「最も変化の多い、最も
本文を読む周回遅れの読書報告(その2)
著者: 脇野町善造数ヶ月前に編集委員長から「会員の投稿数が極めて少ない。ちきゅう座の会員ならば少なくとも一ヶ月に2、3冊の本は読んでいるのだろうから、その書評を書いて投稿することくらいはできるはずだ」という手厳しい批判を受けた。確かに月
本文を読む書評:塩川喜信編集『沖縄と日米安保―問題の核心点は何か』
著者: 坂井定雄鳩山前首相は、わずか八カ月で辞任に追い込まれたが、この間に提起されたさまざまなことは、日米安保改定五十周年に際して、再検討しなければならないすべての重要問題を含んでいる。 本書はこれらの問題に立ち向かう論文・発言・資料集
本文を読む周回遅れの読書報告(その1)
著者: 脇野町善造日本経済新聞を読まなくなってから随分と時間が経った。読むといっても経済紙として読んでいたわけではない。経済紙としての同紙には1997年の夏に愛想が尽きた。1997年の年初は、世界経済に関してはほとんどの専門家、専門誌紙が
本文を読む文学渉猟:欧米風に物語られた中国のお話
著者: 合澤 清『千年の祈り』 イーユン・リー作 篠森ゆりこ訳 (新潮社2007) O.ヘンリーかモーパッサンを思わせるようなしゃれた10本の短編が並んでいる。話はどれをとっても奇抜であり、読者を飽きさせない。読み始めたとたんにするりと
本文を読む日本金融市場の栄光と挫折―実務家が見た自由化と国際化
著者: 半澤健市書評 河村健吉著『影の銀行―もう一つの戦後金融史』(中公新書) 《金融実務家による戦後金融史》 著者は67年から99年まで三井信託銀行(現中央三井信託銀行)に勤務して、主に企業年金業務に関わった。『企業年金危機』など年金
本文を読む古い書評から―連載書評84回
著者: 三上 治これは何年か前に書いた橋川文三さんの『ナショナリズム』についての書評です。古いファイルを整理していたら出てきたのでお送りします。「アジサイの季節になって―長めの論評」の中でナショナリズムに触れたところがあったことを思い
本文を読む明らかにされた朝鮮人強制連行の真実、息をのむその過酷な実態
著者: 岩垂 弘今年は、日本による韓国併合から100年。朝鮮半島に対する日本の植民地支配は1910年から1945年までの35年に及んだが、その間の植民地支配の一端を明らかにした写真記録が刊行された。ノンフィクション作家、林えいだいさん
本文を読む光復後の国民党失政により、近代中国全体への嫌悪を基に大陸中国からの独立を志向する情緒的反応
著者: 雨宮由起夫〔書評〕丸川哲史著『台湾ナショナリズム』(講談社、¥1500+税) 日本人の多くは台湾の歴史的状況を知らない。台湾の過去について系統的で基本的な知識を持つ人はきわめて少ないともいえる。そもそも、台湾とは何か。日本人にと
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