【12月23日(土)】第11回へーゲル研究会のお知らせ
- 2023年 12月 1日
- 催し物案内
- ヘーゲル研究会滝口清栄野上俊明
前回のあらまし――市民社会における自由な経済活動は、抽象的人格と(私的)所有権をもとに成立しており、それを承認し法として効力あらしめるのが司法活動である、というのである。
以下は、少しバイアスがかかっているかもしれない、私なりの解釈である。
――市民社会において、商品交換の担い手としての諸個人は、一方で自己利益を追求しながら相互に役立て合い依存し合うことによって、そこに無意識ながら市場の調節機能が働き、社会の共同利益(=万人の欲求充足)が実現される。さらに諸個人は分業に基づき分化した、いずれかの諸身分(階級)に所属しつつ職業労働を行なうことによって、市民社会の全体秩序の形成に参与する。しかしこの限りでは、まだ諸個人は市場メカニズムのいわば受動的な担い手に過ぎない。そこで、今度はその過程に「教養(自己陶冶)」という営為が介在することにより、(自由・平等の)市民意識が錬磨され覚醒して、各人は市民社会の共同性の能動的な一員となる。
商品経済と分業の発展が、私的所有に体現される自由な人格を有する個人の形成を促すが、この個人化がアトム化に陥らないためには,実践的精神的な陶冶による(普遍的な)市民意識の形成と公共的役割の自覚が必要である――§190~§210の趣意を私流にパラフレーズするとこうなる。
個体的自由という私本位の在り方から、同市民的関係(対等平等の市民相互の関係)を通じて市民社会の共同性の認識にいたるにせよ、あくまで商品関係という物象的関係を媒介にするがゆえに抽象的たらざるをえない限界を、ヘーゲルは教養Bildungという精神作用によって乗り越えようとしているのではなかろうか。(野上)
記
テーマ:ヘーゲルの市民社会論
中央公論社「世界の名著」の「ヘーゲル・法の哲学」から第二章 市民社会(§182~§256)を講読会形式で行ないます。今月は、§212からです。
★国内では数少ないヘーゲル「法(権利)の哲学」の専門家であり、法政大学で教鞭をとられた滝口清栄氏がチューターを務めます。
とき:2023年12月23日(土)午後1時半より(毎月の最終土曜日定例)
ところ:文京区立「本郷会館」Aルーム
――地下鉄丸ノ内線 本郷三丁目駅下車5分 文京区本郷2-21-7 Tel:3817-6618
1.参加費:500円
連絡先:野上俊明 E-mail:12nogami@com Tel:080-4082-7550
参加ご希望の方は、必ずご連絡ください。
※研究会終了後、近くの中華料理店で懇親会を持ちます。
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